入学試験
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
『お母さん、お父さん。
今日、二人の出身校の入学試験を受けに行くよ。
私、絶対お母さんとお父さんみたいなヒーロになるからね』
二人の遺影前に正座をして、報告する。
元々プロヒーローで雄英高校出身だった両親。
二人とも私が中学生になる前にヴィランとの抗争で他界してしまった。
成人済みだった兄は、それはもう仕事三昧で必死に私を育てあげてくれた。
私がヒーローになりたいと相談した時には、両親のこともあってひどく反対された。
もちろんヴィランが怖くないと言ったら嘘になる。
両親が亡くなってから数年間は、外に出るのも怖くて部屋の中に何日も塞ぎ込んでいた。
何で、ヒーローは沢山いたのに私の両親が犠牲になったのか、どうして自分を犠牲にしてまで、他人を助けられたのか。
色々な黒い感情がぐるぐると回って、自分がどんどん嫌いになってしまいそうだった。
そんな時、家にまで仕事を持ち帰って、必死に私を育てあげてくれる兄がいた。
身を削って、睡眠も食事も十分にとっていないのに私を元気づけようといつも笑顔で私に接してくれる兄を見て思った。
いつまでもヴィランを憎み、怯えて暮らしたくない。
そしてヴィランに怯えて暮らしている人を助けたい。
私が兄に助けられたように。
テレビの中のプロヒーローより、初めて憧れたヒーローは兄だった。
ヒーローを志したきっかけを思い返しながら、お母さんとお父さんの写真を見つめて微笑む。
もうそろそろ出ないとな、と正座を崩して立ち上がろうとすると、ポケットの携帯が振動した。
液晶画面には「お兄ちゃん」の文字が表示されている。
『もしもs「わーーー!サナちゃん!!!!?今日って雄英の入学試験日だよね!?ていうかTV通話にしてほしい!サナちゃんの可愛い顔を見たい!じゃないと仕事頑張れない〜〜!」お兄ちゃんうるさい』
かなりマシンガントークで喋り続ける兄。
「サナちゃんは頭も良いし、運動神経も良いし、心配しなくても受かると思うけど、でもお兄ちゃんとして心配でさ〜〜」
ベソベソとする兄。
周りからはかっこいいと評判だが、私のこととなるとかなり心配性でこのようにシスコンぶりを発揮する。
『うん、ありがとう。
ちょうどお兄ちゃんのこと思い返してたから、電話嬉しいよ。
お母さんとお父さんにも宣言したから、お兄ちゃんにも言うけど…私、絶対ヒーローになるから』
そう私が言うと、いつもおちゃらけている兄の態度が変わったような空気が流れる。
「俺は未だに心配しているし、反対してたけど…。
やるからにはしっかりやれよ、サナ。
お前は俺の自慢の妹、俺にお前の本気見せてみろ」
『うん…!ありがとう、お兄ちゃんもお仕事頑張って』
お兄ちゃんの本気には本気で応えてくれることは、かっこいいと思う。
「サナちゃ〜〜〜ん!ありがとう!お兄ちゃん頑張る!頑張るからサナちゃんの中学制服の写メちょうd」
前言撤回だなあ。
兄が言い終える前に通話を終了し、カバンを持つ。
『行ってきます、お母さん、お父さん!』
いざ行かん!雄英高校!!