変化
ゆっくり眠りにつきたいのは山々なのに妙に匂いが気になる。沖田は身体を起こすと腹をつたい歩いた。目を閉じて眠ろうとしている土方の瞼に鼻を寄せ匂いを嗅ぐ。
なんでこんな真似してるんだろうか。人間の時すらそんな所を嗅いでみようと思った事は一度だってなかった。
妙にしっくりくる匂いに目を潜ませ、舌を這わせれば流石に土方は目を開いた。
「...何してんの?」
さあ?分からない。
そして人の言葉を話せない沖田は構わず土方の顔をぺろぺろと舐める。瞼やら頬やらを夢中で味わう。流石に土方も顔を背けるも払おうとはしない。
それをいい事に今度は視界に入った形の良い唇を舐める。
「...っ、本当お前なんなの。大人しく寝ろよ」
「にゃ」
土方によって沖田の身体はひょいと持ち上げられ、土方の左どなりに置かれる。
残念に思いながらも土方の胴体と腕の隙間に入り込み脇のあたりに顎を乗せる。しっくりくる高さだった。
大人しくなった沖田に土方は寝かしつけるように身体をゆっくりと撫でる。触れては離れてを繰り返されると少し眠気に襲われた。
もう時期眠りについてしまいそうという所で、土方の手は背中で止まった。
閉じかけてた目を開け、耳をすませると規則正しい寝息が聞こえてきた。どうやら土方は疲れの為か眠ってしまったらしい。
力ない前足で身体をちょんちょん叩いて見ても無反応だった。
起きててもする事もない。
仕方ない寝るかと沖田は身体を丸めた。
土方とこんなに密着して眠る事は普段なら出来ない。いつもより近い体温と匂いに包まれて眠れるなんて幸せだ。
ゆっくりと目を閉じて眠る事に集中した。