第四話
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◆
戦場で同じ部隊にいたサムライ、朝倉ゼンと再会した。奴は剣で天下を取っていたサムライの時代の再興を強く願っていた。
そのためにアヤマロを亡き者とし、虹雅渓制圧をするため仲間になってほしい、協力してほしい、と懇願された。
自分の刀になってほしい、とも言われた。
だが俺は協力を断り、朝倉のもとから去ることにした。
時代という変えられないものに強くこだわり、サムライの時代という過去の栄華に執着する朝倉の考え方が、在り方が気に入らなかったからだ。
斬るモノは選ばず、持ち主を選ぶ。
主として己が刃を預け、よりどころにするにはこと足りない。
一本の刀として、己の信念に反する行為だと思った故に。
◆◆◆◆
あれから数日が経ったが、その間に大きな事件が起こるなんてことはなかった。
アヤマロが暗殺されたとか、不届き者が処罰されるとか、何かしらのことが発生するかもしれないと思い(虹雅渓は上層から新しい情報がやってくることが多いことから)マスターの遣いで上の階層に行った際には周囲に聞き耳を立てていたが、特に何もなかった。
ただ少しだけ異常はあった。
虹雅渓で祭りでもあるのか、白い仮面を身につけた者をたびたび見かけることがあったのだ。
宿のマスターに虹雅渓特有の行事でもあるのかと聞いたが、
「知らないアル」
と首を振られる。
虹雅渓では毎日のように外から人が入っている街なのだから、変わったモノをつけていてもこれといった不思議はないらしい。
ただのお洒落なのではないかとのことだった。
俺は、日課の鍛錬をしたり、マスターの遣いをしたりする日々を送っていた。時折、マスターからもらった菓子を手土産に工房を訪れて、マサムネとキクチヨと三人でとりとめもない話をした。
その中で、キクチヨがアキンドの店を壊してしまい、店主に見つかる前に逃亡してきたことを聞いた。
作業をしながらも聞いていたマサムネは「また暴れたのか」と呆れ顔になる。キクチヨが虹雅渓にある建物や店を壊すのはよくあるようだった。
確かに、あの大太刀を手に大立ち回りをされたらひとたまりもない。マスターのオンボロ宿なんて、一振りで崩れそうだ。
「店主から弁償金求められても、助けてやらないからな。自分でなんとかしろよ、キクの字」
「ふん。別にとっつぁんの助けなんて、期待してねぇよ。その時は俺様がコレでなんとかしてやるぜ」
キクチヨは肩に担いだ大太刀を振り回した。
マサムネにやめろと注意されても無視して振り続けている。
「…………」
刀なんて振ったらそれこそ駄目なのでは、と突っ込むのはやめにした。マサムネの方を見遣る。駄目だ、反省の色なしと首を振り、肩をすくめた。
別日。
マスターに頼まれた遣いで、虹雅渓の第三階層から第五階層の間を駆けまわっていたら、以前、宿の薪割りを手伝ってくれた元工兵サムライ、ヘイハチと偶然にも再会した。
どうやらヘイハチが利用する飯場の近くを通りかかったようだ。
丁度、仕事の休憩時間のようで、二人で並んで座って話をした。話している途中、マスターから薪割りの仕事をしてほしいと言われたことを思い出した俺は、また薪割りの手伝いを頼みたい、近いうちに自分が迎えに行くからと伝えた。
「承知しました」
いつもの恵比寿顔でヘイハチは頷いてくれた。
「最近はどうだ」
「変わらず飯場で日銭を稼ぐ仕事を探して、こなす日々ですね。それと米が食べられていないので、米が食べたいです」
「食べたいのか」
「はい。お腹いっぱい食べたいですね」
「本当に米が好きだよな」
「ええ、ええ。お米は本当に最高ですよ」
まるで目の前に米のよそわれた茶碗があるかのように身振り手振りをする。
「おかずはいりません。白米だけでも何杯でもいけちゃいます」
米の話をするとヘイハチの顔と声は明るくなり、トーンが一段と上がる。心の奥に戦の疵を抱えている者とは思えないくらいに。
「ヘイハチ、よかったら、また米の蘊蓄を聞かせてくれないか」
「いいですよ。お米にはですね、七人の神様が宿っていると伝えられておりまして」
休憩時間の終わりを告げる鐘が鳴るまで、ヘイハチによる米についての話は続いた。今日一日だけで米という言葉を一生分も聞いたと思う。相も変わらず、米大好きサムライだった。
「なんか、お前の休憩時間を奪ったみたいで悪かったな」
「いえいえ。気にしないでください。シキ殿、それではまた」
「ああ」
