長編 1ミリ上空の日々
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私は激痛から逃げるように、学園の中をさまよい歩いていた。
視界は悪く目の前がぼやける。
そろそろ就寝時間を迎える学園内は落ち着いた雰囲気で、まさか幽霊が廊下をうろついているとは誰も思ってもいないだろう。
しかも物凄い形相の幽霊だ。
しばらく行くと、前から四年い組の喜八郎と滝夜叉丸が歩いてきた。
二人は風呂上がりらしくまだ髪が濡れている。
私は二人をうまく避けきれず、喜八郎の右肩に接触した。
「へっくしゅっ」
「なんだ喜八郎、風邪でもひいたか?」
「別に。鼻がかゆかっただけ」
「って!お前、私の寝巻で鼻を拭くんじゃない!!」
そんなやり取りが後ろから聞こえる。
私は「滝夜叉丸ごめん」と思いながら先へ進む。
痛みで朦朧としてくる意識の中で、誰かが呼んでいるのが聞こえてきた。
それは、この先の廊下から聞こえてくるようだ。
闇の向こうで誰かが呼んでいる。
“――――こっちへ”
だれ?
“――――こっちへいらっしゃい”
私は声のするほうへよろよろと足を進める。
痛い、痛い、痛い……。
その声の主が誰であるか考える余裕はない。
ただ進んでいく。
“そう、こちらです”
しかし私はあまりの痛みに耐えきれず、その場にしゃがみ込んでしまう。
これ以上、歩くことができない。
頭の内側で何かが暴れているみたいだ。
痛い、痛い、歩けない。
動けなくなった私に、その声は言った。
“―――ここまで来たら、助けてあげましょう”
その言葉が耳に届いた瞬間、私はもう一度進む覚悟を決める。
あと少し歩けば、この痛みから誰かが助けてくれる。
私のことを救ってくれる誰かがいる。
ずるずると体を起し、ゆっくりと足を踏み出す。
いたい、いたい、いたい…………。
“さあ、あと少しです”
声は優しく私を励ます。
私はすぐそばで聞こえる声に向かって手を伸ばした。
真っ暗な闇の中に、一点だけ光っているところがある。
“もう少しです。それに触れて下さい”
私は言われた通り、光に向かって指を伸ばす。
あと、少しで届く。
ぐいっ!
「えっ?」
私の指先が光りに触れるか否かのとき、突然体が後ろに引き戻された。
誰かが、私の腕を引いている。
光から遠ざかった瞬間、頭痛が一層激しさを増した。
「いっ!!!!」
頭が割れるんじゃないかと思うくらいの痛み。
いたい、いたい、いたい、いたい、いたい、いたい
“早くするのです”
声が私を急き立てる。
痛みで気が動転した私は、夢中で前に進もうとした。
しかし、腕を掴んでいる手は強い力で私を引きとめている。
「いたいいたいいたい!放して!!」
「行ったら駄目だ!僕が助けるから!!!」
応えた声に、驚きで目を瞠る。
私の動きはぴたりと止まった。
視界は悪く目の前がぼやける。
そろそろ就寝時間を迎える学園内は落ち着いた雰囲気で、まさか幽霊が廊下をうろついているとは誰も思ってもいないだろう。
しかも物凄い形相の幽霊だ。
しばらく行くと、前から四年い組の喜八郎と滝夜叉丸が歩いてきた。
二人は風呂上がりらしくまだ髪が濡れている。
私は二人をうまく避けきれず、喜八郎の右肩に接触した。
「へっくしゅっ」
「なんだ喜八郎、風邪でもひいたか?」
「別に。鼻がかゆかっただけ」
「って!お前、私の寝巻で鼻を拭くんじゃない!!」
そんなやり取りが後ろから聞こえる。
私は「滝夜叉丸ごめん」と思いながら先へ進む。
痛みで朦朧としてくる意識の中で、誰かが呼んでいるのが聞こえてきた。
それは、この先の廊下から聞こえてくるようだ。
闇の向こうで誰かが呼んでいる。
“――――こっちへ”
だれ?
“――――こっちへいらっしゃい”
私は声のするほうへよろよろと足を進める。
痛い、痛い、痛い……。
その声の主が誰であるか考える余裕はない。
ただ進んでいく。
“そう、こちらです”
しかし私はあまりの痛みに耐えきれず、その場にしゃがみ込んでしまう。
これ以上、歩くことができない。
頭の内側で何かが暴れているみたいだ。
痛い、痛い、歩けない。
動けなくなった私に、その声は言った。
“―――ここまで来たら、助けてあげましょう”
その言葉が耳に届いた瞬間、私はもう一度進む覚悟を決める。
あと少し歩けば、この痛みから誰かが助けてくれる。
私のことを救ってくれる誰かがいる。
ずるずると体を起し、ゆっくりと足を踏み出す。
いたい、いたい、いたい…………。
“さあ、あと少しです”
声は優しく私を励ます。
私はすぐそばで聞こえる声に向かって手を伸ばした。
真っ暗な闇の中に、一点だけ光っているところがある。
“もう少しです。それに触れて下さい”
私は言われた通り、光に向かって指を伸ばす。
あと、少しで届く。
ぐいっ!
「えっ?」
私の指先が光りに触れるか否かのとき、突然体が後ろに引き戻された。
誰かが、私の腕を引いている。
光から遠ざかった瞬間、頭痛が一層激しさを増した。
「いっ!!!!」
頭が割れるんじゃないかと思うくらいの痛み。
いたい、いたい、いたい、いたい、いたい、いたい
“早くするのです”
声が私を急き立てる。
痛みで気が動転した私は、夢中で前に進もうとした。
しかし、腕を掴んでいる手は強い力で私を引きとめている。
「いたいいたいいたい!放して!!」
「行ったら駄目だ!僕が助けるから!!!」
応えた声に、驚きで目を瞠る。
私の動きはぴたりと止まった。
