長編 1ミリ上空の日々
name
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
木から木へ、岩を飛び越え音もなく着地する。
四人は呼吸一つ乱さず館の目前に到着した。
館の前には門番の男が二人。
まるでどこぞの殿さまの御殿でも守っているようだ。
木の上から辺りを見回し、勘右衛門が矢羽音で告げる。
“俺と兵助と雷蔵とで、館の外に奴らを誘き出す。その間に三郎は八左エ門を”
“さすがは優秀ない組。もう作戦が立ったのか?”
三郎が口布をはずしてにやっと笑う。
すると勘右衛門も口布をはずして、にーっと笑い返した。
“名付けて『呼ばれて飛び出てどっかーん!作戦』だ”
“その作戦名で大丈夫なのか?”
兵助が真面目に応答する。
懐から三郎に焙烙火矢を投げて渡した。
受け止めた三郎は“まったくだ。雷蔵が作戦名をつけてくれ”と雷蔵を振り返る。
雷蔵はちょっと考えてからぱっと笑った。
“えーと、じゃあ『山賊殲滅作戦』とか?”
“怖くて泣きそうっ!!!”
*
爪のように細い月が厚い雲に隠れた頃、館中に大きな声が響き渡った。
部屋に飛び込んできたのは門番の男だ。
「おい!表に出ろ!何者かが館の外を囲んでるぞ!!!」
「なんだと!?」
「てめえら早くしろ!!」
「ぶっ殺してやる!」
それを聞いた山賊たちは武器を手に外に駆けだして行った。
広間には酒の瓶や肴が食い散らかされている。
何人かは館内に残るらしく、それぞれ武器を手に身構えている。
すると呼びに来た門番の男が軽い身のこなしで、そばにいた男を蹴り飛ばした。
「な、てめえ一体どういうつもりだ!!?」
残りの山賊が門番の男に刀で斬りかかる。
それをひょいとかわしてから、門番は苦無を懐から出した。
次々と斬りかかって来る男たちの刃を受け止め、流れるような動きで相手の背後を取る。
鋭い蹴りが入り、山賊はばったりと倒れた。
ひとまずその場にいた全員を動けぬようにすると、門番の男はばりっと自分の面の皮を剥がした。
「以上、鉢屋三郎でした」
*
三郎が館に侵入してから直ぐに、がやがやと山賊たちが出てきた。
ざっと数えて二十弱といったところか……
兵助はわざと草むらを揺らすように走り出す。
広い所で大人数の相手をするのは良策ではない。
森の中なら障害物を利用して戦えるし、こちらは木の上からの攻撃もできる。
案の定、茂みの音に気付いた山賊たちは森へ入って来た。
松明の灯りがより山賊の居場所を知らせていて、兵助は薄い笑みを浮かべる。
「出てきやがれ!!」
山賊たちが大声を上げて森の中を動き回る。
兵助は一瞬、瞳を閉じて呼吸を整える。
そして忍刀を抜き木の陰から飛び出すと、一番近くの敵を両断した。
噴き上がる血飛沫にかまうことなく、次に襲いかかって来る敵を迎え撃つ。
顎を蹴りあげ、仰け反った相手の腹に拳を叩きこむ。
とどめを刺そうとしたとき、背後からの気配に気付き身を屈めた。
「くっ」
刀が空を斬る音。
兵助は下段で背後の相手の足を払うと、腹を一突きした。
周りにはまだ大勢の山賊が残っている。
怒号に混じって、鉄のぶつかり合う音や人が倒れる音がする。
大丈夫。
まだ勘右衛門も雷蔵も戦っている。
新たな敵の攻撃を交わし、兵助は気を集中させた。
森の黒々とした暗がりに彼の姿は溶け込む。
四人は呼吸一つ乱さず館の目前に到着した。
館の前には門番の男が二人。
まるでどこぞの殿さまの御殿でも守っているようだ。
木の上から辺りを見回し、勘右衛門が矢羽音で告げる。
“俺と兵助と雷蔵とで、館の外に奴らを誘き出す。その間に三郎は八左エ門を”
“さすがは優秀ない組。もう作戦が立ったのか?”
三郎が口布をはずしてにやっと笑う。
すると勘右衛門も口布をはずして、にーっと笑い返した。
“名付けて『呼ばれて飛び出てどっかーん!作戦』だ”
“その作戦名で大丈夫なのか?”
兵助が真面目に応答する。
懐から三郎に焙烙火矢を投げて渡した。
受け止めた三郎は“まったくだ。雷蔵が作戦名をつけてくれ”と雷蔵を振り返る。
雷蔵はちょっと考えてからぱっと笑った。
“えーと、じゃあ『山賊殲滅作戦』とか?”
“怖くて泣きそうっ!!!”
*
爪のように細い月が厚い雲に隠れた頃、館中に大きな声が響き渡った。
部屋に飛び込んできたのは門番の男だ。
「おい!表に出ろ!何者かが館の外を囲んでるぞ!!!」
「なんだと!?」
「てめえら早くしろ!!」
「ぶっ殺してやる!」
それを聞いた山賊たちは武器を手に外に駆けだして行った。
広間には酒の瓶や肴が食い散らかされている。
何人かは館内に残るらしく、それぞれ武器を手に身構えている。
すると呼びに来た門番の男が軽い身のこなしで、そばにいた男を蹴り飛ばした。
「な、てめえ一体どういうつもりだ!!?」
残りの山賊が門番の男に刀で斬りかかる。
それをひょいとかわしてから、門番は苦無を懐から出した。
次々と斬りかかって来る男たちの刃を受け止め、流れるような動きで相手の背後を取る。
鋭い蹴りが入り、山賊はばったりと倒れた。
ひとまずその場にいた全員を動けぬようにすると、門番の男はばりっと自分の面の皮を剥がした。
「以上、鉢屋三郎でした」
*
三郎が館に侵入してから直ぐに、がやがやと山賊たちが出てきた。
ざっと数えて二十弱といったところか……
兵助はわざと草むらを揺らすように走り出す。
広い所で大人数の相手をするのは良策ではない。
森の中なら障害物を利用して戦えるし、こちらは木の上からの攻撃もできる。
案の定、茂みの音に気付いた山賊たちは森へ入って来た。
松明の灯りがより山賊の居場所を知らせていて、兵助は薄い笑みを浮かべる。
「出てきやがれ!!」
山賊たちが大声を上げて森の中を動き回る。
兵助は一瞬、瞳を閉じて呼吸を整える。
そして忍刀を抜き木の陰から飛び出すと、一番近くの敵を両断した。
噴き上がる血飛沫にかまうことなく、次に襲いかかって来る敵を迎え撃つ。
顎を蹴りあげ、仰け反った相手の腹に拳を叩きこむ。
とどめを刺そうとしたとき、背後からの気配に気付き身を屈めた。
「くっ」
刀が空を斬る音。
兵助は下段で背後の相手の足を払うと、腹を一突きした。
周りにはまだ大勢の山賊が残っている。
怒号に混じって、鉄のぶつかり合う音や人が倒れる音がする。
大丈夫。
まだ勘右衛門も雷蔵も戦っている。
新たな敵の攻撃を交わし、兵助は気を集中させた。
森の黒々とした暗がりに彼の姿は溶け込む。