仕事仲間がヘイハチのもとに駆け寄ってきて、共に現場へと戻っていく。俺が見送っていると、ヘイハチの隣を歩いている男はにやけ面でヘイハチの肩を叩き、俺の方へ指を差し何かを言っている。対してヘイハチは「誤解ですよ」と手を振っている。
気のせいか。
ヘイハチの刀の柄にぶら下がっているてるてる坊主の頬が赤くなって見えたような。一体、何の話をしているのやら。さて。
そろそろ戻るかと立ち上がり、腕を回して、その場を後にする。次の薪割りをやった時の報酬は米にしてもらうよう、マスターに頼んでみるのもいいかもしれないと思った。
戦場はなく、生死をかけた斬り合いもなく、緊迫感もない。
血の匂いがしない、退屈だが平穏な日常。
父上が生きていれば、腕が鈍ってしまうぞと叱責を受けそうな日々を送っていた。そんな俺に罰を与えるかのように、その事件は起こった。
◆◆◆◆
その日の始まりはいつも通りだった。
俺が鍛錬を終えて、昼過ぎに出先から宿へ戻るとマスターはカウンターにいて、昼飯にお湯をいれるだけですぐできるという不思議なものをすすって食べていた。
俺に気付くと「丁度いいアル」と言って箸を置き、隠れてごそごそとしたかと思うと箱を取り出して、カウンターの上に置いた。
それは菓子箱だった。
また余ったのか、と聞くとマスターは首を振り、「貰い物アル」と眉をひそめた。
「この菓子、ワタシ嫌いアル。お前にあげるヨ」
「…………」
コイツ、人をゴミ処理機か何かと勘違いしていないか。いらないなら捨てればいいと思ったが、丁度、前に露店で買った食用豆を切らしていたので、ありがたく受け取った。
だが量が多くて一人では食べきれない。とっておいても良かったが、箱に書かれている期限を見る限り、この菓子、あまり日持ちしそうにない。
食べられなくなったらそこらに捨てて鳥の餌にすればいいが、見るからに高そうなお菓子だったので、これを土産にマサムネの工房へ行くのもいいかもしれない。キクチヨがいたら三人で分けられるくらいの量もある。
よし。
そうと決まれば、まずは鍛錬でかいた汗を拭って体を清潔にして、少しの間、休んでから行こう。
前に洗ってほしておいた手拭いは乾いているはずだ。部屋に戻ろうとすると、マスターが「おい、シキ」と声をかけてきた。
「何だ」
「その菓子を報酬にお前に頼みたいことアルネ」
「はい?」
人からもらっておいて、自分は食べないからとあげた菓子を報酬にする奴がどこにいる。
いや、いたわ。俺の目の前に。
「お前、ここ第六階層で刀鍛冶を営んでいるマサムネって爺さんと知り合いダロ」
「それがどうかしたのか」
「ワタシをそこへ連れて行って欲しいアル」
俺は何故だと首を傾げる。
マスターが刀鍛冶に用事なんてあるのか。サムライじゃないから刀剣の類なんて必要としないだろうに。そういうとマスターは「違うアル」と首を振った。
「用があるのは爺さんじゃないネ。よくその工房へ顔を出しているっていう機械のサムライの方に用があるネ」
まさかのキクチヨへの用事だった。
マサムネ相手なら商売でもするのかと予想はできるが、キクチヨに用があるとはどういうことなのか。意味が分からないという俺にマスターは「聞いてくれアル」と事の経緯を説明し始めた。
別段、秘密にすることでもないらしい。
マスターが俺に頼みたいのは用心棒だった。知り合いのアキンドから頼まれて、キクチヨを連れてこいと言われたという。
「そのアキンド、とっても運がないネ。キクチヨっていう機械のサムライに自分の店を三回も壊されたらしいアル」
一度ならず二度までも。仏の顔も三度まで。
店を三回も壊れたからには店の修理代とお詫びの金をキクチヨに払ってもらいたいという。
そういえば、前に工房で話をした時にアキンドの店を壊して逃げてきたっていうのを聞いたな。
確かに街で喧嘩する度にものを壊すことはキクチヨのお家芸だとマサムネから聞いてはいたが、全部が全部キクチヨのせいじゃないだろうに。
「アキンドの勘違いとか、見間違いっていう線はないのか」
「これを見るヨロシ」
マスターは懐から一枚の紙を取り出し、カウンターの上に置いた。近寄ってみるとそこにはキクチヨの人相が描かれていた。
戦場にいた機械のサムライ、雷電や紅蜘蛛とは違う、恐らく非正規で改造された甲冑姿。その特徴をとらえていて、一目でキクチヨだと分かる。
アキンドに描かせた犯人の顔アル、とマスターは言った。
「こんな分かりやすい奴、見間違える方がどうかしているネ」
「まあ、確かに」
