幼馴染はゲイでした
「...っ、何言ってっか分かってんの?何で拒んでくれないんでィ。俺は十四郎に...ッ」
予想外の反応を返した俺に明らかに狼狽える沖田は必至に言葉を絞り出した。続きを催促するように背中に手を回してぽんぽんと触れる。
「だったらやめるか?」
言葉に詰まる沖田に判断を委ねる。
「アンタ本当にどうなっても知らないですぜ」
「上等だ馬鹿」
沖田は無遠慮に俺を布団に縫い付けた。荒々しくズボンと下着をずらされる。途端に露わになる股間に顔を赤らめるのを止められない。
沖田がまじまじとそこを見るから。
「...ッ、ついてるもん同じなんだから、んなに見んな」
反応してるそこを人に友人に見せたことなんて無い。纏わり付くような視線に耐えられず、目を伏せる。
「十四郎の勃ってる」
伸びてきた沖田の手が再び性器に触れた。熱の所為もあり熱い手。
他人に触れられる事に慣れていないそこは、手が滑る度に熱を帯びていく。
「...ッ、んっ...は、ぁ」
友人として過ごしてきた沖田に見られながら刺激を与えられ、うっかり漏れてしまいそうになる声を必死になって耐える。でなければ、女のように声を出してしまいそうだった。
「や、やばいって、総悟...っ」
「俺に触られて気持ちいいの?凄え濡れてる」
先端から滲む体液を指の腹で塗り広げるみたいにされる。
「ん...うう、や、言うな...ッ」
沖田の手で感じているなんて認めたくなくて恥ずかしくて、声を抑えようとすれば先端からは先走りがますます溢れ沖田の手を濡らした。
「あっ」
親指が敏感な先端の窪みを掠めて思わず声が漏れた。ちらりと見た沖田は口元に笑みを浮かべて扱きながら、時折反応を示した窪みに触れる。
「そんな声出すんだ。アンタ可愛い」
「やぁ、あっ...ん、そこ駄目だって...ッ」
一度出してしまえば、もう声を抑えることなんか出来なくて沖田の寝間着にしがみつきながら喘いだ。
「あ、あっ、総悟...っ、も...出ちまうからッ、あ」
「イッちまいなせェよ」
耳元で囁くように言った沖田の声は熱い吐息が混っていた。欲に塗れた男そのもので、こんな沖田は知らない。
「っあ、あ、だめ...ッ、だめ、ああっ、んん」
自分でも聞いたこともない高い声を上げた。
追い立てるように先走りで滑った性器をぐちゅぐちゅと擦り上げられ、びくびく震える体を止められず白濁を手に放ってしまった。
「やっ...はぁ、んあ、あ...も...無理...っ」
最後の一滴まで搾り出すように扱かれて、絶頂を迎えたばかりの体は過敏に反応して仰け反った。
強過ぎる刺激に力無く沖田にしがみついていると、突然手の動きが止まり、手をティッシュで拭うと沖田が俺の胸に寄り掛かった。
「...総悟?」
ふわりと香る沖田の匂い。男臭くなくて、陽だまりを感じさせるいい匂いがする。他の奴なんかに近付かれただけで嫌悪でしかないのに、不思議と沖田だと不快感はない。
さっきまで友人同士ではあるまじき事をしていた。快楽に身を委ねてしまったとはいえ、触れられること自体嫌ではなかった。ただ気持ちよかったのだ。
胸に顔を埋めたままの沖田は無反応で何を考えているのか分からない。恋人同士の甘いムードなんてなくて、気恥ずかしさからなんと声をかけて良いのか。沖田が口を開くのを待つしかなかった。
「十四郎、ごめん」
待ち侘びた言葉は謝罪という形で現れた。
「何で謝んだよ」
詫びを入れられるなんておかしい。拒まなかったのは俺の方だ。
「俺も熱でどうかしてたのかもね。嫌なことしてごめん。俺の事嫌ってくれて構わないから」
「嫌いになんてなるわけねえだろ!」
「それと、話の途中で悪いけど、色々限界」
急に乗り掛かる重みが増した。沖田が脱力した為だった。
「お、おい」
「さっき夢中で忘れてたけど、体しんどいんでさァ」
ぐったりと項垂れる体は熱が増したように熱くなっていたのだ。
「お前熱上がったんじゃねぇのか?」
「かもね。なんかゾクゾクして寒い」
「取り敢えず上から退けよ」
悪寒を訴える沖田の体を自分の横に下ろして掛け布団を掛ける。いそいそと乱れた衣類を整える。
そこで気付く。布団からでるタイミングを逃したと。
このまま一緒に寝るには狭いし、良い歳の男二人が同じ布団にいるのはと考えて出ようと布団を捲った時だった。
「十四郎がいると暖かい」
発した言葉に視線をやれば、沖田は仰向けのまま、目を閉じていた。その姿に自然と笑ってしまう。
仕方ねえから今日だけ、と言い訳をして布団に横向きで入り直すと再び布団を掛けた。