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とある日の話

「ここに居やしたか」

気が滅入っていたせいか、人の気配に全く気がつかなかった

「…総悟」

部屋に入り込んできたのは脳内の大半を締めている総悟

言わなくちゃいけない

だけど本人を目の前にして手放したくないと言う想いが高まってしまった

「なんでィ、泣きそうな顔して…っ、土方さ…ん?」

気がついたら目の前まできた総悟を抱き締めていた

驚いた様子の総悟は動揺を見せたかと思うと、何も言わずに抱き締め返してくれる

「…あの女んとこに行くなよ」

出てきたのは言おうとしていた言葉ではなく、自分の感情

総悟の表情を見れなくて肩に顔を埋める

全うな道に戻してやれなくて

引き止めるような真似して

(ごめんな、総悟)

未だに口を開かない総悟に痺れを切らし顔を上げれば奴は苦笑していた

「…土方さん、アンタ馬鹿ですかィ?」

「え?」

予想をしない態度と言葉にまともな返事が出来なかった

「嫉妬してくれたのはすげー嬉しいんですけどねィ」

「嫉妬なんて…」

自覚してしまえば、一気に顔に熱が集まるのが分かる

総悟は嬉しそうに笑うと俺と距離をとり、真っ直ぐ見つめてきた

「俺がどれだけ土方さん一筋で生きてきたと思ってんだィ!!俺があの娘の事好きになるとでも思ったんですかィ?」

告げたれた総悟の想いがひしひしと伝わってくる

「けど…俺は男だし、結婚も…餓鬼だって産んでやれないんだぞ」

素直に嬉しいと言えない自分の性格が憎たらしい

総悟はそれでもいいって言うのか?

「…勘違いしないで下せェよ、俺は土方さんさえ傍に居てくれれば後は何もいりやせんよ」

気がついたらまた涙が溢れていて、総悟はそれを指で拭った

「総悟…ありがとな」

涙でぼやけた視界が戻り、礼を言えば総悟はニヤリと笑みを零して耳元で囁いた


「さて…俺を疑った罰としてお仕置きといきやしょうか」

END
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