戦闘訓練
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「ヴィランチームは先に入ってセッティングを!
5分後にヒーローチームが潜入でスタートする!」
他のチームは対戦会場のビルの地下にてモニタリングをすることとなった。
音声は聞こえることができないが、映像は色々な場所にカメラが仕掛けられているようで様々な角度から見ることができる。
ヒーローチームがスタートし、死角からいきなりヴィラン側の奇襲があった。
「爆豪ずっけえ!奇襲なんて男らしくねえ!!」
ヒーロー側はどうしても後手に回ることとなってしまうので奇襲はしょうがないし、戦略の内だ。
ヴィラン側がどこにいるか分からないのに、スタート地点はヴィラン側に知られているとなれば当然かと思われる。
いきなり個性をぶちかました爆豪くんであったが、デクくんはそれを見越していたかのようにお茶子ちゃんを庇いつつ避けた。
顔の部分のコスチュームが破れており、爆破の威力がいかに強いかが分かる。
モニターに映っている飯田くんは必死に通信を試みている様子なので、これは爆豪くんの暴走で勝手に突っ込んできているということだ。
飯田くんと爆豪の機動力で、2人で上手く連携が取れていれば、お茶子ちゃんとデクくんを拘束もできただろう。
爆豪くんがこうして1人で単独行動をするのには、デクくんが1番の原因のような気がする。
すり抜けていくお茶子ちゃんを止めようともせずにデクくんだけを攻撃しているし、凄くイラついているように見える。
体力テストの時も確かデクくんが個性を使った時に突っかかっていた。
飯田くんがいる核のフロアを見ると、お茶子ちゃんと飯田くんが鉢合わせていた。
機動力は飯田くんの方が上…お茶子ちゃん1人では少々分が悪いかな…。
「爆豪少年、ストップだ」
オールマイトが無線でそう問いかけていたので、爆豪くんとデクくんが映っているモニターに目を向けた時、大きな光と地下まで響く大きな揺れを感じた。
『…爆豪くん……』
何が彼をこうさせているのだろう。
朝、彼と会った時も勝ちや1番に凄く執着していた感じがあった。
デクくんと高校以前の付き合いのようであったし、良く知っている人に負けるのが嫌…?
デクくんの様子を見ていると怯えているものの、必死に立ち向かっている。
それは勝利への階段を一歩ずつ、しっかりと踏み締めて、登り詰めていくようであった。
最初は余裕そうだった爆豪くんの顔も心なしか焦りを感じる。
これはデクくんを恐れているの?だからそんな顔をしているの…?
デクくんは今まで個性を使っていなかった。
体力テストのように一回使ったら体が追い付かず、使い物にならなくなってしまうからだろう。
だから、使うとしたらここしかない。
爆豪くんの拳とデクくんの拳がぶつかり合う…と思われたがデクくんは上に向かって拳を振り上げた。
え!?まさかノーガードで爆豪くんの個性を受けた!?
デクくんは左腕で爆豪くんの個性をガードしており、個性を使って上の階にいるお茶子ちゃんをサポートしていた。
「ヒーローチーム、WIIIIIN!!!」
爆豪くんと飯田くんはほぼ無傷であったが、お茶子ちゃんは個性の使い過ぎによるものか吐いており、デクくんは保健室に運ばれて行ってしまった。
「今回のベストは飯田少年だがな!」
まあそうなるよね…。
うんうん、と頷いているとオールマイトとバチッと目があってしまった。
「どうしてか分かっているようだね?白雪少女!
説明してみてくれるかな?」
そうオールマイトがいうと私に視線が集まる。
『あ、はい。では僭越ながら、観察していて私が思ったことを…。
飯田くんが1番、状況設定に応じて行動していました。
爆豪くんが最初に奇襲を仕掛けるというのは作戦だったら素晴らしいものです、しかし飯田くんと連携が取れていない様子でありましたし、完璧な独断による攻撃です。
飯田くんと爆豪くんの個性と機動力であれば2人で協力し、戦えばヴィラン側の勝利は実現可能なものだったかと思います。
しかしながら、爆豪くんは緑谷くんに対して私情のようなものを感じました。
そして屋内の大規模な攻撃もそうです。
建物が倒壊するような大規模攻撃は、あの場においてナンセンスです。
緑谷くんもこちらに当てはまります。
また個性のコントロールもあり、最終的には倒れてしまっています。
これではヴィランとの戦闘だった場合、命取りになってしまうかと思います。
麗日さんは中盤の気の緩みや、核兵器があるにもかかわらず、攻撃が乱暴すぎました。
ヴィラン役を真面目にこなす飯田くんに対して、あのくらい大胆な攻撃方法であれば不意をつけますので、核を守るような個性なんかサポート役でいれば話は別かと思いますが…
その点、飯田くんは麗日さんの個性に対する対策や、仲間と連携を取ろうという姿勢、核を争奪するという状況設定をちゃんと踏まえて行動できていたので、今回のベストだったかと思います。
以上、私の考察です。
なにか間違えや訂正などあれば、ご遠慮なく宜しくお願いします』
ペコリと頭を下げると、周りからおぉ〜という感嘆の声が上がる。
「せ、正解だよ!!
良い点や改善点なども含めて、しっかりと考えこまれた良い考察だ…!』
震えながらグッジョブと親指を立てるオールマイト。
「サナ、あんたって見かけによらず、ズバズバ物言うのね…」
『うん?まあ考察だしね…?』
響香ちゃんが肘でツンツンと私を突っつき囁き声で言う。
その先に爆豪くんが居て、目を見開いたまま心ここにあらずという表情でどこかを見つめていた。