話を聞いていて疑問に思ったのだが、被害に遭ったというアキンド自身がキクチヨに会いに行って交渉をすればいいのではないか。
なぜマスターが代わりに行くことになっているのか。そう指摘するとマスターは「仕方ないアルヨ」と息を吐いた。
「上層での暮らしに染まったおかげで、治安が悪くて物騒な下層には降りて行きたくないらしいアル。だからここ第六階層で宿屋をやっていて、知り合いでもあるワタシに声がかかったということアル」
「つまり、壊した金についてキクチヨに請求したい。だが自分は危険な目に遭いたくないから、ソイツの代わりにマスターが連れて来いと」
「そういうことアル」
「…………」
気に入らない。
自分のことだというのに、成すことに対する代償を他人に負わせようとするとは。
「断る」
「おいシキ」
「菓子もいらない」
マサムネとキクチヨに会いに行くのは別の機会とする。カウンターに菓子箱を置いて、さっさと部屋に戻ろうとするとマスターが必死になって引き留めてきた。
「待つアルヨ!」
「うるさい」
「お前、なんで断るアルカ」
「…………」
「お、お前、もしかしてワタシのことを」
「違う」
期待の眼差しを向けてくるマスターに俺は首を振る。
「マサムネに迷惑がかかる。営業妨害だ」
「……それだけ?」
「それだけだ」
「何だヨ。ワタシじゃなくて、爺さんの心配かヨ!」
「当然だろ」
誰がお前の心配なんかするか。仮にマスターが工房へ行けたとしても、キクチヨが確実にいるとは限らないというのに。
俺がそういうと「来るまで待たせてもらえばいいアル」と、マスターは言った。
駄目だ、話にならない。
「とにかく、何と言われようと俺は行かないから」
「お前、そんなこと、言っていいアルカ?」
「どういうことだ」
まさか今まで無料にした宿代を払えとかいいだすのだろうか。
マスターは「ばらすアルヨ」と口にした。
「ばらす? 何のことだ」
「ある人にワタシの宿にお前が泊ってるヨってネ」
色付きメガネの奥にあるマスターの目が怪しく光る。なんだか嫌な予感がする。
誰にばらすのか、なんて聞かずともマスターの表情や場の空気から読める気がするのに。
俺は確かめずにはいられなかった。
「ばらす相手って、まさか、金髪のサムライだとか言わないだろうな」
「おお。馬鹿なお前にしてはやるじゃないアルカ。大当たりネ」
「…………」
当たってしまった。
だが金髪で、サムライなんて、探そうと思えばいくらでもいそうだ。まだ『アイツ』とは限らない。
焦るな、自分。
「ちなみに、おサムライ様のお名前は『キ』から始まって『ウ』で終わるネ」
「ふうん……キョウって奴とか?」
「残念、外れネ。その方のお名前は五文字アルヨ」
「キノコ野郎か」
「馬鹿アルネ。お前それ、六文字ダヨ」
「…………」
「悪あがきなんて、みっともないネ。いい加減、観念して大人しくワタシの用心棒するヨロシ」
とどめといわんばかりにマスターはそのサムライの特徴を並べていく。金髪のソイツは赤い外套を纏っていて、二本の刀を背に差し、虹雅渓最上層にいる差配アヤマロの用心棒をしているらしい。
『アイツ』以外でその特徴に当てはまる人物を知らなかった。
「さあ、どうするアルカ」
「…………」
「ワタシはバラしても一向に構わないアルヨ。嫌なのはお前だけアル」
俺は頭を抱えた。
そろそろ虹雅峡での滞在も潮時なのかもしれない。ならば出立に必要な金を少しでいいから貯めておかないといけない。
「……はあ」
結局、観念した俺は用心棒を引き受けることにした。情報戦においては悲しいことに俺に勝ち目はなかった。
◆◆◆◆
俺はマスターを連れて、マサムネの工房へ向かって歩いていた。途中、用心棒としてついていく際にマスターへ以下のことを約束させた。
一つ、工房に目的の人物であるキクチヨがいなかった場合、すぐ帰ること。
一つ、マサムネに迷惑をかけないよう、キクチヨを工房の外へ連れ出すこと。
一つ、キクチヨが怒って斬りかかってきた場合、マスターを守りはするが、襲ってきたキクチヨに対して返り討ちにするつもりはないこと。
マスターは二つ返事で了承した。
だがアキンドからの依頼には乗り気ではないようで、宿の壁にもたれかかっては「面倒アル」と溜息を吐いていた。
断ればよかったのでは、と思っても口には出さない。面倒を背負ってでも、アキンドの頼みを聞くことを決めたのはマスターだから。日が落ちる前に終わらせようと言われ、俺は頷いた。
休まず歩き続けて工房付近までやってきた。
宿から工房まで距離あっても道はほぼ平坦だから歩きやすい。
