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再会


ここ最近はずっと快晴続きだったのに、この日は珍しく雨が降った

昨日までの暖かさは消え肌に当たる雨が余計に冷たい

新八も神楽も妙の元へ泊まりに行ってしまって、一人残された銀時は歌舞伎町に出ていた

パフェでも食って帰ろうとした矢先、背後から気配を感じて振り向く

「よォ、銀時」

立っていたのはあの頃と変わってしまった高杉

口元を上げてニヤリと笑う姿は妖艶で銀時は動けずにいた

「...高杉」

「久しぶりに会ったってのにその反応かァ?」

派手な着物を身に纏った奴は動けずにいる銀時の傍まで寄ってきては刀を向ける。

喉元に当たる刀に身動き一つ取れない。

「...なんで俺の前に現れたんだよ」

真正面に居る高杉から視線を逸らし、俯きながら口を開く。

正直、高杉が目の前に姿を現した理由が見当たらない。

「ククッ、お前に会いに来ちゃいけねェか?」

その言葉に俯いていた顔を上げれば不気味に笑う高杉と視線が交わる。

目が合っては逸らせなかった。

あの日から言葉を交わす否や姿すら見かけていない。

共に過ごした時間も共に戦ってきた日々も今の俺達はあの頃のような関係には戻れないだろう。

「俺をぶった斬るんだろ?銀時ィ」

やってみろよと言わんばかりに首元に当てがっていた刀を下ろし両手を広げた。

まるで銀時を試している様な態度で。

「俺はそんなつもりで言ったんじゃねーよ」

哀愁を感じさせる高杉に銀時は再び地面に視線を落とす。

確かにぶった斬るとは言った。

そんなこと出来るはずもない。

同志であり、仲間であり、何より大切な存在だった。

立ち尽くす二人を雨が濡らしていく。

「だからお前は甘いんだよ。銀時」

その瞬間体に衝撃が走った。

「...ッ!!」

勢いよく体を押され地面に尻餅を着く形で倒れる。

その上にすぐ様高杉が跨った。

刀を顔の横に突き刺して。

僅かに掠めた頬は紅い線が伝う。

「俺を殺らなきゃテメーが死ぬ事になる」

流れる紅い血液を高杉は舌で舐め取り憂いを帯びたような表情で銀時を見る。

銀時は言葉も出なかった。

昔から読めない奴ではあったが今も何を考えているのか分からない。

目の前にいる高杉を繋ぎ止めたいのに言葉が出てこない。

自分に跨っている高杉を片手で引き寄せて

「...それ以外の選択はないのか?」

どちらかが死ななければいけないなんて。

一度逸れてしまった道はもう戻れないのか?

「ああ。今の俺達はな」

背中に回る銀時の手も振り払うこともしなかった高杉が応える。

降り続ける雨が無情にも二人を濡らしていく。

互いの体温が嫌という程伝わり、高杉は銀時の腕を払って上から降りた。

「高杉?」

先程までとは様子が違う高杉に声をかければ

「気が変わった。...だかな、次会った時はお前も殺す」

口許だけ上げて笑う高杉は雨の中振り返りもせず去って行った。

銀時は去る姿も追わずに、その場に立ち尽くす。

もうあの頃には戻れない。


END

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