温暖化の影響でまだ五月だというのに三十度を超える異常気象。数日までは快適そのものだったのだが、今年はどうやら違うようで身体がついていかない。

日々の職務の疲労に重ね、この寒暖差にすっかりやられてしまい風邪を引いてしまった様だ。

ぞくぞくする悪寒に身を震わせると布団を肩までしっかり被る。
近藤が今日は休めなんて珍しく言うもんだから、やりたい仕事もあったが大人しく従う事にした。

休みなんてあっても特に用事もなく動いて居たかったのだけど、風邪を引いてしまった今となっては有難い。シフトに穴を空けずに済んだのは幸いだ。

時々山崎が様子を見に部屋を訪れるも、部屋は何時になく静けさを増していて、響く音と言えば自分の咳き込む音のみ。
普段仕事中だから来るなと言っても部屋を訪れる恋人もこの日ばかりは屯所を離れていて、珍しく"寂しい"と感じている始末。

風邪を引くと人恋しくなるのはあながち嘘ではなかった。

熱の所為で働かない頭でぼんやり天井を眺めては溜め息を漏らす。

毎日顔を合わせているのに会いたいだなんて。
随分弱っちまったもんだ。

今日は非番の癖に一体何処をほっつき歩いてんだろうか。

咳き込み過ぎて喉が痛い。
静かな部屋で横向きに向き直り目を閉じた。