綿密に計画を立てたはずだった...


しかし、現実とは上手く行かないものだ。

こちらの手のうちがわかっていたかのように解放軍の奇襲は見事に失敗。逆に彼らを一網打尽にしようと帝国兵が待ち構えていたのだ。

王宮の庭は一気に戦場と化した。地上では武装兵が、空からは帝国艦隊が砲撃が。辺りは炎に包まれ、彼ら解放軍は撤退を余儀なくされた。



バシャバシャバシャ…



散り散りに撤退していく中、王宮の地下にあるガラムサイズ水道をミアとアマリアは走っていた。後ろからは帝国兵の追手が迫っていた。

「アマリア！！こっち！！」

ミアは彼女を守る盾のように彼女を誘導し敵をなぎ倒していく。

そんな中…
先を走っていたアマリアは足を止める。


「ミア！行き止まりよ！」



焦ったアマリアの声を聞き、ミアは振り向く。するとそこには道がなかった。壁に囲まれてはいないが、飛び降りるには少し高すぎる。



どうすれば...



目の前には帝国兵。じりじりと二人は追い詰められた。そんな焦る彼女らの窮地を救うかのように叫ぶような声が聞こえてくるのだった。






「飛び降りろ！！」







彼女らが下を見ると、銀色の髪を持つ少年が真剣な表情で見上げていた。


早く！！



急かす彼を見て、ミアはアマリアに飛び降りるように促した。それに頷き飛び降りたアマリアは無事に少年にキャッチされた。




さて、私はどうしよう？






一歩小さく後ろに下がろうとしたが既に足場はない。
そんなミアの耳に入ったのは低いテノール声だった。






「お前もだ！早くしろ！」






その声に反応しミアは後ろに振り向き下を見た。そこには少年の仲間なのか、亜麻色髪の青年がいた。





ガチャガチャ





と音がしミアはハッとして前を向き直す。視界に飛び込んできたのは剣を振り上げ自分に飛びかかろうとする兵士の姿。それを見て考えてる時間は無いとミアは意を決して飛び降りた。





重力に身を任せて落ちていく中、ふと見上げる青年の視線と絡み合う。青年のヘーゼルグリーンの瞳を見た途端、ミアの時が止まったような心地に陥る。
だが、それは一瞬で次の瞬間ミアは彼の腕に抱え込まれるのだった。





「大丈夫か？」




ミアの目に映ったのは心配そうな顔で自分を覗く青年だった。





「...！？」




横抱きされてるためか青年の顔があまりにも近くに見えて、ミアは顔を赤くした。そして、慌てて彼の腕から抜け出し飛び退く。

そんな彼女の反応に、青年は面白そうにクスクスと笑った。
そんな彼にムキになったミアはたまらず声を上げた。

「な！？そんな笑わなくったっていいじゃないですか！」


「あー...わるいな。アンタのあまりにも慌てように、思わず笑ってしまった」



「あ...いえ。こちらこそ、助けてくれたのに...すみません」


あまりにも失礼すぎる行動をしてしまったと、ミアは顔をあげられず俯いた。

「なぁーに...別にいいさ」

青年は気にする素振りを見せることなく笑い飛ばすのだった。










彼らのと運命的な出会いは必然であったのだろうか？


これから彼らとの長い旅が始まるなんてミアはこれっぽっちも思わなかったのだった…