第一話『やってきました』
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◆
「戦が終わった後、クロはどうする?」
斬艦刀の峰に乗って機械のサムライを迎え撃つ時に、放つ言葉は戦とは関係ない事柄にクロは何だか兄らしいと思った。吹き抜ける風の音が大きいため、後ろのサムライ達には聞こえない。彼女の耳にだけ届く絶妙な距離感で彼は話していた。
「特にありません。むしろ、今この状況で生き残る自信が有り余る兄さんに驚きです」
「駄目だなあ、クロは。それだと面白くないよ」
「結構です。もし兄さんの言う通り、戦が終って生き残れたとしても、やることに変わりはありません」
「へえ……じゃあ何するの?」
「僕は刀です。錆びぬよう、いつでも斬れるように日々己を鍛え、生きていきます。戦で死んだ父もきっとそれを望んでおります」
「父さんは関係ないよ。クロはクロのやりたいことをやればいいんだから。ほんとに真面目だなあ。肩の力を抜いてさ、ちょっとは緩く生きたら?」
「それは、兄さんに任せます」
むーっと唸る兄の背中を見て、口を尖らせ、不貞腐れる子どもっぽい兄の顔が容易に想像できてクロは少しおかしかった。
目の前に広がる光景には斬艦刀や銃を構えて待ち伏せる、彼女達より一回りも大きい機械のサムライたちが多くいるのに、恐怖よりもやってやるという高揚感が勝る。
それは兄も同じようで振り向いて『じゃあ、いこうか』と不敵に笑っていた。やることはいつだって変わらない。生き残るために向かってくる敵を斬って、蹴って、殺し続けるだけだ。
「ねえ、クロ」
「何ですか、兄さん」
兄が口元だけを動かして伝えてきた言葉にクロは最後の最後までとことん兄らしい、なんて思いながら斬艦刀を振りかざす目前の機械化したサムライをめがけて跳んだ。
「戦が終わったら二人で宛のない自由な旅に出ようか」
――これは、約束だよ。
それが、クロが聞いた兄の最期の言葉になった。
「戦が終わった後、クロはどうする?」
斬艦刀の峰に乗って機械のサムライを迎え撃つ時に、放つ言葉は戦とは関係ない事柄にクロは何だか兄らしいと思った。吹き抜ける風の音が大きいため、後ろのサムライ達には聞こえない。彼女の耳にだけ届く絶妙な距離感で彼は話していた。
「特にありません。むしろ、今この状況で生き残る自信が有り余る兄さんに驚きです」
「駄目だなあ、クロは。それだと面白くないよ」
「結構です。もし兄さんの言う通り、戦が終って生き残れたとしても、やることに変わりはありません」
「へえ……じゃあ何するの?」
「僕は刀です。錆びぬよう、いつでも斬れるように日々己を鍛え、生きていきます。戦で死んだ父もきっとそれを望んでおります」
「父さんは関係ないよ。クロはクロのやりたいことをやればいいんだから。ほんとに真面目だなあ。肩の力を抜いてさ、ちょっとは緩く生きたら?」
「それは、兄さんに任せます」
むーっと唸る兄の背中を見て、口を尖らせ、不貞腐れる子どもっぽい兄の顔が容易に想像できてクロは少しおかしかった。
目の前に広がる光景には斬艦刀や銃を構えて待ち伏せる、彼女達より一回りも大きい機械のサムライたちが多くいるのに、恐怖よりもやってやるという高揚感が勝る。
それは兄も同じようで振り向いて『じゃあ、いこうか』と不敵に笑っていた。やることはいつだって変わらない。生き残るために向かってくる敵を斬って、蹴って、殺し続けるだけだ。
「ねえ、クロ」
「何ですか、兄さん」
兄が口元だけを動かして伝えてきた言葉にクロは最後の最後までとことん兄らしい、なんて思いながら斬艦刀を振りかざす目前の機械化したサムライをめがけて跳んだ。
「戦が終わったら二人で宛のない自由な旅に出ようか」
――これは、約束だよ。
それが、クロが聞いた兄の最期の言葉になった。