動き出す歯車
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ライブが終わり、一人一人数少ないお客さんに頭を下げる紡に琴音は近寄る。それに気づき紡が声を上げた。
「あ!どうでしたか!!」
「凄く良かったです
貴女のお誘いにノッて良かったです」
「ありがとうございます!!」
「応援してます
頑張ってください」
そう言い残し琴音はこの場を立ち去った。そして先程聞いた彼らの曲を余韻に浸るように鼻歌をしている琴音のスマホが小刻みに揺れた。
「もっしもーし」
「今からそっち行っていいか??」
通話越しから聞こえる声の持ち主からの直球の言葉に琴音は眉をひそめた。
「仕事終わりなのに来るの?
疲れてるでしょ
家戻って休んだほうがいいんじゃないですか?」
「指図は受けねぇーぞ」
「せっかく人が心配してるのに」
「俺がいいって言ってんだからいいんだよ」
「売れっ子さんは体調管理もできねぇーのかって八乙女さんに言われても知らないからね」
「うっせ
親父を話題に出すな」
「ハイハイ」
ご機嫌斜めな彼の声に、宥めるように琴音は笑みを浮かべると、通話を切って家路を急ぐのだった。
「…コレやる」
琴音は家に戻り、既に待っていた青年…八乙女楽と共にリビングに入った。そして、まだ食べてないと言われたため軽く簡単なものを作り遅めの夕食を済ませリラックスしていた時、楽がおもむろに何かを取り出して差し出してきた。
「…なにこれ??」
琴音は目の前に差し出されたチケットみたいなものと珍しく照れくさいのかそっぽ向く楽を交互に見ると、戸惑いつつそれを受け取った。そして、琴音は受け取ったその中身を確認した。
「3/21にやる俺達の東京ドームのツアーだ」
「いつも行ってるのに??」
「…それは裏方でだろ?
客として誘ってるんだ」
何を今更と…不思議そうな顔を浮かべる琴音に楽は呆れながら大きくため息を付く。
対して、その言葉に琴音は一瞬目を瞬かせるが、すぐに良いのかなと顔を曇らせた。
「……でも」
「外から見るのも勉強のうちに入るんじゃないかって…
姉鷺が言ってた。
俺もそう思う」
「姉鷺さんが!?!?」
「あぁ…
ま、それは建前で
1日くらい何もかも忘れて羽根を伸ばして楽しんで良いんじゃねーの??
ってのが、俺達の気持ちだ」
「アハハ…なるほどね」
楽の言葉から伝わる温かい想いに、琴音は嬉しそうに目を細めた。
「そのご厚意ありがたく頂戴させていただきますね」
裏方をしてたら、見れない完璧なパフォーマンスをする彼らTRIGGERのライブを一度でいいから見たいと秘かに思っていた琴音にとっては願ったり叶ったりのお誘いだ。
それにあの姉鷺さんがゴーサインを出したのだからとやかく言われることはないだろうとありがたく琴音はそれを受け取った。
「いやぁ…楽しみだなぁ〜
早くその日になんないかなぁ」
「気がはえーな」
「別に良いでしょ?」
「まぁーな
それよりなんか一曲弾いてくれよ」
「こんな夜遅くに??」
楽の要望に、怪訝な表情をする琴音の言葉に楽は呆れながら言い返した。
「…防音だろうが、此処」
「あっちゃ…指摘されちゃったか
ではでは…ご要望にお答えしまして僭越ながら一曲」
琴音の家事情を知っている楽のごもっともな発言に言い返す言葉が見当たらず、愛想笑いを浮かべた琴音は重たい腰を上げると、壁に立てかけてあるフォークギターを取り出した。
「リクエストは??楽」
「...琴音のオススメで」
「りょーかい」
楽の言葉に琴音は小さく微笑むと、落ち着いたテンポの曲を奏で始めるのだった。
「あ!どうでしたか!!」
「凄く良かったです
貴女のお誘いにノッて良かったです」
「ありがとうございます!!」
「応援してます
頑張ってください」
そう言い残し琴音はこの場を立ち去った。そして先程聞いた彼らの曲を余韻に浸るように鼻歌をしている琴音のスマホが小刻みに揺れた。
「もっしもーし」
「今からそっち行っていいか??」
通話越しから聞こえる声の持ち主からの直球の言葉に琴音は眉をひそめた。
「仕事終わりなのに来るの?
疲れてるでしょ
家戻って休んだほうがいいんじゃないですか?」
「指図は受けねぇーぞ」
「せっかく人が心配してるのに」
「俺がいいって言ってんだからいいんだよ」
「売れっ子さんは体調管理もできねぇーのかって八乙女さんに言われても知らないからね」
「うっせ
親父を話題に出すな」
「ハイハイ」
ご機嫌斜めな彼の声に、宥めるように琴音は笑みを浮かべると、通話を切って家路を急ぐのだった。
「…コレやる」
琴音は家に戻り、既に待っていた青年…八乙女楽と共にリビングに入った。そして、まだ食べてないと言われたため軽く簡単なものを作り遅めの夕食を済ませリラックスしていた時、楽がおもむろに何かを取り出して差し出してきた。
「…なにこれ??」
琴音は目の前に差し出されたチケットみたいなものと珍しく照れくさいのかそっぽ向く楽を交互に見ると、戸惑いつつそれを受け取った。そして、琴音は受け取ったその中身を確認した。
「3/21にやる俺達の東京ドームのツアーだ」
「いつも行ってるのに??」
「…それは裏方でだろ?
客として誘ってるんだ」
何を今更と…不思議そうな顔を浮かべる琴音に楽は呆れながら大きくため息を付く。
対して、その言葉に琴音は一瞬目を瞬かせるが、すぐに良いのかなと顔を曇らせた。
「……でも」
「外から見るのも勉強のうちに入るんじゃないかって…
姉鷺が言ってた。
俺もそう思う」
「姉鷺さんが!?!?」
「あぁ…
ま、それは建前で
1日くらい何もかも忘れて羽根を伸ばして楽しんで良いんじゃねーの??
ってのが、俺達の気持ちだ」
「アハハ…なるほどね」
楽の言葉から伝わる温かい想いに、琴音は嬉しそうに目を細めた。
「そのご厚意ありがたく頂戴させていただきますね」
裏方をしてたら、見れない完璧なパフォーマンスをする彼らTRIGGERのライブを一度でいいから見たいと秘かに思っていた琴音にとっては願ったり叶ったりのお誘いだ。
それにあの姉鷺さんがゴーサインを出したのだからとやかく言われることはないだろうとありがたく琴音はそれを受け取った。
「いやぁ…楽しみだなぁ〜
早くその日になんないかなぁ」
「気がはえーな」
「別に良いでしょ?」
「まぁーな
それよりなんか一曲弾いてくれよ」
「こんな夜遅くに??」
楽の要望に、怪訝な表情をする琴音の言葉に楽は呆れながら言い返した。
「…防音だろうが、此処」
「あっちゃ…指摘されちゃったか
ではでは…ご要望にお答えしまして僭越ながら一曲」
琴音の家事情を知っている楽のごもっともな発言に言い返す言葉が見当たらず、愛想笑いを浮かべた琴音は重たい腰を上げると、壁に立てかけてあるフォークギターを取り出した。
「リクエストは??楽」
「...琴音のオススメで」
「りょーかい」
楽の言葉に琴音は小さく微笑むと、落ち着いたテンポの曲を奏で始めるのだった。