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動き出す歯車

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「あぁ!!やばいよ〜間に合うかな!?」

琴音っちもTRIGGERのライブ行くんだな」

「お前ら!もっと早く走れ!!」

「せっかく遅刻しないように朝から環とスタンバイしてたのに…」

「俺らのファンだっつった姉ちゃんが非常事態中の警察官で、まさか、爆弾事件に巻き込まれるなんて」

「東京ソライロタワーを爆弾から守って遅刻したって説明して信じてもらえるでしょうか?」

「俺なら信じねぇーなぁ」

「日本でこんな事件に巻き込まれるなんて思いもしなかったよ…」

無事に爆弾処理も終え事情徴収も終わった頃には女性警官が言ったとおり2時間経過していた。17時からの開演、そして今いる場所はソライロタワー。目的地が一緒だと判明した4人は懸命にアリーナに向け走っていた。

そんな彼らの遠方で渋滞に掴まっていた一台のタクシーの扉が開く。そこからは一人のキャップを被った男性がふらつきながら降りてきた。だが、彼は足取りがおぼつかずふらふらとしていて今にも倒れ込みそうだった。

そして案の定、バランスを崩し出す彼を見かねて届けっと4人は懸命に彼に手を伸ばした。その手は無事に彼に届き地面に倒れる前に間一髪でキャッチをした。

「「「「セーフ!」」」」

ホッと胸を撫で下ろす4人は一体誰だと彼の顔を覗き込むが、人物の存在に気づいた4人は驚きの声を上げるのだった。

「…天!?」

「…!?九条天!?」

なんと、今目の前にいるのはTRIGGERの九条天だったのだ。昨夜の土砂降りで無理をして強制入院。今日も本来なら病院のベッドにいなければいけない天の体調が芳しくないことは琴音は知っている。だからこそ、彼のプロ意識がここまで突き動かすのかと琴音は内心感服せざる負えなかった。


「すみません…大和さん
あそこのベンチに彼を運んでもらっていいですか??」


琴音の言葉に大和は頷くとナギと環に指示を出し3人でベンチまで運び彼を座らせるのだった。

「大丈夫??」

琴音!?」

琴音は持っていたミネラルウォーターのボトルを天に差し出した。それを受け取った天は琴音の存在に驚きながらも一口水を飲み込んだ。

「大丈夫ですか??」

その様子を心配そうにみていたナギが口を開いた。

「はい…すみません」

「あんた…今日のライブ出るんだろ?」

「私達見に行くとこだったんです」

ナギと環の言葉でTRIGGERのファンなのだと思った天はベンチから立ち上がり彼らに一礼した。

「ファンの方にご迷惑をおかけして本当に申し訳ありません。
僕は大丈夫です」

天はそう言い残し歩き出そうとする。
どうやって天を会場に送り届けようと考えていた琴音はそれを見て慌てた。どっからどう見ても大丈夫じゃないからだ。
案の定、天はフラッとよろけるる。そんな彼にすかさず手を差し伸べたのは大和だった。

「…じゃないみたいだな」

苦笑交じりの大和はそのまま天を先程座っていたベンチに座らせた。

「すみません…」

「ファンじゃない…
俺たちもアイドルで。今日見に来たのは…えっとなんだっけ?」

先程の天が言っていたフレーズになにか思った環が声を上げる。が、言いたい言葉が見つからず空を見上げた。その数秒後…あ!と声を上げた環は右手人差し指を立てた。

「あれだ…単なる刺激」

「失礼だろ!!」

環の言葉に慌てて突っ込みを大和が入れる。
だがそれに気にすることなく天は何か考え込んでいた。そして考えがまとまったのか環にとんでもないとこを頼む。

「お礼はなんでもするから背負って走ってほしい」

その言葉に琴音は一瞬固まる。が、すぐに立て直し慌て始めた。

「天!!ちょっと待って!!」

「このままだとライブに間に合わない。流石に琴音に背負ってもらうわけにはいかないしね」

そのやりとりを耳にした大和達は目を丸くした。

「What??」

「あんた…その身体で出るつもりなのか?」

ナギや大和が驚きの声を上げる中、頼まれた環はうーんと考えこんでいた。

「No!無理は禁物です」

ナギが彼を止めようとする。が、天はその静止を押し切り強い口調で喋りだす。

「彼に聞いてるんだ」

天が見つめるのは環。見つめられた環はキョトンとした表情を浮かべる。

「どう??」

「お礼って…なんでもか?」

興味を示した環に天は小さく頷く。その反応を確認した環は両手を前に広げた。
一体何を要求するのだろうと琴音は固唾を呑んで見守る中、環がゆっくりと口を開いた。

「タクシー代…王様プリン10個!!!」

「のった」

「ヤッたぜ!!」

環は嬉しさを両手ピースで表す。

「それでいいの!!」

「タマは安い男だな…」

このやり取りに琴音は驚きの声をあげる。対して、環を知っている大和はやはり…と粗方予想通りの展開に苦笑いを浮かべるのだった。

交渉成立。

環は腰を下ろし背負える体制を作る。

「乗れよ…」

「ありがと」

天はお礼を述べ環の背中に乗っかった。環は天が乗っかったのを確認するとゆっくり立ち上がった。環に背負われた天はハァ…ハァ…と荒い息をする。それに大和は気づく。

「オイ…あんた」

心配して大和が声をかける。しかし、今の天にはそれは迷惑だった。

「話しかけないで…。5秒ぐらいで気を失うから会場に着いたら起こして…

行って」

環に会場に行くように一言かけるとほんとに天は気を失うように眠り込むのだった。
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