Lost
その言葉を最後にうっすら開いていた瞳は閉じ、土方の躯は項垂れた
「土方さん!!……土方さんッ!!」
どんなに名を呼んでも、躯を揺すっても徐々に温もりが消えていく事が終わりを物語っていた
.
暫く放心状態だった沖田を呼び覚ましたのは近藤の声だった
救急隊に何を聞かれても応えられなかった沖田の隊服を見て近藤に連絡が入ったらしい
「近…藤さん」
見上げた近藤の顔は俯いていて表情が伺えない
「総悟、トシの顔見てみろ」
拳を握り締め、口を開く近藤の言うままに土方を見る
先程まで動いていた、生きていた土方が動かなくなった事以外なんら変化はないように見えた
訳が分からず首を傾げると、涙を必死で耐えるような表情なのに笑みを浮かべて答える
「苦しかっただろうに…痛かっただろうに…トシの奴あんないい表情で最後を迎えたんだ」
改めて見る土方は鬼と呼ぶには相応しくない穏やかな表情で生涯を終えた
自分なんかを庇って命を落としたのに、と沖田はやりきれない気持ちでいっぱいになり再び頬に涙が伝う
「土方さ…ん……なんでそんな面してんでさァ」
既に動かない土方の隊服をきゅっと力無く握り締め唇を噛んだ
その様子に近藤は沖田の肩を抱き自らの躯に引き寄せる
「トシは総悟を何だかんだ可愛がってたからなぁ。お前の安否がわかって安心したんだろう」
そう告げる近藤からは一筋の涙が零れていた
今までよくやってくれたと土方の頭を撫でる近藤に沖田の目尻は熱いままだった
公共の場にも関わらず二人は地位も何もかも気にせず涙を流し続けた
みっともなくても、土方に護られた命を恥じなく生きていこうと、そして土方の分まで真選組として大将を支え士道を貫いて行こうと少年は誓った
END
「土方さん!!……土方さんッ!!」
どんなに名を呼んでも、躯を揺すっても徐々に温もりが消えていく事が終わりを物語っていた
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暫く放心状態だった沖田を呼び覚ましたのは近藤の声だった
救急隊に何を聞かれても応えられなかった沖田の隊服を見て近藤に連絡が入ったらしい
「近…藤さん」
見上げた近藤の顔は俯いていて表情が伺えない
「総悟、トシの顔見てみろ」
拳を握り締め、口を開く近藤の言うままに土方を見る
先程まで動いていた、生きていた土方が動かなくなった事以外なんら変化はないように見えた
訳が分からず首を傾げると、涙を必死で耐えるような表情なのに笑みを浮かべて答える
「苦しかっただろうに…痛かっただろうに…トシの奴あんないい表情で最後を迎えたんだ」
改めて見る土方は鬼と呼ぶには相応しくない穏やかな表情で生涯を終えた
自分なんかを庇って命を落としたのに、と沖田はやりきれない気持ちでいっぱいになり再び頬に涙が伝う
「土方さ…ん……なんでそんな面してんでさァ」
既に動かない土方の隊服をきゅっと力無く握り締め唇を噛んだ
その様子に近藤は沖田の肩を抱き自らの躯に引き寄せる
「トシは総悟を何だかんだ可愛がってたからなぁ。お前の安否がわかって安心したんだろう」
そう告げる近藤からは一筋の涙が零れていた
今までよくやってくれたと土方の頭を撫でる近藤に沖田の目尻は熱いままだった
公共の場にも関わらず二人は地位も何もかも気にせず涙を流し続けた
みっともなくても、土方に護られた命を恥じなく生きていこうと、そして土方の分まで真選組として大将を支え士道を貫いて行こうと少年は誓った
END