第二話『狙われました』
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◆
――つまらない。
キュウゾウは見た目には分からぬ程度で眉を寄せ、主であるアヤマロの御殿へ向かって歩いていた。
彼は虹雅渓を治めるアキンドである差配アヤマロの用心棒の一人であり、もう一人の用心棒ヒョーゴとはかつての空の戦で同じ部隊に属していたサムライだった。
アキンドの時代となり、戦なき時代をどう生きればよいのか分からず、サムライくずれとなっていたところを先に拾われていたヒョーゴの紹介でアヤマロのもとで仕え、用心棒となった経緯がある。
アヤマロを狙う組織の存在が真実であると突き止めてきた彼の私兵であるかむろ衆の報告により主の命で用心棒のキュウゾウが出向くことになった。
廃墟寸前の場所で案の定組織の一員達と斬り合いになったがまるで相手にならなかった。彼の睨み一つで相手は射すくめられ、こちらが一方的に斬る形となって戦闘は終了。
久方ぶりの斬り合いだったが満たされなかった。帰ってからまたアヤマロの商談終了まで用心棒を務める虚無の日々に戻るだけ。
戦が終って十年以上それを繰り返してきた。
――退屈だ。
今回はあまりにひどかったので、帰ってから同僚のヒョーゴに八つ当たりならぬ立ち合いを依頼しようかと思っているとキュウゾウの耳に微かな金属音が響いた。
疎らに通りを歩く人々のほとんどは気づいていなかった。気づいたとしても人々は空耳かと気にも止めていなかった。
その音は戦時中何度も聞いた音であり、キュウゾウには馴染みのあるものだった。
――刃と刃が交差する音。
どこから鳴っているのか耳で追うと一つの路地裏へとたどり着いた。近づいていけば金属音の他に血の匂いも鼻についた。
「…………………」
気がつけばキュウゾウは路地裏の奥へと足を伸ばしていた。この渇きを満たしてくれる者であれば誰でも良かった。
できるならば強き者であればよい。
サムライであること。それが彼の一番の望みだった。
――つまらない。
キュウゾウは見た目には分からぬ程度で眉を寄せ、主であるアヤマロの御殿へ向かって歩いていた。
彼は虹雅渓を治めるアキンドである差配アヤマロの用心棒の一人であり、もう一人の用心棒ヒョーゴとはかつての空の戦で同じ部隊に属していたサムライだった。
アキンドの時代となり、戦なき時代をどう生きればよいのか分からず、サムライくずれとなっていたところを先に拾われていたヒョーゴの紹介でアヤマロのもとで仕え、用心棒となった経緯がある。
アヤマロを狙う組織の存在が真実であると突き止めてきた彼の私兵であるかむろ衆の報告により主の命で用心棒のキュウゾウが出向くことになった。
廃墟寸前の場所で案の定組織の一員達と斬り合いになったがまるで相手にならなかった。彼の睨み一つで相手は射すくめられ、こちらが一方的に斬る形となって戦闘は終了。
久方ぶりの斬り合いだったが満たされなかった。帰ってからまたアヤマロの商談終了まで用心棒を務める虚無の日々に戻るだけ。
戦が終って十年以上それを繰り返してきた。
――退屈だ。
今回はあまりにひどかったので、帰ってから同僚のヒョーゴに八つ当たりならぬ立ち合いを依頼しようかと思っているとキュウゾウの耳に微かな金属音が響いた。
疎らに通りを歩く人々のほとんどは気づいていなかった。気づいたとしても人々は空耳かと気にも止めていなかった。
その音は戦時中何度も聞いた音であり、キュウゾウには馴染みのあるものだった。
――刃と刃が交差する音。
どこから鳴っているのか耳で追うと一つの路地裏へとたどり着いた。近づいていけば金属音の他に血の匂いも鼻についた。
「…………………」
気がつけばキュウゾウは路地裏の奥へと足を伸ばしていた。この渇きを満たしてくれる者であれば誰でも良かった。
できるならば強き者であればよい。
サムライであること。それが彼の一番の望みだった。