幼馴染はゲイでした
「...昨日の事だろ。考えてんの」
「へ?」
またもや出た鋭い洞察力に間抜けな声が出た。
「俺もね、起きてからずっと考えてた」
「...何を?」
「食べたら言う。取り敢えず冷めないうちに食べて」
テーブルを見ればトーストに目玉焼き、サラダが並べられていた。
頂きますと、皿を手に取り口に入れた。
俺が食べている様を沖田は見ていた。微笑ましそうに。
「お前が作ったのかよ!料理も出来て凄えな!」
思ったままの言葉を伝えると沖田は食べる手を一度止めた。
「簡単なもんならね。うち親いないから手伝ってたら覚えたんでさァ」
「美味いよ。ありがとな。同い年なのに凄えと思う」
言いながら料理を頬張る。彩りも味も食欲を増進させた。
「アンタって人は...。気に入って貰えたならよかった」
出された料理を食べ終わる頃には沖田も食べきったようだった。
言いかけてた言葉の続きが気になる。何を言おうとしていたのか。
完食した今、沖田に視線をやれば、思い出したように真顔に戻る。
「さっきの話なんだけど...」
沖田は手を握り足の上に置いた。俺は続く言葉を待ったのだ。
「色々悩んだんだけど、もうアンタと友達じゃ居られない」
発せられた言葉に唖然とした。
「な、何で...」
訳がわからない。今まで築いた関係もなくなるのか。何故そうしなければいけないのか分からない。
「アンタに問題がある訳じゃないんでさァ。これは俺の問題。...勝手な事言ってるのは分かってる。口を聞かないことはない。だけど...今までみたいに親しくは出来ない」
「嫌だ。意味わかんねえよ」
俺に問題が無いなら離れなくたっていいじゃないか。出来るならずっと友達で居たい。
「ごめん、十四郎。俺を嫌ってくれて構わないから、放っておいて欲しい。...看病しに来てくれてありがとう。追い返すようで悪いけど、今日はもう帰って」
納得できない俺は沖田の肩を掴む。僅かに揺らいだ蘇芳色の瞳が映った。
「総悟!ちゃんと言えよ!なんなんだよ急に!」
「...アンタのそう言う所が嫌いなんでィ!無自覚で無神経で...っ、放っとけって言ったら放っとけよ!もう...うんざりなんだよッ!」
声を荒げる俺に沖田は震える声を張り上げて負けじと吐き捨てたのだ。
嫌いと言う言葉に頭が真っ白になった。
いつから嫌われてたんだ俺は。友好的に思っていたのは俺だけだったのか?
次第に視界がぼやけていく。泣いてしまいそうな顔を見られたくなくて、荷物を持つと沖田の家を飛び出した。