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April


目を輝かせてやってくるそいつは憧れの念が強い

「何か用かィ?」

やや不機嫌気味に見上げると、そいつは肩をビクッと震わせた

用件を聞かずとも、大体は想像がつく

「あの…沖田先輩、稽古つけて貰えませんか?」

予想通りの返答に沖田は笑いが込み上げるのを堪えて、一年を睨みつける

「近藤さんの稽古が終わってからにしろィ」

目の前で近藤が面倒を見ているにも関わらずここにきた事が沖田は気に食わなかった

あくまでも近藤中心で動いている沖田には、その一年に悪意が無くても気に障る

沖田は素早く荷物を纏めると立ち上がり、口を開いた

「近藤さん、具合悪いんで帰りまさァ」

その言葉に近藤は振り返り、目の前の一年はきょとんとしている

「総悟、大丈夫か?ゆっくり休むんだぞ」

あからさまな仮病にも関わらず、近藤は心底心配した様子で見送ってくれた

申し訳ない気持ちで一杯になりながらも、高校を後にした

見慣れた帰宅路を着々と進み、家が見える所に差し掛かる

姉が珍しく玄関前で誰かと親しげに話しているようだ

建物が影になって見えなかったので少し移動して相手を覗く

(………なんで、アイツが!?)

意外な人物に沖田は来た道を戻る

玄関先で姉と話していたのは部活前まで一緒にいた土方

雰囲気一つで姉とどういう関係なのか明らかだった


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