だというのにマスターは両膝に手をついて辛そうに息を吐いている。普段から適度な運動をしていないのがよくわかる。マスターと足並みを揃える気のない俺はとっとと進んでいく。
「あそこを曲がれば、目的地は目の前だ」
遠くでしんどいとふらふらしているマスターにそう言って先を歩き、曲がり角に差し掛かった時、ある匂いが鼻をつき、俺は足を止めた。嗅いだのは覚えがあるもので、戦場でたくさん感じた……血の匂いがした。
先行く俺が立ち止まったのを見て「どうしたアルカ?」とマスターは汗を拭いながら声をかける。
「早く進めアル」
「ここで待ってろ」
「え」
「様子を見てくる」
そう言うと同時に俺は駆け出した。
工房には違和感があった。煙突から煙が出ていない。この時間ならいつも溶接作業で煙がふいているはずなのに。休んでいるのだろうか。だが、そうじゃないとすれば。
嫌な予感がする。
工房の中に飛び入ると、目にした光景に俺はハッとした。中がめちゃくちゃに荒らされていた。中央にある作業場を囲うように置かれていたスクラップの山々が崩され、床に散乱している。
泥棒にでも入られたのか。
辺りを眺めていると、スクラップでできた山の一つに埋もれる形で倒れているマサムネとキクチヨを発見した。
俺は駆け寄り、二人が被さっているスクラップをどけると、みるからに重症そうなマサムネを抱き起した。
タコ殴りにされたのか、顔中が痣だらけで、更には鍛冶職人として大事な腕も斬られていた。
「マサムネ、おいマサムネ、しっかりしろ」
何度呼びかけても、体を揺すっても返事はない。
首元に触れてみる。
脈は動いているから死んではいない。
気絶しているだけだった。
ひとまずほっとしていると、俺の声が聞こえたのか、マサムネの隣で倒れているキクチヨから「プシュー」と噴射音が鳴った。
「その声は……シキか?」
「キクチヨ」
起きたのか、と見遣れば目に当たるゴーグルが弱々しくも光っていた。キクチヨもマサムネ同様に殴られたのか、酷い状態だった。
甲冑の装甲がボコボコに凹んでいて、両腕がもげていた。
工房内で戦闘があったのは明白で、刀で斬られた部品が転がっており、キクチヨの刀が壁に突き刺さっていて、その柄には掴んだままの状態で手がついていた。
スクラップをどけてマサムネを横たえさせると、今度はキクチヨを引っ張って起こした。
機械化した身体の関節からギシギシと嫌な音が鳴る。ヘマをしちまった、とキクチヨは悔しそうに声を漏らした。
「いきなり工房に変な集団がやってきてよ、とっつぁんを襲っていたんだ」
「変な集団?」
「ああ。白い仮面をつけた気味の悪い連中だった。ソイツ等、とっつぁん一人を相手に数人で囲んで殴っていやがったんだ」
それでよ、とキクチヨは続ける。
「奴ら、現れた俺様を見て、こういったんだ。『丁度いい。探す手間が省けた』って」
「それは……」
白仮面達の狙いは、マサムネとキクチヨの二人だったということか。
「何人かは倒せたんだが、奴ら、俺様に恐れをなしたのか、鉄砲なんか取り出して『動いたら撃ち殺す』って、とっつぁんを人質に取りやがったんだ」
「…………」
「それでこのザマだぜ。ちくしょう……」
「……そうか」
キクチヨはもっと話をしたいようだが、俺はそれを制した。二人とも重症だ。話は後で聞くから、まずは医者に診てもらった方がいい、と言った。
俺は工房を出て、外で待たせていたマスターに事情を簡単に説明すると、ひどく驚いていたものの、ここの近くに腕の立つ馴染みの医者がやっている診療所があるからそこへ二人を連れて行くヨロシ、と言った。
意外だ。
てっきり、マスターのことだから、他人の厄介事に巻き込まれたくないからほっといて逃げるネ、とか言い出すかと思っていたのに。
「お前、今失礼なこと考えなかったアルカ」
「いや別に」
怪しいとジロジロ見てきたが、重症の人がいるからか、すぐに諦めて息を吐く。
「まあ、いいアル。とりあえず、ワタシは爺さんを背負っていくから、お前はあの機械のサムライを頼むアル」
「分かった」
マサムネとキクチヨを無事に診療所へ送り届け、宿に戻る頃には日がすっかりと暮れて夜になっていた。
部屋で横になっていると、アキンドから頼まれた依頼をどうしようかと思案しているマスターの声が戸の向こう側から聞こえてくる。
俺は布団の上で仰向けになって目を閉じた。
キクチヨとマサムネの見舞いに行こうと思いつつ、別のことも考える。キクチヨの言っていた言葉が気になった。
白い仮面の集団か。最近、虹雅渓でやたらと目に付く奴らと関係があるかもしれない。一体どうして、何のために二人は襲われたのだろうか。
