圧倒的、悪意
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『爆豪くん、家の前まで送ってくれてありがとうね』
「おう」
私がドアを閉めるまで、爆豪くんはドアの前でこちらを見据えている。
いつもの爆豪くんだったら早々とエレベーターに乗りそうなはずなのに。
『爆豪くん…時間ある?
ちょっとだけでいいから一緒にいてくれないかな…?』
爆豪くんは頷いて、私の家に入った。
『お腹すいてる?』
「メシ食った」
『そっか』
そこから2人の間に静寂が流れる。
ブーブーと私の携帯が振動する。
お兄ちゃんという文字が表示されている。
『ごめん、電話でるね。
もしm「サナちゃん!!!!!!!!ヴィランって聞いたけど、無事なの!?怪我はない!?今どこ!?!」お兄ちゃん落ち着いて…。
今さっき病院から家に帰ってきたところだよ。
個性の使いすぎて吐血したくらいだよ。
倒れた時に頭打ったから、検査のために病院に搬送されたんだって』
出だしから大きい声で思わず携帯を耳から離す。
「サナちゃんがヴィランと遭遇したって聞いて仕事を放り出して帰ろうかと思ってるんだけど!!!!…あ?うるせえ!俺の大事な妹の一大事なんだよ!ヒーローコスチュームなんて知るかボケ!!!!…絶対帰るからね!?」
絶対仕事が立て込んでる…。
『お兄ちゃん、無理しないで。
私を思ってくれるのは嬉しいけど、私がヴィランに遭遇したように、世界には今もどこかでヴィランに遭遇して怖い思いをしている人がいると思うの。
それを支えてサポートしているのはお兄ちゃんなんだよ、仕事を優先してほしい。
プロヒーローがいなかったら私たちだって危なかったんだから』
「…わかった。
でも絶対無理はするな、お兄ちゃんとの約束だ」
『うん、ありがとう。
お兄ちゃん、お仕事頑張ってね』
私たちが怖かったように、きっと今悪意にさらされている人がどれだけいるのか。
「逐一連絡いれること!!!!あ!連絡はもちろんサナちゃんの写真付きでね!?」
『写真は付けません』
そう告げると私は電源ボタンをポチッと押した。
ソファーに座っている、爆豪くんはじっと私を見つめていた。
『お兄ちゃん、私のこととなると心配性で』
頬をポリポリかいて、爆豪くんと同じソファーに座る。
『爆豪くんはちゃんとご両親に連絡したの?』
「…電話入れた」
『そっか…』
なんだかさっきまで起こっていたことが、夢だったんじゃないかと思ってしまう。
『あれがプロヒーローの戦っている世界なんだね……強くなりたい…』
ギュッと手に力を入れる。
「だからヒーロー科にいんだろ。
1年でヴィランと戦ったのなんて俺らぐらいなもんだろ。これは、大きな力になんじゃねぇか」
『うん…!うん!そうだよね!!
私強くなる!!』
1-Aのみんなと高め合っていきたい。
この体験をした仲間で!
ピコンピコンと携帯に通知がきているので、メッセージアプリを開く。
明日は臨時休校だって!というメッセージが1-Aに届いていた。
『明日、臨時休校なんだ』
「さすがにな」
まあ流石にそうだよね…。
ヴィランが来た次の日だもんね。
『………爆豪くん、何時に帰るの?
もう結構いい時間だよ?』
「決めてねぇ」
時計を見ると時刻は高校生が帰らなきゃいけないような時刻になっていた。
『決めてねぇって……
ねえ、爆豪くんと親御さんが良かったらなんだけど…
うちに泊まってかない??』
「…は?」
ソファーの肘おきに頬杖をついた爆豪くんは、ずりっと体勢を崩していた。
『お兄ちゃんにはああ言ったけど、やっぱり不安で…
今から爆豪くん帰っても遅くなっちゃうのも不安だし…ダメだったら全然…!』
そういうと携帯を片手に電話をし始める爆豪くん。
「…今日クラスのやつんところ泊まるわ。
うっせぇ!!!!大丈夫だわ!!!
…あぁ、分かってるわ!うっせぇババア!!!明日の昼頃帰るっつの!!」
この前も思ったけど、本当すごいキレ芸だなあ…。