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動き出す歯車

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「チケッート!!」

「もったー!!」

「ハンカチ〜」

「持った〜!!」

「ライブ開始まで〜〜」

「あと、5時間」

「「イェーイ!!」」

「俺ら完璧!!」

外の駅前の一角、歩いていた琴音は、元気よく持ち物確認をして互いにハイタッチを交わす金髪の外人の青年と水色髪の青年を視界に捉えていた。


3/21

今日は東京アリーナで17時開演のTRIGGERのライブがある。街中一体にTRIGGERの宣伝のポスターが散りばめられているため、嫌でもそれは目についた。

彼らもおそらく、そのライブに行くのだろうと琴音はそう予測した。サッサと自分も用事を済ませて自分も東京アリーナに向かわないとなと思っていると、琴音は視界に入った人物に大きく眼を見開いた。



「よかったな〜、名誉挽回のチャンスが来て」

ハイタッチを交わしたのは金髪の青年のナギ、と水色髪の青年の環。そんな二人の様子を腕くんで見ていたのは海松色の髪の青年の大和だった。

「いやぁ…謹慎明けから遅刻とかねえから」

「それーに、TRIGGERのライブ心から楽しみで〜す」

「だな!!」

二人の返答に笑顔で返す大和。そのさなか、環のお腹の虫が耳に聞こえるくらい響いた。その音に唖然とする3人。すかさず大和は苦笑しながら2人に提案を示した。

「会場向かうには早いし、どっかで飯食ってから行こーぜ」

「グッドでーす!!
日本一のタワーが見えることでランチしましょ〜」

「おぉ!!」

ナギが指差した壁にはられているポスター、それはソライロタワーの春風フェスタの開催を知らせるものだった。

その様子を遠巻きに見ていた琴音はゆっくりと彼らに近づいて声をかけた。

「すみません、よかったら私もご一緒していいですか??」

ふんわりと笑みを浮かべた琴音、そんな彼女に3人はそれぞれ違った驚愕な反応を示した。

「なんで??」

「ハイ、お嬢さん!!もちろんですよ〜」

琴音じゃねーか!!」

3人の様々な反応、特に大和の驚いた表情を見れた琴音はクスクスと小さく笑みを零した。

「大和さんが見えたからつい声掛けちゃった
ついでに私もソライロタワー行く予定だったから」

迷惑だったかなと苦笑いを浮かべる琴音に、そんなことねーよと大和は答えた。そんな二人の様子にナギと環は不思議そうに首を傾げた。

「ヤマート!!」

「誰??その人、ヤマさん」

前のめりになる二人に若干引き気味になる琴音。大和は琴音の肩をポンポンと叩くと、二人に彼女を紹介した。

「この子は天羽琴音だ、少し前に知り合ってな
琴音、隣から...」

「知ってる知ってる〜!!
四葉環くんと
六弥ナギくんでしょ〜」

紹介しようとする大和の言葉を遮る形で琴音は口を開いた。それに大和を始め3人は唖然とした。

「どーして、俺達のこと知ってんだ〜?」

「それはね....」

「ワタシたちのファンですか〜」

言葉を区切りもったいぶる琴音に、ナギは目を輝かせて詰め寄る。まさかとナギの主張に苦笑する大和をよそに琴音は軽快に指を鳴らした。

「アッタリ〜!!」

「おぉ〜、スゲェー」

「ハァ〜!?!?どういうことだよ!?」

この事実に嬉しそうにはしゃぐ二人に対して、大和は素っ頓狂な声を上げて驚いた。その彼の様子に、琴音は頬を膨らませた反発する。

「どういうことだよって...
こっちのセリフなんですけど〜」

「ウッ...それはだな...」

「どーせ、照れくさくって言えなかったのかも知んないけどさぁ〜
普通さ、相談相手に報告くらいするよね」

「ヤマさん、ヒドい」

「大和、それはよくないデスよ」

ここぞとばかりに大和に詰め寄る琴音の勢いに押された大和は目線を泳がせるが、彼にさらに追い打ちをかけるように環とナギが非難する。

「お前ら...ここぞとばかりに...」

大和は大きくため息を吐きガクリと肩を落とした。だが、琴音がいつから知っていたのか疑問が沸き、大和はげんなりとした表情のまま琴音に尋ねた。

「いつ知ったんだ??」

「........ひ・み・つ」

「...ソウデスカ」

「なぁなぁそれより早く行こーぜ
お腹空いた!!」

「イェース!早く行きましょう!!」

大和の疑問は結局解決しないまま環とナギの言葉で話切り上げられてしまった。そしてそのまま彼ら4人は、電車に揺られてソライロタワーの最寄り駅に向かうのだった。

ナギは、現在ソライロタワーとコラボしているマジカルココナの原作コミックス全巻を買うと嬉しそうに意気込む。それに部屋にあるだろと大和と環は呆れながら反応を示す。だが、ナギの言い分はというと限定グッズを手に入ること、そしてファンなら貸し出し用と保存用を揃えるべきだという主張であった。だが、そんな主張にすぐ興味が薄れた環はハンバーガーを食べたいと主張した。環の言葉に大和は即座に付近にあるハンバーガの店を調べ始めた。