戦場で同じ部隊にいたサムライ、朝倉ゼンと再会した。奴は剣で天下を取っていたサムライの時代の再興を強く願っていた。
そのためにアヤマロを亡き者とし、虹雅渓制圧をするため仲間になってほしい、協力してほしい、と懇願された。
自分の刀になってほしい、とも言われた。
だが俺は協力を断り、朝倉のもとから去ることにした。
時代という変えられないものに強くこだわり、サムライの時代という過去の栄華に執着する朝倉の考え方が、在り方が気に入らなかったからだ。
斬るモノは選ばず、持ち主を選ぶ。
主として己が刃を預け、よりどころにするにはこと足りない。
一本の刀として、己の信念に反する行為だと思った故に。
◆◆◆◆
あれから数日が経ったが、その間に大きな事件が起こるなんてことはなかった。
アヤマロが暗殺されたとか、不届き者が処罰されるとか、何かしらのことが発生するかもしれないと思い(虹雅渓は上層から新しい情報がやってくることが多いことから)マスターの遣いで上の階層に行った際には周囲に聞き耳を立てていたが、特に何もなかった。
ただ少しだけ異常はあった。
虹雅渓で祭りでもあるのか、白い仮面を身につけた者をたびたび見かけることがあったのだ。
宿のマスターに虹雅渓特有の行事でもあるのかと聞いたが、
「知らないアル」
と首を振られる。
虹雅渓では毎日のように外から人が入っている街なのだから、変わったモノをつけていてもこれといった不思議はないらしい。
ただのお洒落なのではないかとのことだった。
俺は、日課の鍛錬をしたり、マスターの遣いをしたりする日々を送っていた。時折、マスターからもらった菓子を手土産に工房を訪れて、マサムネとキクチヨと三人でとりとめもない話をした。
その中で、キクチヨがアキンドの店を壊してしまい、店主に見つかる前に逃亡してきたことを聞いた。
作業をしながらも聞いていたマサムネは「また暴れたのか」と呆れ顔になる。キクチヨが虹雅渓にある建物や店を壊すのはよくあるようだった。
確かに、あの大太刀を手に大立ち回りをされたらひとたまりもない。マスターのオンボロ宿なんて、一振りで崩れそうだ。
「店主から弁償金求められても、助けてやらないからな。自分でなんとかしろよ、キクの字」
「ふん。別にとっつぁんの助けなんて、期待してねぇよ。その時は俺様がコレでなんとかしてやるぜ」
キクチヨは肩に担いだ大太刀を振り回した。
マサムネにやめろと注意されても無視して振り続けている。
「…………」
刀なんて振ったらそれこそ駄目なのでは、と突っ込むのはやめにした。マサムネの方を見遣る。駄目だ、反省の色なしと首を振り、肩をすくめた。
別日。
マスターに頼まれた遣いで、虹雅渓の第三階層から第五階層の間を駆けまわっていたら、以前、宿の薪割りを手伝ってくれた元工兵サムライ、ヘイハチと偶然にも再会した。
どうやらヘイハチが利用する飯場の近くを通りかかったようだ。
丁度、仕事の休憩時間のようで、二人で並んで座って話をした。話している途中、マスターから薪割りの仕事をしてほしいと言われたことを思い出した俺は、また薪割りの手伝いを頼みたい、近いうちに自分が迎えに行くからと伝えた。
「承知しました」
いつもの恵比寿顔でヘイハチは頷いてくれた。
「最近はどうだ」
「変わらず飯場で日銭を稼ぐ仕事を探して、こなす日々ですね。それと米が食べられていないので、米が食べたいです」
「食べたいのか」
「はい。お腹いっぱい食べたいですね」
「本当に米が好きだよな」
「ええ、ええ。お米は本当に最高ですよ」
まるで目の前に米のよそわれた茶碗があるかのように身振り手振りをする。
「おかずはいりません。白米だけでも何杯でもいけちゃいます」
米の話をするとヘイハチの顔と声は明るくなり、トーンが一段と上がる。心の奥に戦の疵を抱えている者とは思えないくらいに。
「ヘイハチ、よかったら、また米の蘊蓄を聞かせてくれないか」
「いいですよ。お米にはですね、七人の神様が宿っていると伝えられておりまして」
休憩時間の終わりを告げる鐘が鳴るまで、ヘイハチによる米についての話は続いた。今日一日だけで米という言葉を一生分も聞いたと思う。相も変わらず、米大好きサムライだった。
「なんか、お前の休憩時間を奪ったみたいで悪かったな」
「いえいえ。気にしないでください。シキ殿、それではまた」
「ああ」
