レイスウォール王墓
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「ねぇ?バッシュ...
どうしてミアはあんな酷いこと言った私を身を挺してくれたの?」
砂海横断中の一行は、途中にあったオアシスで一晩過ごすことになった。テントを張り、晩飯を食べ終わった後、各々明日に備え自由に時間を使っていた。
そんな中、一人泉を前に物思いに耽っていたアーシェ。そんな彼女に気づきバッシュは傍に行き彼女の隣に座ったのだ。
バッシュに気づいたアーシェがふと言葉を零す。
アーシェの脳裏では先程の光景が繰り返し再生されていたのだ。
「ご自分でお聞きになったらどうですか?」
体を震わす彼女にバッシュは優しく語りかけるのだった。
一方、あるテントの中では...
「いったーい!!」
ベシ!!と勢いよくデコピンをされるミアがいた。そんな彼女の腕は何故か包帯で巻かれていた。
「お前は無鉄砲にもほどがある!!」
ミアが涙目になって見上げる先には、デコピンをした張本人のバルフレア、そして隣には治療してくれたフランがいた。
「だって〜身体が反射的に...」
「だってじゃない!!
冷や汗かかせるな!」
反論しようとするミアを腕を組んでいたバルフレアはピシャリと黙らせた。
彼がここまで怒るのには理由があった。それは昼間、ウルタン・エンサに囲まれた時の出来事に遡る。
*
今日一番の集団に囲まれ、劣勢を強いられている中、一人一人目の前の敵を蹴散らしていた。アーシェも必死に目の前に集中していた。だか、彼女に向けられている何かに気づいたのかミアは声を上げ彼女に駆け寄ったのだ。
「アーシェ!!後ろ!!」
驚くアーシェ。だが、かわす時間も受け身を取る時間も無く振り返ったアーシェの目に飛び込んだ物は遠方にいたウルタン・エンサが放った矢。咄嗟にアーシェは腕を上げ目を覆い隠した。だが、予想していた痛みは来ず、ゆっくりとアーシェは腕を下ろす。すると目の前にはなんとミアがいたのだ。
「大丈夫??アーシェ」
振り返ったミアの顔は青白く、ハァハァと息を吐き、額に汗をかいていた。腕にはアーシェに向けられていた矢が突き刺さっていた。
苦しそうに呼吸するミアにアーシェは手を伸ばそうとする。が、ミアはその前にバタリと倒れ込んでしまう。
「ミア!!!」
この一瞬...アーシェにはスロー再生されているかのように見えた。バタリと倒れるその瞬間まで鮮明に。
慌てて駆け寄るアーシェ。周囲も以前に気づき殲滅した後に集まりだす。
「恐らく、速攻性の毒が塗られていたようね」
刺された矢をゆっくりとフランは引き抜く。そして冷静にフランは白魔法を使う。だが、フランの表情は一変し険しくなる。
「...効かない!?」
「「え...え〜!?」」
フランの言葉にヴァンとパンネロが反応する。アーシェは俯いたまま。
予想外の事にバルフレアの額にも汗が流れる。
「おい!将軍...どういうことだ!?」
「実は...ミアには魔法が効かないのだ。
いや、正確に言うと全く効かないわけではないのだが...」
「それってどういうことだよ?」
意味がわからないとヴァンが声を上げる。それに答えるかのようにウォースラが補足を始める。
「魔法が効きにくい体質でな...
膨大な魔力を使えば通常人と同じ効果を得られるんだがな...」
「でもそれはミアにしかできない」
バッシュの言葉で、皆更に疑惑を抱く。
が、その事を問いただそうとする前にバルフレアが動き出す。
「その話は移動しながら聞こうか?」
今は本人の容態が先だとバルフレアはミアの目の前に屈む。そしてミアの背中と両膝の下にそれぞれ手を回し彼女を持ち上げた。
彼の意見は全くその通りだと感じ、一行は休める場所に向け、歩を進め始めるのだった。
*
「たく...そういう事はさっきに言っとくもんなんだが」
溜息混じりに悪態つくバルフレア。流石にミアも反省の色を見せ始める。
「...ですよね〜」
「ミアの身体は不思議ね
魔法が効きにくい体質なのに、魔力は膨大にあるなんて」
「お陰で魔法コントロールできなくて使えないんだよ!そんなの宝の持ち腐れ」
ミアはたまらず頬を膨らませた。
彼女は何故だが魔法が効きにくい。が、逆に膨大な魔力を持ち合わせている。その魔力を存分に発揮できればいいのだが生憎ミアはそれをコントロールできない。だから、彼女は攻撃魔法を使えない..いや、使わないのだ。唯一使えるのは己に対して。傷を負った時、自身に魔法をかければまたたく間に傷口は塞ぐことができる。
本人の意識があれば問題ないのだが、今回のように意識を無くしたときは大問題だ。魔法で治癒させることができないのだから。
「ホントだな...」
ミアの言葉はご尤もだと肩をすくめるバルフレア。そんな彼に反論しようとミアは口を開いた。
「元々魔力がほぼなくて使えないバルフレアには言われたくない」
「...言ってくれるじゃないか」
聞き捨てならない言葉にたまらずバルフレアは白目をむきミアの頬をつねった。
いたい!とつねられた頬をさすりながら、形相な顔をして見上げるミアだったが、その表情はすぐに消え去った。何故なら、目の前にいるバルフレアの表情が一変していたからだ。
