入学試験
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ギミックの近くには飛ばされた瓦礫などによって、まだ少し人が残っている。
一人一人救助する時間は…ない!
私は救助方法を考えたがどれも現実的なものではない。
ここは一か八かで、個性を使うしかない。
『〜♩』
歌を歌いながらギミックに近づき、下からギミックを見上げる。
かなり大きい…!けど身体強化をした体なら!
足に力を入れ、真上に思い切り跳ぶ。
ギミックの体に一旦着地して、そこからまた跳び上がりギミックの目の前まで来る。
標的を捉える視覚があるなら、聴覚も備わっているはず…!
初めての個性の使い方だったので、成功する可能性は未知数だった。
だけど、目の前に救助する人がいて何もしないなんて…プロのヒーローになれるわけがない!!!!
今こそ、プルスウルトラだ!
『止まって!!!!』
制御を歌に乗せて、ギミックの目の前で個性を使う。
目を細めて、ギミックを見つめる。
『と、止まった…!』
ギギギ、という大きな音を立てて、ギミックは停止した。
《終了〜〜〜!!!!》
落ちていく体を立て直して、瓦礫の上に着地し、周りの瓦礫で動けなくなっている人を救助する。
「ありがとう。あんた…すげえ個性だな…」
目の下にクマがある男の子が俯きながら言った。
『ありがとう、初めての使い方をしたから、成功するか分からなかったんだけどね』
「…は?あんたも危なかったかもしんないのに飛び出してきたってわけ?」
俯いていた男の子の目が私を捉える。
『うん!だって、目の前に救助する人がいて何もしないなんて出来るわけなかった!
思わず体が動いてたよ』
ニコッと笑うと、男の子はぽかーんとした顔の後、少し微笑んだ。
「ヒーローはあんたみたいな人がなるんだな」
『あなたもでしょ?その後ろの人、救助しようとして駆け出した…とかじゃないのかな?』
「…!!!」
男の子は瓦礫で動けなくなっているわけではなく、その隣にいる人は瓦礫で動けなくなっていた。
だから私はクマのある男の子は助けに来た人だと思ったのだ。
『あなたもよっぽどヒーロー向きだよ!
私ちょっと行かなきゃいけないから、ここはあなたに任せた!じゃあ、またね!』
立ち上がって、クマのある男の子に手を振って駆け出した。
「ヒーロー向き…か」
少年は思い悩むように下を向いてしまったが、その後。小さく微笑んでいた。