長編 1ミリ上空の日々
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「よし、捕まえた!」
へ。
私は閉じていた目をうっすらと開いた。
竹谷君の背中が遠ざかって行く。
「おーい孫兵!こっちだ、こっち!!」
その手には伊賀崎孫兵のペットのジュンコが巻きついていた。
ああ、とんだ勘違いだった………。
竹谷君は私の背後にいたジュンコを探していただけのこと。
生物委員会が探し物、それ即ち脱走した生物というお決まりだ。
そんな初歩的なことも思いつけなかった。
私、どれだけ怖がってるのよ。
自分に呆れつつ、こそこそと草むらを移動する。
あまり人気のない所に行きたいが、そんな場所でもし見られたらよっぽど危ない。
うろうろしていたら、正門に辿り着いてしまった。
そこには三人の人影。
実習を終えて帰ってきた食満君と善法寺君、それと小松田さんだ。
三人は穴の開いた門の横で立ち話をしているようだ。
「良かった。食満君に修理をお願いできるなら安心だよ。僕が直したら、また泥棒に入られちゃうかもしれないし」
にこにこと笑って頭を掻く小松田さん。
私はちょっと心が痛む。
あんなに一生懸命やってくれたのに………コソ泥め!
食満君は穴の大体の大きさを苦無で測りながら「任せて下さい」と返事をした。
「用具委員長として当然の仕事です」
「それにしても、こんな分厚い門の木をよく突き破ったもんだ」
善法寺君は変なところに感心して肯いていた。
「まったく、文次郎が左門を見ていないからこういうことになるんだ!後で厳重に注意しなければな」
熱くなりかける食満君を「まあまあ」と善法寺君が諌める。
どうにも食満君と潮江君は仲が悪いというか何と言うか。
寄れば触れば喧嘩を始めてしまう。
「犬猿の仲」とはまさに彼らのためにあるような言葉だ。
「でも何事もなくて良かった」
善法寺君がにこりと笑って言った。
「それがね。山田先生と土井先生がすごい術で泥棒を驚かせたんだって!」
小松田さんは目を輝かせて話す。
「「すごい術?」」
食満君と善法寺君がそろって訊き返した。
興味をそそられた様で、二人とも真剣な顔つきになる。
六年生ともなると、忍術に対する姿勢も下級生とは比べ物にならない。
私はひやりとした。
小松田さんは誇らしげに「泥棒にお化けを見せたんだって!」と言った。
「お化け?」
「何かの幻術なのかな?」
食満君と善法寺君はそれぞれ呟いて、これまで習った事を思い返すような目をした。
私は草陰で頭を抱える。
「あ、そう言えば先生に報告をしてこないと。あとは委員会のときにでも乱太郎に聞いてみます」
善法寺君はそう言うと、変装道具を抱えた。
食満君も「そうだったな」と肯く。
「じゃあ小松田さん、後で修理しておくので」
「うん。頼んだよ!」
二人が去ったあと、小松田さんも入門票を手に門を後にした。
草むらで座り込みながら、私は息をつく。
どうやら、二人は忍術だと思ったようだ。
ああ、良かった。
「きみ、安心するのはまだ早いよ」
耳元ではっきりと聞こえた声。
凍りつく
へ。
私は閉じていた目をうっすらと開いた。
竹谷君の背中が遠ざかって行く。
「おーい孫兵!こっちだ、こっち!!」
その手には伊賀崎孫兵のペットのジュンコが巻きついていた。
ああ、とんだ勘違いだった………。
竹谷君は私の背後にいたジュンコを探していただけのこと。
生物委員会が探し物、それ即ち脱走した生物というお決まりだ。
そんな初歩的なことも思いつけなかった。
私、どれだけ怖がってるのよ。
自分に呆れつつ、こそこそと草むらを移動する。
あまり人気のない所に行きたいが、そんな場所でもし見られたらよっぽど危ない。
うろうろしていたら、正門に辿り着いてしまった。
そこには三人の人影。
実習を終えて帰ってきた食満君と善法寺君、それと小松田さんだ。
三人は穴の開いた門の横で立ち話をしているようだ。
「良かった。食満君に修理をお願いできるなら安心だよ。僕が直したら、また泥棒に入られちゃうかもしれないし」
にこにこと笑って頭を掻く小松田さん。
私はちょっと心が痛む。
あんなに一生懸命やってくれたのに………コソ泥め!
食満君は穴の大体の大きさを苦無で測りながら「任せて下さい」と返事をした。
「用具委員長として当然の仕事です」
「それにしても、こんな分厚い門の木をよく突き破ったもんだ」
善法寺君は変なところに感心して肯いていた。
「まったく、文次郎が左門を見ていないからこういうことになるんだ!後で厳重に注意しなければな」
熱くなりかける食満君を「まあまあ」と善法寺君が諌める。
どうにも食満君と潮江君は仲が悪いというか何と言うか。
寄れば触れば喧嘩を始めてしまう。
「犬猿の仲」とはまさに彼らのためにあるような言葉だ。
「でも何事もなくて良かった」
善法寺君がにこりと笑って言った。
「それがね。山田先生と土井先生がすごい術で泥棒を驚かせたんだって!」
小松田さんは目を輝かせて話す。
「「すごい術?」」
食満君と善法寺君がそろって訊き返した。
興味をそそられた様で、二人とも真剣な顔つきになる。
六年生ともなると、忍術に対する姿勢も下級生とは比べ物にならない。
私はひやりとした。
小松田さんは誇らしげに「泥棒にお化けを見せたんだって!」と言った。
「お化け?」
「何かの幻術なのかな?」
食満君と善法寺君はそれぞれ呟いて、これまで習った事を思い返すような目をした。
私は草陰で頭を抱える。
「あ、そう言えば先生に報告をしてこないと。あとは委員会のときにでも乱太郎に聞いてみます」
善法寺君はそう言うと、変装道具を抱えた。
食満君も「そうだったな」と肯く。
「じゃあ小松田さん、後で修理しておくので」
「うん。頼んだよ!」
二人が去ったあと、小松田さんも入門票を手に門を後にした。
草むらで座り込みながら、私は息をつく。
どうやら、二人は忍術だと思ったようだ。
ああ、良かった。
「きみ、安心するのはまだ早いよ」
耳元ではっきりと聞こえた声。
凍りつく
