お酒の威力
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「琴音さん、今度あの場所でライブやるんですけど
ご都合よろしければチケットを送ります」
その日から暫く経ち、琴音の元に紡から野外ライブをやるという知らせが届いた。その知らせに琴音は目を輝かせ、慌ててスケジュール帳を取り出して言われた日程が空いてるかの確認を取る。
「ホントに!!
…その日は、
うん!今のとこ、空いてる!!」
「では、送るんで住所教えてもらってもいいでしょうか?」
「もちろん!お手数おかけします」
紡の申し出に琴音は自分の自宅の住所を述べていく。それを紡は書き留めるのだが、その後思わず不安に思っていることを琴音に漏らしてしまった。
「…完売できるでしょうか」
「何、弱気になっちゃってるの?
だーいじょーぶ!!
今回は即完売だよ、私が予言してあげる」
不安げな声を漏らす紡を励まそうと琴音が励ましの声をかけた。琴音の陽気な口調に、紡は大丈夫なような気がしてきた。琴音の楽観的ともとれるセリフ。だが、なぜだか彼女自身が発した言葉はストンと紡の胸に落ちるのだった。
琴音!行くわよ!!
「あっ、紡ちゃん!呼ばれちゃったから切るね…
じゃぁ…」
姉鷺に呼ばれ、琴音は慌てて紡に断りを入れ通話を切った。そして慌てて姉鷺の元へ。
「何!?嬉しいことでもあったのかしら?」
傍に来た姉鷺に指摘された琴音は大きく目を見開く。その反応に姉鷺は小さく息を吐いた。
「いつも以上に頬が緩んでるわよ」
「ありゃま…」
呆れた声を出す姉鷺の言葉に琴音は照れ臭そうに頬を掻いた。
「……まぁ何があったか知らないけど、次の仕事に支障はきたさないようにね」
「はーーーい!!」
姉鷺に琴音は陽気よく片手を挙げた。姉鷺に指摘されるまで気づかなかったが、それほどまでに自分にとって嬉しかったことらしい。あの、最初にライブをした場所がお客さんで一杯になる光景を思い浮かべるだけで琴音は胸が高鳴った。
*****
「琴音、今から来れるか??」
「今から!?どこに??」
「お兄さん達と飲まない??丁度、琴音の家の近くの居酒屋で飲んでるんだよ」
「ん、じゃあ行く!!」
久しぶりに家で楽曲を制作していた琴音は、大和からのお誘いに返事を返すと、急いで指定された場所へ向かうのだった。
「おっ!!こっちこっち!!」
「ホントに来た~」
「こんばんは、琴音さん」
「おっ!成人組の飲みに混ざっちゃっていいの!?
お疲れ様~、3人とも」
琴音が、居酒屋の扉を潜ると個室に通された。すると、そこにいたのは大和と三月と壮五の成人したメンバーだった。
「いいんですよ!呼べって頼んだの俺ですし!」
「流石に、未成年の前で飲むのは気が引けて…」
「そうなんだ!
じゃあ、お構いなく混ざらせてもらいますね」
既に何杯か飲んだのか三月の顔はほんのりと赤く染まっていた。
「何飲む?琴音??」
「うーん…皆何飲んでるの??」
「「ビール!!!」」
「……聞く相手間違えた」
大和の隣が空いていたためそこに腰かけた琴音に大和がメニュー表を提示する。それを覗き込み暫し悩む琴音はふと他の3人は何を飲んでいるのかと尋ねる。が、三月と大和はジョッキビールを手に取り宙に上げたことに、琴音はミスったと苦笑いを浮かべた。
「琴音さん、僕が飲んでるこれなんかどうですか?」
「おっ!美味しそう!!
壮五くんって、強いの??」
「どーなんだろう」
「コイツさっきから度数高いのしか飲んでないのに、顔色変わんねぇんだよ
ミツと大違い」
「うっせーな!おっさん!!」
「いいじゃんいいじゃん!!
酔ってるかどうかわかりやすくて可愛げがある」
琴音のふとした疑問に真剣に悩み始める壮五を見て、大和はジョッキを傾けながら軽快に笑い飛ばす。それにいつも以上の大きな声を上げて三月は突っ込みを入れた。
「可愛いっていうなぁ~
って、琴音さんて俺より上?下??」
「どっちでしょう~か?」
「大和さんと気軽に話してるから、同い年ですか??」
「違う違う!!コイツ、俺より年は下だ」
「えっ?じゃあ20か21ってことか!?」
「そうだよ~
ミツと同じ年!!」
「…ッ!マジか!!」
「マジです!!」
「なんだよ~、それなら早く言ってくれよ琴音!」
「ごめんごめん!!」
イエィ!!!
同い年だと知った途端、三月は砕けた口調に。そして二人は嬉しそうにハイタッチを交わした。
「なぁ?ゼロって知ってるか??」
「もちろん!!知ってる!!」
「俺その人と会った事あるんだぜ~!!」
「えぇ~!!凄い!!」
そして直ぐに意気投合し2人だけで夢中に喋りだす。そんな彼らを横目に大和はジョッキを傾ける。
「ソウは混ざんなくていいのか??」
「えっ…まぁ…」
「アイツに遠慮はいらないと思うし、なにより音楽好きなソウと話し合うと思うけど…」
「そう言う大和さんはいいんですか??」
「俺はあそこに混じる元気はないかなぁ~
年だな年!」
「年って、1歳しか違わないじゃないですか」
「あいつらが元気すぎんだよ」
「アハハ、本当に元気良いですよね
僕もあの2人のテンションについていける自信ないです」
三月と琴音のテンションの高さに大和と壮五は苦笑いを浮かべるとそっちサイドとは逆に静かに飲むのだった。