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とある日の話


それは市中見廻り中の事

久々に総悟と二人で見廻りをする機会が回ってきた

そして今、総悟の運転する車で市中を廻っているのだが、何度か死ぬ思いをしたのは言うまでもない

何事もない街を一通り廻り屯所に戻ろうと促した時、ふいに総悟が車を止めた

外を見れば茶屋があり、何となく意図が伝わってくる

「土方さん、休憩しやしょう」

やはり予想が的中した
それでも、珍しく頑張ったいた部下に偶にはいいかと思う俺も近藤さんに負けず総悟に随分甘い

「今日は特別だ」

「へーい」

無表情に近いながらも嬉しそうな表情を浮かべる総悟に年相応の反応が見られて俺は何処か安堵して

車から降りて暖簾を潜ると、近くのカウンターに腰を下ろす

早速総悟は団子を頼み、腹が減っていなかった俺はコーヒーを注文した

隣を見やれば伸びをしながら欠伸をしている総悟は朝からの仕事で疲れているらしい

「お前が珍しく仕事してるたァ、雨でも降りそうだ」

褒めてやりたいが、俺の性格上素直には言ってやれず悪態をついてしまう

「ひでーや、土方さん。俺だってたまには仕事くらいしやすぜ」

「たまにって何だよ!仕事は毎回こなすのが普通だろうが!!」


大声を出す俺に周囲の視線は集まり、肝心の総悟は至って冷静で

「俺は土方さんみたいに糞真面目に生きたくはないんでさァ」

俺の思考を悟ってかニヤリと笑って楽しんでるあたりががまた何とも憎たらしい

「お前は不真…」

言いかけた言葉は、店員の女が品を運んで来ることで途切れる

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