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Lost

市中見廻りの際、攘夷浪士に襲撃される事も少なくはない

だから今回も特別珍しい事ではなかった

何時も通りに、寄り道したりしながら土方に怒鳴られ
何時も通り二人で市中を見廻りしていただけ

そこを襲撃された

剣の腕は真選組の中でもトップクラスの二人

難なく制圧したかに思えたが、一人意識の残っている浪士がいた

「天誅…ッ!!」

真選組の戦力である沖田目掛けて勢いよく切りかかる

敵に背を向けて土方に向き合うように立っていた沖田は反応が遅れた

(…間に合わねェ)

終わったと、そう思ったんだ

「…総悟、危ねェ!!」

土方の声と同時に体に強い衝撃が走った
走ってきた土方に突き飛ばされたのだ

ドサッと鈍い音を立てて地面に崩れるように落ちる土方

顔に掛かったのは自分のものではない生暖かい液体
じわじわと地面に面積を広げていく紅

一瞬世界が止まってしまったかのように思えた

だが、すぐに刀を構え死に損ないの浪士を貫く

ピクリとも動かなくなった浪士を確認し土方の元へ駆け寄る

「土方さんッ…今、止血しまさァ!!」

右肩から左腹部に掛けての大きな傷から流れ出る鮮血

沖田はスカーフを抜き取り、傷口に当てるが直ぐに紅に染まる

その上から脱いだ上着をあてがうも、湿っていく

急いで携帯を取り出し救急車を呼ぼうと焦る指で番号を押した時

「っ…感…かくで、わか…る、も…無理だ」

言葉を絞り出すように口を開いた土方は額から汗を流し、呼吸も荒い

「…まだ間に合いまさァ!!」

土方の弱気な姿勢に首を降るも、青ざめていく目の前の人に沖田は涙が自然と零れた

助かると思っていても経験上難しい

それでも土方ならと希望を捨てずにはいられなかった
土方の制止を無視し救急車も呼んだ

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