仕事仲間がヘイハチのもとに駆け寄ってきて、共に現場へと戻っていく。俺が見送っていると、ヘイハチの隣を歩いている男はにやけ面でヘイハチの肩を叩き、俺の方へ指を差し何かを言っている。対してヘイハチは「誤解ですよ」と手を振っている。
気のせいか。
ヘイハチの刀の柄にぶら下がっているてるてる坊主の頬が赤くなって見えたような。一体、何の話をしているのやら。さて。
そろそろ戻るかと立ち上がり、腕を回して、その場を後にする。次の薪割りをやった時の報酬は米にしてもらうよう、マスターに頼んでみるのもいいかもしれないと思った。
戦場はなく、生死をかけた斬り合いもなく、緊迫感もない。
血の匂いがしない、退屈だが平穏な日常。
父上が生きていれば、腕が鈍ってしまうぞと叱責を受けそうな日々を送っていた。そんな俺に罰を与えるかのように、その事件は起こった。
◆◆◆◆
その日の始まりはいつも通りだった。
俺が鍛錬を終えて、昼過ぎに出先から宿へ戻るとマスターはカウンターにいて、昼飯にお湯をいれるだけですぐできるという不思議なものをすすって食べていた。
俺に気付くと「丁度いいアル」と言って箸を置き、隠れてごそごそとしたかと思うと箱を取り出して、カウンターの上に置いた。
それは菓子箱だった。
また余ったのか、と聞くとマスターは首を振り、「貰い物アル」と眉をひそめた。
「この菓子、ワタシ嫌いアル。お前にあげるヨ」
「…………」
コイツ、人をゴミ処理機か何かと勘違いしていないか。いらないなら捨てればいいと思ったが、丁度、前に露店で買った食用豆を切らしていたので、ありがたく受け取った。
だが量が多くて一人では食べきれない。とっておいても良かったが、箱に書かれている期限を見る限り、この菓子、あまり日持ちしそうにない。
食べられなくなったらそこらに捨てて鳥の餌にすればいいが、見るからに高そうなお菓子だったので、これを土産にマサムネの工房へ行くのもいいかもしれない。キクチヨがいたら三人で分けられるくらいの量もある。
よし。
そうと決まれば、まずは鍛錬でかいた汗を拭って体を清潔にして、少しの間、休んでから行こう。
前に洗ってほしておいた手拭いは乾いているはずだ。部屋に戻ろうとすると、マスターが「おい、シキ」と声をかけてきた。
「何だ」
「その菓子を報酬にお前に頼みたいことアルネ」
「はい?」
人からもらっておいて、自分は食べないからとあげた菓子を報酬にする奴がどこにいる。
いや、いたわ。俺の目の前に。
「お前、ここ第六階層で刀鍛冶を営んでいるマサムネって爺さんと知り合いダロ」
「それがどうかしたのか」
「ワタシをそこへ連れて行って欲しいアル」
俺は何故だと首を傾げる。
マスターが刀鍛冶に用事なんてあるのか。サムライじゃないから刀剣の類なんて必要としないだろうに。そういうとマスターは「違うアル」と首を振った。
「用があるのは爺さんじゃないネ。よくその工房へ顔を出しているっていう機械のサムライの方に用があるネ」
まさかのキクチヨへの用事だった。
マサムネ相手なら商売でもするのかと予想はできるが、キクチヨに用があるとはどういうことなのか。意味が分からないという俺にマスターは「聞いてくれアル」と事の経緯を説明し始めた。
別段、秘密にすることでもないらしい。
マスターが俺に頼みたいのは用心棒だった。知り合いのアキンドから頼まれて、キクチヨを連れてこいと言われたという。
「そのアキンド、とっても運がないネ。キクチヨっていう機械のサムライに自分の店を三回も壊されたらしいアル」
一度ならず二度までも。仏の顔も三度まで。
店を三回も壊れたからには店の修理代とお詫びの金をキクチヨに払ってもらいたいという。
そういえば、前に工房で話をした時にアキンドの店を壊して逃げてきたっていうのを聞いたな。
確かに街で喧嘩する度にものを壊すことはキクチヨのお家芸だとマサムネから聞いてはいたが、全部が全部キクチヨのせいじゃないだろうに。
「アキンドの勘違いとか、見間違いっていう線はないのか」
「これを見るヨロシ」
マスターは懐から一枚の紙を取り出し、カウンターの上に置いた。近寄ってみるとそこにはキクチヨの人相が描かれていた。
戦場にいた機械のサムライ、雷電や紅蜘蛛とは違う、恐らく非正規で改造された甲冑姿。その特徴をとらえていて、一目でキクチヨだと分かる。
アキンドに描かせた犯人の顔アル、とマスターは言った。
「こんな分かりやすい奴、見間違える方がどうかしているネ」
「まあ、確かに」
話を聞いていて疑問に思ったのだが、被害に遭ったというアキンド自身がキクチヨに会いに行って交渉をすればいいのではないか。