「...バ...バルフレア?」
何時も飄々としている彼が、今は切なさと悔しさが入り混じった複雑な表情をしていたのだ。こんな表情をミアは見たことが無く、困惑した。良かれと思ってとった行動が、彼をこんな表情にさせるとは思わなかったからだ。
そんな彼女に、バルフレアは小さく微笑んだ。
「どうせ...やめろって言ってもやめねぇんだろうな...」
「......??」
意味がわからず首をかしげるミア。だが、彼がその真意を言うことはなかった。黙ったまま彼は彼女の髪に指を通してもて遊ぶ。その突発的な行動にミアは戸惑う。が、彼の優しげなヘーゼルグリーンの瞳にミアは惹き込まれるのだった。
しかし、少しするとバルフレアの表情はいつもどおりに戻る。溜息をすると彼はミアの頭をポンポンと叩き、入口の方を顎でしゃくってみせた。
「お客さんだ...」
「え....」
その方向をミアは見る。そこにいたのは、テントの入口を少し開けて覗き込むアーシェ。後ろにはバッシュが控えていた。
不安気に瞳を揺らすアーシェ。決心したはずなのに、言葉が喉に引っかかり出なかった。
あと一歩踏み出せないそんな彼女の肩にバッシュは軽く手を置いた。
バッシュの手から伝わる温かい感触。それは躊躇するアーシェの背中を押すには十分だった。
「ミア...外で話さない?」
ようやく出せた言葉。だが、ミアが拒絶したらどうしようと不安がよぎる。
振り返ったミアは暫くアーシェを見つめる。そして、ミアは彼女にそっと近づいた。
「いいよ...行こうか」
ミアの返答にアーシェはホッと胸を撫で下ろした。そして二人は並んでテントの外へ出ていく。
そんな二人を優しい眼差しで見守っていたバッシュは、後ろ姿が見えなくなると代わりにテントの中へ入る。
「邪魔だったかな?」
からかいを含む言葉を少し笑いながらバッシュは発した。
「いや...丁度いいタイミングだ。将軍」
そんな言葉を軽く受け流すようにバルフレアは口を開いた。
あと一歩遅かったら、理性が崩壊していたに違いない...
バルフレアはさっきの彼女の姿を思い出し、内心自嘲気味に笑うのだった。
どうしてミアはあんな酷いこと言った私を身を挺してくれたの?」
砂海横断中の一行は、途中にあったオアシスで一晩過ごすことになった。テントを張り、晩飯を食べ終わった後、各々明日に備え自由に時間を使っていた。
そんな中、一人泉を前に物思いに耽っていたアーシェ。そんな彼女に気づきバッシュは傍に行き彼女の隣に座ったのだ。
バッシュに気づいたアーシェがふと言葉を零す。
アーシェの脳裏では先程の光景が繰り返し再生されていたのだ。
「ご自分でお聞きになったらどうですか?」
体を震わす彼女にバッシュは優しく語りかけるのだった。
一方、あるテントの中では...
「いったーい!!」
ベシ!!と勢いよくデコピンをされるミアがいた。そんな彼女の腕は何故か包帯で巻かれていた。
「お前は無鉄砲にもほどがある!!」
ミアが涙目になって見上げる先には、デコピンをした張本人のバルフレア、そして隣には治療してくれたフランがいた。
「だって〜身体が反射的に...」
「だってじゃない!!
冷や汗かかせるな!」
反論しようとするミアを腕を組んでいたバルフレアはピシャリと黙らせた。
彼がここまで怒るのには理由があった。それは昼間、ウルタン・エンサに囲まれた時の出来事に遡る。
*
今日一番の集団に囲まれ、劣勢を強いられている中、一人一人目の前の敵を蹴散らしていた。アーシェも必死に目の前に集中していた。だか、彼女に向けられている何かに気づいたのかミアは声を上げ彼女に駆け寄ったのだ。
「アーシェ!!後ろ!!」
驚くアーシェ。だが、かわす時間も受け身を取る時間も無く振り返ったアーシェの目に飛び込んだ物は遠方にいたウルタン・エンサが放った矢。咄嗟にアーシェは腕を上げ目を覆い隠した。だが、予想していた痛みは来ず、ゆっくりとアーシェは腕を下ろす。すると目の前にはなんとミアがいたのだ。
「大丈夫??アーシェ」
振り返ったミアの顔は青白く、ハァハァと息を吐き、額に汗をかいていた。腕にはアーシェに向けられていた矢が突き刺さっていた。
苦しそうに呼吸するミアにアーシェは手を伸ばそうとする。が、ミアはその前にバタリと倒れ込んでしまう。
「ミア!!!」
この一瞬...アーシェにはスロー再生されているかのように見えた。バタリと倒れるその瞬間まで鮮明に。
慌てて駆け寄るアーシェ。周囲も以前に気づき殲滅した後に集まりだす。
「恐らく、速攻性の毒が塗られていたようね」
刺された矢をゆっくりとフランは引き抜く。そして冷静にフランは白魔法を使う。だが、フランの表情は一変し険しくなる。
「...効かない!?」
「「え...え〜!?」」
フランの言葉にヴァンとパンネロが反応する。アーシェは俯いたまま。
予想外の事にバルフレアの額にも汗が流れる。
「おい!将軍...どういうことだ!?」
「実は...ミアには魔法が効かないのだ。
いや、正確に言うと全く効かないわけではないのだが...」
「それってどういうことだよ?」
意味がわからないとヴァンが声を上げる。それに答えるかのようにウォースラが補足を始める。
「魔法が効きにくい体質でな...
