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動き出す歯車

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「動かないで!!あなた達そのカバンの中身はなに!!」


突如、聞こえてきた声に3人はピタリと動きを止めた。声の方に視線を向けるとスーツ姿の女性が手すりを掴んで必死に声をかけ、隣では男性が誰かに連絡を取っていた。

「なに言ってんだ??行こ」

怪訝な表情を浮かべ環はすぐに踵を返すように歩き出そうとするが、再びその女性に呼び止められてしまった。あまりにも切羽詰まった呼びかけに大和と琴音はただごとではないと察した。だが、事情がわからない3人は困惑しながら反対方向にいる2人を見る。その中、環がバッグを背負い直すと2人が青ざめて頭を抱えて悲鳴を上げる。

「…なんなんだ??」

「さぁ??」

「俺、ひとっ走りして聞いてこようか??」


「駄目よ!!動いちゃ駄目!!」

大きく両手を上げ静止しようとする女性。だが、遥か遠くにいるため声が届かないため増々事情が飲み込めず3人は顔を見合わせた。遂には、環がファンかなと思い立ち、大きく手を振って返したり、ダンスをする始末。
だが、どうやら違うらしく、彼女は環の行動を見て頭を抱えてしゃがみこんでしまった。

「見てねーし…なんなんだよ」

「うーん、ここからじゃ何言ってるかわかんないね…」

「様子が変だな
よし、お前らはそこでじっとしてな」

明らかに様子が可笑しいと踏んだ大和が事情を聞きに向こう岸へひとっ走りするのだった。



ひとっ走りした大和は、お目当ての2人のところにナギがいることに気づく。そして、合流した大和は今起こっている事態を知るのだった。そんな事態を知らない環と琴音は退屈そうに視線をやった。いつまでたっても帰ってこない彼らに環はしびれを切らしそうであった。

「なぁ!!まだ俺は動いちゃいけないの!!」

大声で主張する環に、大和は大きな動作をして駄目と合図した。

「ねぇ!!いつまで動いちゃ駄目なんだよ」

「さぁ…
とりあえず落ち着こうよ、環くん」

「むーり!!腹減ったし!!」

「お腹すいたのは賛成〜!!」

アハハと苦笑しながら琴音はなんとか環を落ち着かせようと声を掛け続けた。しばらくして大和とナギを含めてコチラに帰ってきた彼らからようやく琴音と環は事情を知る。

漫画を買いに行ったナギの背負っていたカバンと、テロリストの爆弾を入れたカバンが勘違いにより入れ違えになってしまったらしいのだ。そして、今爆弾は環が背負っているカバンに入っているのだ。

「…マジな話!?」

「爆弾!?!?」

当然その事実に青ざめる環と琴音。ついさっきまで冗談を言っていたことが現実に起こってしまったのだ、流石に環の恐怖で手を震わした。そんな環に勇気づけするように琴音達は声をかける。それに小さく頷いた環は誘導される形で移動した。

「なんでタマを移動させるんだ??
無駄な動きで爆発する危険があるんだろ?」

誘導される環の背を見ながら、大和はナギの肩に手を置き彼に疑問を投げかけた。それにナギは真剣な表情を浮かべながら答えた。

「狙撃される可能性があるからです
転倒させればセンサーが稼働します」

「なるほど、それはマズイね」

「で??なんでお前さんは此処に残ってるんだ??」

ため息まじりの大和の言葉に、さきほどの表情を崩してナギは自身の背負っているカバンを見せるように動いた。

「もう一度、テロリストが勘違いすることを願っています
大和と琴音は環と避難してください」

避難を促すナギ。その言葉に大和と琴音は顔を見合し何かを確認した。そして頷きあうと代表して琴音が口を開いたのだった。

「そういう話なら私達も残るよ」

「why??」

「その漫画を読んでみたくなったからさ」

不思議そうに見るナギに、大和は彼の背負っているカバンを親指と人差し指を立てて指差して答えた。

「ページが折れないように守ってやるよ」

「ヤマトは口下手です…
今は照れずに情熱的なメッセージを私に投げかけていい場面ですよ?」

ニコリと笑みを浮かべる両者にナギは大きく息を吐いた。その後、真面目な表情で発せられたナギの言葉に大和と琴音は苦笑いを浮かべた。

「そんなの大和さんには無理でしょ!!」

「決め台詞まで指定しないでくれる??」

互いに笑い合う3人、だがそれも一瞬。何かに気づいたナギが慌てて伏せて!!と大きな声を出して二人に覆いかぶさるように倒れ込んだ。それと同時に後ろにあったショーウインドウのガラスが割れ、大きな音を立てて破片が飛び散った。