なぜマスターが代わりに行くことになっているのか。そう指摘するとマスターは「仕方ないアルヨ」と息を吐いた。
「上層での暮らしに染まったおかげで、治安が悪くて物騒な下層には降りて行きたくないらしいアル。だからここ第六階層で宿屋をやっていて、知り合いでもあるワタシに声がかかったということアル」
「つまり、壊した金についてキクチヨに請求したい。だが自分は危険な目に遭いたくないから、ソイツの代わりにマスターが連れて来いと」
「そういうことアル」
「…………」
気に入らない。
自分のことだというのに、成すことに対する代償を他人に負わせようとするとは。
「断る」
「おいシキ」
「菓子もいらない」
マサムネとキクチヨに会いに行くのは別の機会とする。カウンターに菓子箱を置いて、さっさと部屋に戻ろうとするとマスターが必死になって引き留めてきた。
「待つアルヨ!」
「うるさい」
「お前、なんで断るアルカ」
「…………」
「お、お前、もしかしてワタシのことを」
「違う」
期待の眼差しを向けてくるマスターに俺は首を振る。
「マサムネに迷惑がかかる。営業妨害だ」
「……それだけ?」
「それだけだ」
「何だヨ。ワタシじゃなくて、爺さんの心配かヨ!」
「当然だろ」
誰がお前の心配なんかするか。仮にマスターが工房へ行けたとしても、キクチヨが確実にいるとは限らないというのに。
俺がそういうと「来るまで待たせてもらえばいいアル」と、マスターは言った。
駄目だ、話にならない。
「とにかく、何と言われようと俺は行かないから」
「お前、そんなこと、言っていいアルカ?」
「どういうことだ」
まさか今まで無料にした宿代を払えとかいいだすのだろうか。
マスターは「ばらすアルヨ」と口にした。
「ばらす? 何のことだ」
「ある人にワタシの宿にお前が泊ってるヨってネ」
色付きメガネの奥にあるマスターの目が怪しく光る。なんだか嫌な予感がする。
誰にばらすのか、なんて聞かずともマスターの表情や場の空気から読める気がするのに。
俺は確かめずにはいられなかった。
「ばらす相手って、まさか、金髪のサムライだとか言わないだろうな」
「おお。馬鹿なお前にしてはやるじゃないアルカ。大当たりネ」
「…………」
当たってしまった。
だが金髪で、サムライなんて、探そうと思えばいくらでもいそうだ。まだ『アイツ』とは限らない。
焦るな、自分。
「ちなみに、おサムライ様のお名前は『キ』から始まって『ウ』で終わるネ」
「ふうん……キョウって奴とか?」
「残念、外れネ。その方のお名前は五文字アルヨ」
「キノコ野郎か」
「馬鹿アルネ。お前それ、六文字ダヨ」
「…………」
「悪あがきなんて、みっともないネ。いい加減、観念して大人しくワタシの用心棒するヨロシ」
とどめといわんばかりにマスターはそのサムライの特徴を並べていく。金髪のソイツは赤い外套を纏っていて、二本の刀を背に差し、虹雅渓最上層にいる差配アヤマロの用心棒をしているらしい。
『アイツ』以外でその特徴に当てはまる人物を知らなかった。
「さあ、どうするアルカ」
「…………」
「ワタシはバラしても一向に構わないアルヨ。嫌なのはお前だけアル」
俺は頭を抱えた。
そろそろ虹雅峡での滞在も潮時なのかもしれない。ならば出立に必要な金を少しでいいから貯めておかないといけない。
「……はあ」
結局、観念した俺は用心棒を引き受けることにした。情報戦においては悲しいことに俺に勝ち目はなかった。
◆◆◆◆
俺はマスターを連れて、マサムネの工房へ向かって歩いていた。途中、用心棒としてついていく際にマスターへ以下のことを約束させた。
一つ、工房に目的の人物であるキクチヨがいなかった場合、すぐ帰ること。
一つ、マサムネに迷惑をかけないよう、キクチヨを工房の外へ連れ出すこと。
一つ、キクチヨが怒って斬りかかってきた場合、マスターを守りはするが、襲ってきたキクチヨに対して返り討ちにするつもりはないこと。
マスターは二つ返事で了承した。
だがアキンドからの依頼には乗り気ではないようで、宿の壁にもたれかかっては「面倒アル」と溜息を吐いていた。
断ればよかったのでは、と思っても口には出さない。面倒を背負ってでも、アキンドの頼みを聞くことを決めたのはマスターだから。日が落ちる前に終わらせようと言われ、俺は頷いた。
休まず歩き続けて工房付近までやってきた。
宿から工房まで距離あっても道はほぼ平坦だから歩きやすい。
だというのにマスターは両膝に手をついて辛そうに息を吐いている。普段から適度な運動をしていないのがよくわかる。マスターと足並みを揃える気のない俺はとっとと進んでいく。
