お誕生日シリーズ
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たとえば、こんなのはどう?
そういう意味での『個性』がない世界。
弔くんとわたし……そうだなあ。歳が近いから、学生の時に出逢ったってことにしとこう。弔くんとは打ち解けるまでに時間はかからなかった ( わたしが勝手に懐いただけ ) だから、それがいい。ずっと昔から知り合いだったような親近感すらある。時間を数字で表すと一瞬かもしれないけど、もっと長く一緒に居たような気がしてる。俗に言う、運命の人っていうのなんだよ。弔くんはわたしにとって。
それでね? 弔くんってゲーム好きでしょ? だから、きっと、本来ならそういうお仕事が向いてると思うの。終活ばっかりで就活なんかしたことなくって、詳しいことは何一つわからないんだけど。探せばあるよね。会社にあんまり通わなくていい会社。「あ〜、だる……ッ」ってたまの出社で疲労困憊になって帰ってきた弔くんを玄関でお出迎えするんだよ。弔くんだけに働いてもらうのは気が引けるから、わたしも……なんだろう? なんにも将来に対する希望なんかなかったなあ……でも、二人で生活できるってなったらなんでもやれるしなんでもしたいと思える。とにかく、社会人。ただ、朝から晩まで労働に勤しんで、その上、ごはんまで用意できる自信はないかも。そこは、○ーばーで! 居場所がバレたら困るって、結局、一度も利用したことなかったなあ。
弔くんが脱ぎっぱなしにした靴を揃えて、脱ぎ散らかした服を拾って歩いて「もう! 弔くんったら!」ってほっぺた膨らませたら、「あー、ごめん」って謝った矢先にゲームスタート。目にありありと浮かぶ。ごはん中にも「今、手、離せない」って真剣な顔で画面と向き合っててちっともこっちを見てくれないんだけど、気にしない。頑張ってる弔くんをいつまでも眺めていたい。十二分にその横顔を堪能したら、一段落したってことにして「一日くらいどうってことないって!」って渋る弔くんをお風呂場まで引っ張ってく。もちろん、五本とも指を絡めてね。……できないことでも、頭の中なら叶うんだ。なんだって。お風呂上がりにぼんやりしてる弔くんを「保湿! 保湿!」って急き立てて身体中べったべたにするの。そうしたら、少しは楽になれるよね。痒いのってつらいよね。わたしが役に立てるのはそれくらい。「まだ、寝ないの?」「そのうち寝る」って遣り取りしながら先にベッドに入って待ってはみるものの、そこは弔くんだもん。余裕で時計の針が一回転するよね。長い方。短い方なんて天辺に達しちゃってね。「まだ寝てなかったのかよ、名前。お前、明日も仕事だろ」「弔くんだってそうじゃん」「俺はいいんだよ」「えー、良くないと思うなあ?」なんて在り来りな会話を交わして……気付いたら、朝。いつ寝たんだっけって眠い目を擦りながら、また、弔くんとの新しい一日を始める。わたしが思い付く限りの、最高の幸せ。
今までありがとう、弔くん。
それじゃあ……お先に、ね。
おやすみなさい。
2024.04.06 ( 初出 04.06 )