大切な存在
「……嫌でィ」
暗黙の了解であると思っていた答えが、まさかの否定で言葉が出てこない
何故、総悟は肯定しなかったのか
それが自分にとってはいい結果の筈なのに喜べずに理由を探していると、強い力で引っ張られ気付けば総悟の腕の中にいた
「俺は…アンタを手離すつもりはないんですよ」
耳元で弱々しく告げる総悟はどうやらこの関係を終わらせたくないらしい
「な…んでだ?この関係は只の好奇心じゃねェのか?」
思ったままに口を開けば、抱き締めてくる腕に力が籠もる
突き飛ばそうとすれば出来るのに、離れる決意をした筈なのに、じっと返答を待った
「アンタが好きだからでさァ」
一瞬言葉が理解出来なかったが、解ってしまった途端頬が紅くなる
「……ッ」
紅く染まった顔を隠す為に手の甲で覆うと、総悟にその手を掴まれる
再び視線が絡むと、そこには子供だった奴は居なくて大人の男の顔をした総悟がいた
「土方さんは俺の事嫌いですかィ?」
真っ直ぐな目で見つめられ、躯が熱くなる
総悟が好きだと言ってくれた以上は俺の気持ちはただ一つ
「…俺も好きだ……ッ!!」
言葉を絞り出して発すれば、ガバッと視界が天井に戻る
「…俺、加減出来なさそうでさァ」
俯きながら着流しの中へ手を忍ばせてくる総悟
「フン…上等だ」
想いが通じてからする情事は初めての事で、お互い明け方まで求め合った
END