「「「「「個性把握…テストォ！？」」」」」

入学式とかないんだ…お兄ちゃん来たいって言ってから、お仕事入って正解だったよ。

ざわざわとする中、入学式は？ガイダンスは？と言った声も聞こえる。

「雄英は自由な校風が売り文句
そしてそれは先生側もまた然り」

「ボール投げ、50m走、走り幅跳び、反復横跳び…中学でもやってただろ、“個性禁止”の体力テスト。
爆豪、中学の時ボール投げ何メートルだった？」

「67m」

クリーム色のツンツンした髪型の男の子が答える。

「じゃあ個性を使ってやってみろ、円から出なきゃ何してもいい。
思いっ切りな」

円から出なければ何をしてもいいのか…
私のボール投げは30mちょいだったかなあ。

中学では良い成績だったが、ここはヒーロー科だ。
みんな、すごいんだろうなあ〜。

爆豪くんを見ながら、自分が個性ありでどこまで飛ばせるのか考えていた。

「死ねえ！！！！！」

ん？？？死ねって言った？

すごい爆風とともにボールが青い空へと飛んでいく。

「ます自分の最大限を知る。
それはヒーロの素地を形成する合理的手段」

と言って相澤先生が見せた計測器には705.2mと表示されていた。

うわあ、すっごいな、あの子。
なにやら気になる掛け声だったけど…。

「なんだこれ！すげー面白そう！」
「個性思いっきり使えるんだ！さすがヒーロー科！」

などとみんな口々と発言する。

「面白そう…か。
ヒーローになるための3年間、そんな腹づもりで過ごす気でいるのかい？
よし、トータル成績最下位のものは見込なしと判断し、除籍処分としよう」

え、今先生なんて言った？

「「「「「「はあああ！？」」」」」」

クラスメイトの反応からして、私の聞き間違えじゃなかったみたいだ。

除籍処分はまずいって！！
私の本気がスタート地点で終わってしまってはまずい、何のために雄英高校に入ったんだ！

クラスメイトは理不尽だと相澤先生に文句を言う。
さすがに理不尽ではあるけど、このような状況を乗り越えられなければヒーローになった時も同じような状況になると思うし…。

「これから3年間、雄英は全力で君たちに苦難を与え続ける
プルスウルトラさ、全力で乗り越えて来い」

そう言って私たちを見つめる相澤先生の目は本気の目だった。

最初から洗礼とはなかなかだけれど、これが雄英！
プロヒーローを多く輩出し、お母さんとお父さんの出身校！絶対、上位に食い込んでやる！

私はその本気の目に感化され、ふつふつと戦いの炎を心で燃やしていた。