「撃たれたのか!!」

「yes」

「なんで撃たれる前にわかったの??」

「レーザーサイトです
これで方角がわかりました…あそこです!!」

ナギがある建物を一睨みする。そして、すぐさま警察を呼びに走り出した。

「待てよ!!なんでそんなことがわかるんだ」

「マンガの読みすぎです!!」

「自分で言うな!!」

「ナギ君カッコいい!!」

琴音は間に受けるな!!」

そして、先程の男性の警察官に狙撃されたことを説明し、ナギが目星をつけた建物へと4人は向かった。

「あの男でーす!!」

丁度橋を渡っているタイミングである一人の男が慌てて建物から出てきた。

「止まれ!!」

警官が拳銃を突きつける。だが、物怖じせずに男は懐から取り出した銃を発砲。その銃弾は警官の左腕に当たったのだった。

「え…嘘…」

「まじか…」

急いで逃げ去る男と座り込んで負傷した部位を押さえる警官を口語に琴音と大和は見た。

「不味いです
このままでは一般市民にも被害が…」

ただ1人、ナギは警官に寄り添いつつこの状況を冷静に分析する。そして、考え抜いた策を2人に伝えるのだった。



「どこだ!!爆弾は何処に居る!!」

一先ず警察から逃げた男は辺りを見渡して本物の爆弾が入ったボストンバッグのありかを探していた。

「うわ……っ」

「囮の連れだな」

切羽詰まった表情をしていた男だが、視界に入ったのは囮の彼と一緒にいた海松色髪の眼鏡の青年。思わず男はニヤリとほくそ笑んだ。男を見て怯えた表情を浮かべた大和は後退りしようとするが足がすくんで動けず座り込んでしまう。そんな大和にずんずんと近づくと男は彼の胸倉を掴んで銃を突きつけた。

「本物の爆弾はどこにある!!
言え!!!」

「止めて!殺さないで……!」

銃を突き付けられた大和は必死に懇願するように男にしがみついた。

「騒ぐな!!爆弾のありかを言え」

「助けて!誰にも言いませんから……!
…どうか、命だけは…っ」

「…ッ、離せ!!」

男は大和を必死に引き剥がそうとする。しかし、大和の雰囲気はここで一変した。

「……ッ
好きなだけクールダウンしなさい!」

ニヤリと大和は口角を上げると手に持っていた冷却スプレーを至近距離で男の目に向かって吹き付けた。途端に男は痛みに悶絶して両手で目を覆った。

「今だ!!」

「オッケー!!」

大和の掛け声とともに曲がり角からナギが出てくる。そして男の背に飛び蹴りを喰らわした。その衝撃で男は持っていた銃を手放し倒れ込んだ。

「ヤマト!銃を踏んでキープ!
暴発に気を付けて!」

「おっ…おう」

ナギの指示に戸惑いながらも大和は転がった銃の元へ駆け寄り、銃を踏みつけた。

「…ッ、貴様!」

身体を起こして眼をごしごしと擦ってナギを一睨み。そして立ち上がって襲い掛かろうとする。

「神よ…ここなよ…どうか
ワタシが今から行う冒涜行為を何卒お許しください」

「何をごちゃごちゃ……!?」

一方のナギは胸の前で手を組みポツポツと祈っていた。その行為が男の神経を更に逆なでする。拳を握りナギへ飛び込む男。だが、ナギはキランと目を光らせると背に持っているボストンバッグの紐をギュッと握った。

「原作コミックスアタック!!!」

ガツンとナギは27巻の重さをもちあわせたバッグを男の後頭部へ上からたたき落した。
それをもろに喰らった男はそのまま地面に伸びてしまった。

「…漫画って武器にもなるんだな」

「良い子は真似してはいけません」

唖然とこの光景を目の当たりにした大和は思わずそう呟いた。そんな彼にナギは輝くような笑みを浮かべるのだった。
だがそれも束の間、少し離れた後ろから男の仲間と及ぼしき人物が銃を構えていた。

「…っ、後ろ!!」

大和の声と同時に発砲音が鳴る。だが、ナギは華麗にその銃弾を避けると一気に彼との距離を詰めて顔面にキックを喰らわした。

「…ッ
ワタシの背後から襲い掛かっていいのは夜明けを共にした恋人だけです!」

そして体制を崩した彼にナギはパチパチと張り手を叩き込みノックダウンさせた。

「…しつこい男は嫌いですよ」

「ナイス作戦!!」

大和はナギにグッドと親指を立てた。その声にナギは表情を元に戻し彼の元へかけ寄ってハイタッチをした。

「ヤマトもナイス演技です
顔は見られませんでしたが、声だけでも真に迫る演技でした」

「ま、ハッタリは得意だからな」

「へぇ…?」

「おまえさんこそ、そんな格闘技どこで習ったんだ?」

「ここなに憧れて練習しました」

「ふぅん……?」

「二人とも大丈夫!!」

互いに不信感を抱き始める雰囲気に。そんな雰囲気をぶち壊すように丁度いいタイミングで両者の間に割って入るように女性警官を連れて戻ってきた琴音が声をあげた。

「まぁ…なんとかな」

「凄い無茶な作戦でヒヤヒヤしたよ」

「でも結果オーライです!!」

楽観的なナギに対して琴音は唖然とするが、まぁ確かにそうだと笑みを浮かべるのだった。
そして女性警官から男性警官の無事と環の無事を確認した3人はホッと胸を撫でおろした。そして、ライブの時間まで2時間あるから間に合うと思っていた3人。だが、彼女から告げられたのは死刑宣告に近い言葉だった。

「爆弾処理はどれくらいで終わります??」

「2時間くらいね??」

「え…」

「あっちゃ…」

「No…」

一気に気分は急降下。3人はマジかとげんなりとした表情を浮かべるのだった。
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