変化
日付が変わって間もない時間に一人の青年は公園のベンチに仰向けに横たわっていた
黒い制服や顔には粘膜質の液体が付着している
「流石にマズいかもねィ…」
熱くなっていく躯は次第に変化し小さくなっていった
―変化―
もう昼になるというのに沖田が姿を現さない
さぼって縁側で寝てるのかと思いきや、そこにもいない
かといって自室にも姿はなく真選組は朝から大騒動だ
なにより不思議なのが誰一人沖田の行方を知る者がいない事
「何処いっちまったんだ?アイツ…」
一通り探し終えた土方は沖田のよく昼寝している縁側に腰を下ろした
ポケットから煙草を取り、銜えて火を灯す
「これだけ探していないとなると屯所の外かもな」
溜め息を一つ零し空を見上げると、ふいに何かが足に擦り寄ってきた
「あ?」
視線を下に落とすと真っ白の小さな猫がいる
「…なんだ猫か」
抱き上げようとする前にその猫は土方の膝の上に乗ってきた
躯を撫でてやれば頬を擦りつけてくる
なんとも人懐っこい猫だ
真選組最年少の可愛げのない餓鬼もこの猫みたいに愛想よければいいのにと
「っとこんな暇はねェ、仕事だ仕事。遊んでやれないで悪いな」
そう言うと猫は何かを悟ったのか寂しそうな目で土方を見ると何処かへ去っていった
丁度そのタイミングで
「副長ー!近くの公園で沖田隊長のものと思われる隊服が見つかりました!!」
屯所周辺を探し回っていた山崎がやってきた
「隊服だけか?」
「はい。ただ妙な事に隊服に粘膜質の液体が付着してまして」
「その液体引っ掛かるな。調べられるか?」
「すぐ調べます」
そういって山崎は直ぐに去っていったが、土方の顔は相変わらず険かった
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