二章
攘夷浪士の潜伏先は真選組の監察の手により割れており一番隊を率いてアジトと思われる旅館に踏み込む。
次々と刃を振り落としてくる輩を斬り捨てては奥へと進んだ。
斬り合いに血の匂いが充満する。
一人また一人と敵が倒れる。順調過ぎる位。
不審に思いながらも奥まった部屋の扉を開ける。
様子を伺い隊員に指示を出して中に突入すれば5名の攘夷浪士が刀を構えて立っていた。
背後には違法取引した武器が多量に散乱している。
「真選組沖田総悟でィ。てめーらは全員俺が粛清する」
抜刀している刀を構え手前にいる浪士から斬りかかる。
一番隊の隊士等もそれに続く。
建物内に響く呻き声と壁に散った血飛沫。
「隊長、後は任せて下さい」
「ああ、頼む。俺は土方さんに一報入れてくるわ」
気付けば床に平伏している浪士等をぼんやりと見つめて後処理を部下に任せて、少し離れた所で携帯を取り出す。
画面の時計をみればお昼になっていた。
土方はまだ内勤で屯所に居るだろう。
手短に電話報告しようと呼び出し音を鳴らす。
本当は声が聞きたい。
プルルル...と数回の着信音が耳に響くもなかなか出ない。
「...ちッ、忙しいのかよ」
残念に思いながら、なんだかんだ忙しい副長業務に仕方ないメールにしとくかと電話を切る。
メッセージを簡潔に作成して送信しようとした所で着信画面に変わった。
言うまでもなく電話の主は土方十四郎。
諦めた期待が蘇り通話ボタンを押して携帯を耳に当てる。
「集中してたら気が付かなかった。そっちは片付いたんだな」
待ち侘びたその声に耳を澄ませる。
「ええ。こっちは問題ないです」
「お疲れさん。一番隊は今日はこのまま休む様伝えろ」
「戻ってもいいんで?」
「ああ。待ってる」
その会話を最後に通話を終えた。
にやけてしまいそうになるのを抑えながら沖田は隊士の元へ報告の終わりを告げに行く。
「今日はこの後休んでいいってよ」
急な休みを告げられると隊士等も喜んでいた。皆んな働き詰めだったから無理もない。
事後処理も片付いていた為、土方と顔を合わせる為に現場を後にした。