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rain

雨に濡れたその猫を撫でてやると体は酷く冷えていた

沖田は愛しそうに猫を撫でると静かに答えた

「………この猫ねィ、母猫が車に跳ねられて死んじまったんでさァ」

「………」

黙っている土方に構わず沖田は続けた

「世の中は酷いですよねィ、こんなに小さいのに身寄りが誰もいないなんて…」

「…嗚呼」

きっと沖田自身も肉親や姉を失っているからこそ放って置けなかったのかもしれない

「…土方さん、こいつもう長くないみたいなんでさァ。悪いんですが、まだ帰れないって伝えて貰えやせんか?」

「そらァ出来ねェ相談だ」

「何言われても帰りやせん」

一向に離れようとしない沖田に土方は顔をしかめる

土方も探しに来ておいて置いて行ける訳がなかった

「チッ、仕方ねェな」

舌打ちをし、沖田の腕の中にいる子猫を抱き上げた

呆然としている奴にこいつ連れて帰るぞと一言言ってやると、漸く立ち上がった

「猫拾ってくんなってあんだけ言ってた癖に…」

「今回限りの特別だ、勘違いすんなよ」

歩き始めれば、沖田がついてくる

相変わらず雨は降り続けていて肌寒い

子猫を雨から避けるように抱き足早に進んでいくと、急に冷たさを感じなくなった

上を見上げると渡した筈の傘が土方の真上にあり、沖田は相変わらず濡れていた

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