このサイトは1ヶ月 (30日) 以上ログインされていません。 サイト管理者の方はこちらからログインすると、この広告を消すことができます。

幼馴染はゲイでした


やばい、寝坊したと慌てて飛び起きる。時間を確認しようと時計を探すも見当たらない。というより普段と景色が違う。あれ、ここ何処だっけと部屋を見渡せば、テーブルに頬杖をついて此方を不思議そうにみる沖田と目が合った。

「なんで総悟が...。それよりも今何時だ?三年間の無遅刻無欠席が台無しになるッ!」

慌てて着替えようとする俺に沖田は声を上げて笑った。

「今日は休みでしょ。アンタ慌てすぎ。それに昨日うちに泊まったんだから、俺が居て当たり前でしょうが」

けらけらと笑う沖田に俺は張り詰めた緊張感が解けて、肩を撫で下ろす。徐々にはっきりした頭で記憶を辿る。

学校を休む沖田に会いに来たら、熱を出していて心配だからと泊まった事を思い出した。

「お前熱は?体調はもういいのか?」

「ええ。起きたらすっかり」

平熱だと告げる沖田に安心して、着替えをやめ布団から降りる。テーブルの前に腰を下ろせば沖田が立ち上がった。

「なんか食う?てか用意したから食って」

「ああ。悪いな」

返事をすれば部屋を出て行く沖田。表情も普段通りだった。少しは良くなったのだろう。

冷静になった頭はそれだけではない事まで思い出した。沖田の手によって絶頂を迎えた事が脳裏を過って赤面する。

弱々しい沖田を見てまともな判断が鈍ったのか、自ら誘うような真似をしてしまったのだ。何故俺相手にあのような行動に出たのか、本人じゃ無ければ分からない。同性愛者と言えども誰にでも出来る事ではないだろう。

実際カモフラージュの恋人がいたりする訳だし。いや、男とも関係があると言っていた。俺は数ある内の一人だったのでは、と考えたら少しだけ胸が苦しくなった。なんて我ながら女々しい。

昔から幼馴染で気心知れていて、あれだけ一緒に居たのに意外と知らない事が多いのかもしれない。

そもそも男同士の営みはどこまでするのだろう。入れる場所なんてない。互いに精を吐き出して終わりなのか。だとしたら、昨日の沖田は勃起すらしてなかった。それでは性欲は満たせない筈。体調不良にて崩れるようにして入眠してしまったから、それどころでは無かっただろうが。

男とする時、沖田は男役なのか、女役なのか。あの綺麗な顔が快楽に歪み、昨日の俺のような嬌声を漏らすのか。想像したら股間が疼く気がして慌てて首を振る。

友人の痴態を想像して反応してしまうようじゃ、俺は変態じゃないか。俺の方がどうかしてしまったのか。頭を抱えて俯く。

ガチャ、とドアが開き大袈裟に体がビクついた。

「そんなに驚いてどうしたんで?」

部屋に入るとテーブルにお盆に乗せた皿をテーブルに並べる沖田。

「な、なんでもない」

今の俺は不自然極まりないだろう。

「ふーん。何かやましい事でも考えてたんだろィ。アンタ顔に出んだから嘘付いても無駄」

淡々と話す沖田は相変わらずのポーカーフェイスで見透かしてくる。付き合いが長いだけのことはある。

「んな訳ないだろッ!決してそんなことはないから!」

口では否定しても、対面に腰を下ろした沖田の顔がまともに見れなかった。

その様子を見てか、沖田は大きくため息をついた。

8/11ページ
スキ