「あそこを曲がれば、目的地は目の前だ」
遠くでしんどいとふらふらしているマスターにそう言って先を歩き、曲がり角に差し掛かった時、ある匂いが鼻をつき、俺は足を止めた。嗅いだのは覚えがあるもので、戦場でたくさん感じた……血の匂いがした。
先行く俺が立ち止まったのを見て「どうしたアルカ?」とマスターは汗を拭いながら声をかける。
「早く進めアル」
「ここで待ってろ」
「え」
「様子を見てくる」
そう言うと同時に俺は駆け出した。
工房には違和感があった。煙突から煙が出ていない。この時間ならいつも溶接作業で煙がふいているはずなのに。休んでいるのだろうか。だが、そうじゃないとすれば。
嫌な予感がする。
工房の中に飛び入ると、目にした光景に俺はハッとした。中がめちゃくちゃに荒らされていた。中央にある作業場を囲うように置かれていたスクラップの山々が崩され、床に散乱している。
泥棒にでも入られたのか。
辺りを眺めていると、スクラップでできた山の一つに埋もれる形で倒れているマサムネとキクチヨを発見した。
俺は駆け寄り、二人が被さっているスクラップをどけると、みるからに重症そうなマサムネを抱き起した。
タコ殴りにされたのか、顔中が痣だらけで、更には鍛冶職人として大事な腕も斬られていた。
「マサムネ、おいマサムネ、しっかりしろ」
何度呼びかけても、体を揺すっても返事はない。
首元に触れてみる。
脈は動いているから死んではいない。
気絶しているだけだった。
ひとまずほっとしていると、俺の声が聞こえたのか、マサムネの隣で倒れているキクチヨから「プシュー」と噴射音が鳴った。
「その声は……シキか?」
「キクチヨ」
起きたのか、と見遣れば目に当たるゴーグルが弱々しくも光っていた。キクチヨもマサムネ同様に殴られたのか、酷い状態だった。
甲冑の装甲がボコボコに凹んでいて、両腕がもげていた。
工房内で戦闘があったのは明白で、刀で斬られた部品が転がっており、キクチヨの刀が壁に突き刺さっていて、その柄には掴んだままの状態で手がついていた。
スクラップをどけてマサムネを横たえさせると、今度はキクチヨを引っ張って起こした。
機械化した身体の関節からギシギシと嫌な音が鳴る。ヘマをしちまった、とキクチヨは悔しそうに声を漏らした。
「いきなり工房に変な集団がやってきてよ、とっつぁんを襲っていたんだ」
「変な集団?」
「ああ。白い仮面をつけた気味の悪い連中だった。ソイツ等、とっつぁん一人を相手に数人で囲んで殴っていやがったんだ」
それでよ、とキクチヨは続ける。
「奴ら、現れた俺様を見て、こういったんだ。『丁度いい。探す手間が省けた』って」
「それは……」
白仮面達の狙いは、マサムネとキクチヨの二人だったということか。
「何人かは倒せたんだが、奴ら、俺様に恐れをなしたのか、鉄砲なんか取り出して『動いたら撃ち殺す』って、とっつぁんを人質に取りやがったんだ」
「…………」
「それでこのザマだぜ。ちくしょう……」
「……そうか」
キクチヨはもっと話をしたいようだが、俺はそれを制した。二人とも重症だ。話は後で聞くから、まずは医者に診てもらった方がいい、と言った。
俺は工房を出て、外で待たせていたマスターに事情を簡単に説明すると、ひどく驚いていたものの、ここの近くに腕の立つ馴染みの医者がやっている診療所があるからそこへ二人を連れて行くヨロシ、と言った。
意外だ。
てっきり、マスターのことだから、他人の厄介事に巻き込まれたくないからほっといて逃げるネ、とか言い出すかと思っていたのに。
「お前、今失礼なこと考えなかったアルカ」
「いや別に」
怪しいとジロジロ見てきたが、重症の人がいるからか、すぐに諦めて息を吐く。
「まあ、いいアル。とりあえず、ワタシは爺さんを背負っていくから、お前はあの機械のサムライを頼むアル」
「分かった」
マサムネとキクチヨを無事に診療所へ送り届け、宿に戻る頃には日がすっかりと暮れて夜になっていた。
部屋で横になっていると、アキンドから頼まれた依頼をどうしようかと思案しているマスターの声が戸の向こう側から聞こえてくる。
俺は布団の上で仰向けになって目を閉じた。
キクチヨとマサムネの見舞いに行こうと思いつつ、別のことも考える。キクチヨの言っていた言葉が気になった。
白い仮面の集団か。最近、虹雅渓でやたらと目に付く奴らと関係があるかもしれない。一体どうして、何のために二人は襲われたのだろうか。
