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　 かつて空に戦があり、サムライが時代を握っていた頃の話である。
　大戦時、機械文明が発達し、サムライが己の全身を機械化し出陣していく中で鍛え上げた肉体を武器に生身で戦い続ける者たちもいた。それらはサムライが大半を占めていたが中には生身の体で、あまつさえ刀も持たず戦い続ける奇異な者たちがいた。
　その者たちは血族相伝の殺人剣術、無刀流を継ぐ一族であった。己を一本の刀とし、手刀や蹴ることで相手を斬る。
　己を刀としているために斬る相手は選ばない。同情はしない。感傷も抱かない。無刀流には男も女も関係ない。
　幼き頃より刀として育てられ、相手を斬るために、戦場で生き残るために、日々を生きていくのである。
　空で繰り広げられた北と南の大戦に、刀としてサムライに仕え、戦死した父の後を継いで、兄妹で出陣した無刀流の一族がいた。
　同じ黒髪に青い目の双子であった。兄をシロ、妹をクロといった。