「ハンバーガーなら近くに店あるな
タマと俺で買いに行くか…
琴音はどうする??いる??」

スマホの画面から目線を琴音に向ける。琴音はもう別行動だと思っていたのでまさかの言葉に驚いた。

「えぇ…いいの!!」

「食べたいなら買っとくよ」

「ありがと、環くん
じゃあお願いしようかな」

「じゃあナギはベンチの確保、ついでにその本も買ってきなさい」

大和の言葉にナギは大きく頷くと一目散に駆け出していってしまった。

「ナギくんって、ホントにマジカルここな好きなんだね
正直ギャップがあり過ぎる」

「アハハ…黙ってれば美青年なんだけどな」

「ヤマさん、早く行こうよ」

「そうだな!じゃまた後でな、琴音

二人を見送った後、琴音はソライロタワーに向けて歩き出す。せっかくのご厚意によって貰った丸1日のお休みだ。グッと大きく伸びをすると琴音はお目当ての物を見に行くのだった。だが、十分に堪能することが出来ず琴音は急いで彼らのもとに引き返すハメになる。


*****

琴音と別れた環と大和はハンバーガーの店に並んでいた。並んでいる間にラビチャにメニューの写真を送る環。だが、ナギと電話していたのにプツンと何を食べるのか聞き終える前に切れてしまった。その事に環は不機嫌になってしまった。

「んだよ!!クイズ出してんじゃねーよ」

「…どうしたんだ」

「ナギっちのやつ、どれがいいって聞いたら答えはCMの後〜みたいに切りやがったんだよ
もぅ!!!電話してもでね〜し!!
ちょ−腹減ったし、今日ちょーあっちーし!!」

スマホから視線を外すと環は素直に思っていることを口に出し、シャツの襟元手を差し込みパカパカと動かし風を送り込んだ。

「テキトーに頼んどきゃよかったのに」

「食べたくないもの出されたらやだろ」

苦笑しながら環に口を開く大和。だが、その言葉に環は真剣な面付きで答えた。

「タマはそういうこと真面目だな」

そう言うと大和はカバンからあるものを取り出す。それはライブの時のために持ってきたもので、迷わず大和はそれを環に吹き付けた。

「おぉ!!なにこれ涼しい!!」

スプレーから出てくる霧状のものはひんやりとしていて、環は大きく眼と口を開いて驚いた。

「冷却スプレー
ライブって暑くなるだろ?」

「もっとかけて!!」

「好きなだけクールダウンしなさい」

ガバっと環は襟元を開く。その場所目掛けて大和はニコニコとスプレーを吹き付けた。

「ふたりとも何やってるの!!」

大和に予め教えてもらった場所に着いた琴音は思わぬ光景に思わず口を開いた。その声に気づいた環は嬉しそうに口を開いた。

「暑かったから、ヤマさんが涼しくしてくれた
いいだろ!!」

「大和さん、ライブに向けて用意周到だね」

「まぁ、お兄さんだからこれくらい当然でしょ」

「環くん、羨ましい…」

羨ましそうにクールダウンしている環を見る琴音。そんな彼女を横目に見た大和は、スプレーの矛先を環から琴音に変えた。

「キャァ!!」

急にきたひんやりとした体感に琴音はビクッと体を震わせた。

「どうだ〜、涼しいか??」

「うん!!とっても涼しい!!ありがと大和さん」

「ヤマさん!!俺にも!!」

「もう十分したろ、それにこれ以上使ったら無くなっちゃうだろ」

環の言葉に苦笑する大和だが、辺りの騒がしさに手を止めた。

「なんか騒がしくね」

「あぁ!!忘れてた!!火事だって!!皆避難してるんだよ」

「えぇ!!そうなのか!!早く言ってよ!!」

「マジか、ナギのやつ巻き込まれてないだろーな」

琴音の口から出てくる情報に環が思わず声を上げる。その言葉に平謝りする琴音を横目に、大和はベンチで待ち合わせ予定のナギの身を案じるのだった。

3人は慌てて集合予定の場所に行く。だが、そこにはナギの姿は見えなかった。その中、環がベンチの下にナギが背負っていたものと同じ黒色のボストンバッグを見つけた。

「ナギのカバンか?デザインちょっとが違うような…」

「俺の目に狂いはないって!!」

自分の意見をお仕切り環は黒色のボストンバッグを引きずり出し両手で持った。

「…おっも!!漫画おっも!!」

「しゃーねーな…そのへん探してみるか」

「そうだね、ひょっこりナギくんなら現れそう」

そして環が黒いボストンバッグを背負うのを琴音と大和は手伝う。そして3人はナギを探して辺りを歩き始めた。だが、よほど背負うものが重いのか環から愚痴が漏れ出す。

「…マジ、重いっつ〜の」

「コラコラ
本が折れたりしたらナギに説教されるぞ
爆弾背負ってるくらい丁寧に扱ってやんなさい」

「爆弾って!!まさか〜!!」

「爆弾なんか一生背負うことねーよ
ヤマさんめっちゃウケる」

大和の冗談を交えた言葉に環と琴音は小さく笑い声を上げた。まさか、その黒色のボストンバッグに入っているものの正体が本物の爆弾だとはその時は微塵たりとも思わなかったからだ。
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