圧倒的、悪意
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シクシクとすすり泣く声と、喋り声で目が覚めた。
アイツ、まだ起きてんのか?
そう思い、リビングに向かう。
リビングを見てもアイツの姿はなかった。
となると、和室だろうか。
和室への襖が少し空いており、そこから中の様子を覗く。
中にはアイツが倒れており、少し焦り無事を確認する。
規則正しい寝息が聞こえたので、とりあえず安心した。
顔を覗くと目のところには、先ほどまで泣いていたような、涙の跡があった。
コイツの両親の写真を見て、軽く頭を下げる。
このまま寝かせていては疲労も取れないだろうと、体を軽く揺する。
「おい…」
起きる気配がなく、よっぽど深い睡眠に入っているのだろうと顔を見つめていると、目から滴が一筋溢れた。
『おかぁ……おと……』
そして手を宙に浮かせて何かを探すような動作をしている。
そして、コイツは俺の袖口をぐっと掴んだ。
「クッソ…馬鹿力野郎…」
グイグイと外そうとしても、その度に握る力が強くなる。
はぁーと大きくため息をつき、そのままコイツの体の下に手を入れ、持ち上げる。
俺があてがわれた部屋の隣が、コイツの部屋だろう。
扉を開けると、甘いけれどクドくない爽やかな香りが鼻をつく。
なんだかその香りは俺のペースを乱してくる、コイツの存在に似ていた。
なんだか苛立ちのような感情を覚える。
でも怒りとは違う、不思議な感情だ…。
クソが、と思いながらベットに運び、袖口から手を離すように試行錯誤するが、いかんせん離れることはなかった。
袖口をそのまま、ベット横の床に座り込む。
「この借りは必ず倍で返させたるわ…クソ」
そのままベッドの端に頭を置き、眠りについた。