膨大な魔力を使えば通常人と同じ効果を得られるんだがな...」
「でもそれはミアにしかできない」
バッシュの言葉で、皆更に疑惑を抱く。
が、その事を問いただそうとする前にバルフレアが動き出す。
「その話は移動しながら聞こうか?」
今は本人の容態が先だとバルフレアはミアの目の前に屈む。そしてミアの背中と両膝の下にそれぞれ手を回し彼女を持ち上げた。
彼の意見は全くその通りだと感じ、一行は休める場所に向け、歩を進め始めるのだった。
*
「たく...そういう事はさっきに言っとくもんなんだが」
溜息混じりに悪態つくバルフレア。流石にミアも反省の色を見せ始める。
「...ですよね〜」
「ミアの身体は不思議ね
魔法が効きにくい体質なのに、魔力は膨大にあるなんて」
「お陰で魔法コントロールできなくて使えないんだよ!そんなの宝の持ち腐れ」
ミアはたまらず頬を膨らませた。
彼女は何故だが魔法が効きにくい。が、逆に膨大な魔力を持ち合わせている。その魔力を存分に発揮できればいいのだが生憎ミアはそれをコントロールできない。だから、彼女は攻撃魔法を使えない..いや、使わないのだ。唯一使えるのは己に対して。傷を負った時、自身に魔法をかければまたたく間に傷口は塞ぐことができる。
本人の意識があれば問題ないのだが、今回のように意識を無くしたときは大問題だ。魔法で治癒させることができないのだから。
「ホントだな...」
ミアの言葉はご尤もだと肩をすくめるバルフレア。そんな彼に反論しようとミアは口を開いた。
「元々魔力がほぼなくて使えないバルフレアには言われたくない」
「...言ってくれるじゃないか」
聞き捨てならない言葉にたまらずバルフレアは白目をむきミアの頬をつねった。
いたい!とつねられた頬をさすりながら、形相な顔をして見上げるミアだったが、その表情はすぐに消え去った。何故なら、目の前にいるバルフレアの表情が一変していたからだ。
「...バ...バルフレア?」
何時も飄々としている彼が、今は切なさと悔しさが入り混じった複雑な表情をしていたのだ。こんな表情をミアは見たことが無く、困惑した。良かれと思ってとった行動が、彼をこんな表情にさせるとは思わなかったからだ。
そんな彼女に、バルフレアは小さく微笑んだ。
「どうせ...やめろって言ってもやめねぇんだろうな...」
「......??」
意味がわからず首をかしげるミア。だが、彼がその真意を言うことはなかった。黙ったまま彼は彼女の髪に指を通してもて遊ぶ。その突発的な行動にミアは戸惑う。が、彼の優しげなヘーゼルグリーンの瞳にミアは惹き込まれるのだった。
しかし、少しするとバルフレアの表情はいつもどおりに戻る。溜息をすると彼はミアの頭をポンポンと叩き、入口の方を顎でしゃくってみせた。
「お客さんだ...」
「え....」
その方向をミアは見る。そこにいたのは、テントの入口を少し開けて覗き込むアーシェ。後ろにはバッシュが控えていた。
不安気に瞳を揺らすアーシェ。決心したはずなのに、言葉が喉に引っかかり出なかった。
あと一歩踏み出せないそんな彼女の肩にバッシュは軽く手を置いた。
バッシュの手から伝わる温かい感触。それは躊躇するアーシェの背中を押すには十分だった。
「ミア...外で話さない?」
ようやく出せた言葉。だが、ミアが拒絶したらどうしようと不安がよぎる。
振り返ったミアは暫くアーシェを見つめる。そして、ミアは彼女にそっと近づいた。
「いいよ...行こうか」
ミアの返答にアーシェはホッと胸を撫で下ろした。そして二人は並んでテントの外へ出ていく。
そんな二人を優しい眼差しで見守っていたバッシュは、後ろ姿が見えなくなると代わりにテントの中へ入る。
「邪魔だったかな?」
からかいを含む言葉を少し笑いながらバッシュは発した。
「いや...丁度いいタイミングだ。将軍」
そんな言葉を軽く受け流すようにバルフレアは口を開いた。
あと一歩遅かったら、理性が崩壊していたに違いない...
バルフレアはさっきの彼女の姿を思い出し、内心自嘲気味に笑うのだった。