1.プロローグ
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カチッ………カチッ………
時計の秒針の音が鳴り響く。
あんなに小さな音が響いて聞こえるのはそれだけ室内が静かな証拠だ。
この空間に人間は俺しかいない。あるのは商品が綺麗に陳列した複数の棚。せっせっと秒針を動かす時計、客が寛 げる用にと入口付近に設置した食卓テーブルに丸椅子4つ 。
もはやこの空間での1番の働き者は時計かもしれない。
閉店時間は19:30 で今の時刻は17:50。
商品の陳列に発注。店の掃除等の今日やるべき事はすべて終わらせた。今出来ることは店番のみ。 ただ肝心の客が来ない。
暇。ただただ暇だ。その一言に尽きる。
しょうがない…。
俺はレジカウンターの長机近くに置いた椅子にドカッと座り、週刊少年ジャンプを読みながらタバコをふかすことにした。
‘坂ノ下商店’
ここが俺の働いている店だ。
母方の実家が営んでいる店だが、俺はその跡継ぎをすることになっている。
大学を卒業して早4年。
最初の頃は店の経営の勝手が分からず母親や祖父に頼ることも多かったが、今になっては板についてきた。
板がついたというよりは慣れてきたと言うのが正しいかもしれない。
1本目のタバコを吸い終え、灰皿にギュッと吸い殻を右手で潰す。ただジャンプを捲 る左手は止めずパラパラと読み進めていく。
こうやって暇な時は大概これを読んでいる為、もう内容は分かっている。しかしこれ以上に暇を潰せるものがない。読み終えてはまた最初からページを捲 る。何度も何度もそれを繰り返す。
2本目のタバコに火をつけ、漫画から目を離し壁に掛かっている時計を眺める。
時刻は18:17。約30分ほど流し読みしていた。
店の入口を見るとあたりが暗くなってきていた。
「そろそろか?」
ポツリ…独り言がこぼれた。
ここ坂ノ下商店には日中は町内に住んでいるおばちゃん達で賑わうが、夕方からは客層を変える。
坂ノ下商店 から歩いて10分もかからない位置に高校がある。
宮城県立烏野高校。昔俺が通っていた高校でもある。
この時間帯は部活動を終え、小腹を空かせた運動部がよく訪れる。
中華まんを置いているショーケースを確認する。
十分に蒸しあがっている。数もまぁ足りるだろう。
そう考えている内に店の外の遠くがガヤガヤしてきた。
聞こえてくるのは複数人の歩く音。学生の笑い声。
……ということはそろそろアイツ も来るな?
タッタッタッ………
複数人の歩く音とは違う早いリズムの足音。
足音がこちらの方に向かって大きくなってくる。
タッタッタッ!!!!!!!!!!!!!!…
畜生……まだ2本目付けたばかりなのに……。
ガラガラッッ!!!!!!!!!
勢いよく開いた扉には
まさしく俺が考えていた奴が立っている。
烏野高校の制服に真っ黒のジャージを羽織った団子頭の女……。
「おじさん!来たよ!!!!!!!!!」
「……来やがったな、お団子娘」
時計の秒針の音が鳴り響く。
あんなに小さな音が響いて聞こえるのはそれだけ室内が静かな証拠だ。
この空間に人間は俺しかいない。あるのは商品が綺麗に陳列した複数の棚。せっせっと秒針を動かす時計、客が
もはやこの空間での1番の働き者は時計かもしれない。
閉店時間は19:30 で今の時刻は17:50。
商品の陳列に発注。店の掃除等の今日やるべき事はすべて終わらせた。今出来ることは店番のみ。 ただ肝心の客が来ない。
暇。ただただ暇だ。その一言に尽きる。
しょうがない…。
俺はレジカウンターの長机近くに置いた椅子にドカッと座り、週刊少年ジャンプを読みながらタバコをふかすことにした。
‘坂ノ下商店’
ここが俺の働いている店だ。
母方の実家が営んでいる店だが、俺はその跡継ぎをすることになっている。
大学を卒業して早4年。
最初の頃は店の経営の勝手が分からず母親や祖父に頼ることも多かったが、今になっては板についてきた。
板がついたというよりは慣れてきたと言うのが正しいかもしれない。
1本目のタバコを吸い終え、灰皿にギュッと吸い殻を右手で潰す。ただジャンプを
こうやって暇な時は大概これを読んでいる為、もう内容は分かっている。しかしこれ以上に暇を潰せるものがない。読み終えてはまた最初からページを
2本目のタバコに火をつけ、漫画から目を離し壁に掛かっている時計を眺める。
時刻は18:17。約30分ほど流し読みしていた。
店の入口を見るとあたりが暗くなってきていた。
「そろそろか?」
ポツリ…独り言がこぼれた。
ここ坂ノ下商店には日中は町内に住んでいるおばちゃん達で賑わうが、夕方からは客層を変える。
宮城県立烏野高校。昔俺が通っていた高校でもある。
この時間帯は部活動を終え、小腹を空かせた運動部がよく訪れる。
中華まんを置いているショーケースを確認する。
十分に蒸しあがっている。数もまぁ足りるだろう。
そう考えている内に店の外の遠くがガヤガヤしてきた。
聞こえてくるのは複数人の歩く音。学生の笑い声。
……ということはそろそろ
タッタッタッ………
複数人の歩く音とは違う早いリズムの足音。
足音がこちらの方に向かって大きくなってくる。
タッタッタッ!!!!!!!!!!!!!!…
畜生……まだ2本目付けたばかりなのに……。
ガラガラッッ!!!!!!!!!
勢いよく開いた扉には
まさしく俺が考えていた奴が立っている。
烏野高校の制服に真っ黒のジャージを羽織った団子頭の女……。
「おじさん!来たよ!!!!!!!!!」
「……来やがったな、お団子娘」
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