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May

「総悟、不快な思いさせて悪かった。でも誤解なんだよッ!!」

「言い訳なんか聞きたくないでさァ」

「…ッ総悟」

顔すら見たくなくて必至で背けてたのに、土方の声色が変わり視線だけ向ければ哀しげな表情をいていた

それでも唇を噛み締めて土方は何かを伝えようと口を開く

「お前の姉さんとは交際はしてない。確かに昔はそういう雰囲気もあったがな」

土方の姿勢が改まったところで黙って話を聞くが、引っかかる点もある

いくら昔といっても沖田自身もその頃には存在していた筈

「昔ってそんな前から知り合いだったんですかィ?」

その問いに俯きながら、気まずい表情を浮かべながら渋々口を開いた。

「…知り合ったのは偶然だった。俺は昔荒れていて、喧嘩ばかりの毎日だった。そんな時大怪我して、たまたま通りかかったお前の姉貴に手当して貰ったんだ」

真っ直ぐ沖田に視線を向けて話を続ける。

「その後も何度か会って行くうちにお互いに惹かれていった。だが、荒れていた俺には敵が多く、巻き込むわけにはいかなかった」

だから消えるように姉の前から姿を消したのだと土方は言う。

そして姉にべったりとくっついて居た沖田の存在も知って居たこと、3人で出掛けたことがあることも話して行く。

「だから、俺の顔を見たとき動揺してたんですねィ?」

初対面なのに、僅かながら動揺を見せた土方に漸く辻褄があった。

自分だけ名前で呼ばれていることもその所為だろうと。

「嗚呼…お前を見たときこんな偶然があるのか?って思った」

掌で口元を覆い伏し目がちに話し終えた土方に対して、なんとも言えない感情が込み上げる。

大事な姉を取られるかもしれない嫉妬?
傷付いたかもしれない姉に対して土方への怒り?
それとも、また別の…?

沖田は胸が締め付けられる思いがした。

「…昨日はなんでうちの前に居たんでィ?」

拳を握り震えるような感情を抑制しながら土方を見る。

返答次第では殴ってしまうかもしれない。
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