もう一つの証を求めて
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シュトラールの操縦席に座り、アーシェは慣れない手付きでせわしなく手を動かしていた。そんな彼女には、後から入ってきた足音に気づかなかった。
「何やってんだよ!!」
ハッと聞こえた声に驚きアーシェは後ろを向いた。そこには声を出したヴァン。そして隣にはミアがいた。何も言わず無表情なミア。そんなミアにアーシェは見覚えがあり思わず下を向いた。そんな彼女の近くにミアは近寄ると手を差し伸べた。
「...殿下。戻りましょ」
ホントに怒っているのだろう。アーシェが危ない行動や身勝手な行動をすると、ミアは何時もこんな表情を浮かべるのだ。そして、無意識なのか普段公務の時にしか使わない言葉を使う。
何時もならアーシェは彼女の手に手を伸ばしただろう。だが、今回だけはアーシェは引き下がるわけにはいかなかったのだ。
ピシャリと彼女の手をアーシェは払い除けた。
「私は戻らないわ!
もう一つの王家の証の暁の断片を取りに行く。」
「アーシェ!!今行かなくても!!
せめてウォースラが戻ってきてから...」
「それまで待てと!!嫌よ!!
私はやらなきゃいけないのよ!死んでいった者達のためにも!なのに、隠れていろなんてっ!」
「気持ちはわかるけど....」
「わかったふうな事言わないで!!
ミアなんかに私の気持ちなんてわからいわ!!」
怒鳴りつけるようなアーシェの声。その言葉が決定打になった。ミアの顔は強張り、視界が暗転する。ここまでアーシェに拒絶されたことがなかったから。ミアの頭は真っ白になってしまう。ミアの顔が真っ青になったのを見て、アーシェは言いすぎたと思うのだが、今更前言撤回する訳にはいかなかった。俯くミアをただアーシェは睨めつける。
「何言ってんだよ!!ミアはお前のことを思って」
ジッと様子を見ていたヴァンがこれ以上見てられないと声を上げた。
「ありがた迷惑だわ。
何時もみんな、私を子ども扱いする。
私はもう子どもじゃない!!」
「それはお前が相応の行動をしないからだろ!大体なぁ...王女様の癖に人のフネを勝手に」
「お前...お前...その呼び方やめて!!」
デッドヒートする二人の口論。たまらず、アーシェは荒々しく立ち上がりヴァンを睨む。対して、負けるかとヴァンも目の前の彼女を睨めつける。
「それぐらいになさい、殿下」
第三者の声が聞こえ、たまらず二人はきょとんとする。ショックで固まっていたミアもハッとし顔を上げる。なんたってその声はここにいるはずの無いオンドール侯爵の声だったからだ。だが、オンドール侯爵の姿は見えず。代わりに現れたのは壁にもたれ、ニヤリと笑うバルフレアだった。
「…なんてな、驚いたろ?
仕事柄こういうのがあると何かと便利でね」
持っていた機械をちらつかせるとバルフレアは再びその機械を口元へ持っていった。
「「お前はやめて」」
今度は、バルフレアの声とアーシェの声が二重になって聞こえてきた。カラクリはその機械にあったのだ。緑色のランプがついたその機械の電源を消し元の場所に戻したバルフレアは、真剣な面をし三人に近寄った。
「侯爵に引き渡す」
「待ってください!」
「その方がアンタのためだ」
一言言い放つと、焦るアーシェに背を向ける。
このままだと駄目だ。どうすれば...
焦るアーシェの頭の中にある案が思いつき、彼女は背を向ける彼にある言葉を言い放った。
「では…誘拐して下さい!」
アーシェの思わぬ言葉。たまらずバルフレアは立ち止まり、ヴァンとミアは口をあんぐりと開けて固まってしまう。
その間にもアーシェはバルフレアに詰め寄った。
「あなた空賊なんでしょう!?盗んでください!私を、ここから!」
気だるそうにバルフレアは振り向いた。
「俺に何の得がある?」
疑問を抱くバルフレアに、アーシェは先程浮かんだ案を突きつけた。
「覇王の財宝…【暁の断片】があるのはレイスウォール王の墓所なんです」
アーシェの言葉にたまらずバルフレアはヒューも口笛を吹いた。
「あのレイスウォールか?」
「そして君にかかる賞金も跳ね上がる。何しろ王族の誘拐となれば重罪だ」
その言葉と共に入ってきたのは、バッシュ。彼の言葉を聞いたバルフレアはたまらず肩をすくめた。
「煽った家来も同罪だろうな」
バッシュはそのままバルフレアの前を通り過ぎ、アーシェの前に歩み出た。
「ウォースラに代わり同行します」
アーシェは小さく頷く。そこへ、また声が響いた。
「ヴァンたちはどうするの?」
通路から現れたのはフランとパンネロ。
「行くよ。行くって!こんなとこに置いてくなよ」
座席に座るヴァン。その後ろに、パンネロも座り込んだ。
「じゃあ私も!…一人はもう嫌」
「…わかった」
「決まりね。侯爵に気付かれる前に発ちましょう。…誘拐犯らしく、ね」
そう言ったフランの手にはもう皆の荷物が抱えられていた。この事態を予測していたかのように。
「何やってんだよ!!」
ハッと聞こえた声に驚きアーシェは後ろを向いた。そこには声を出したヴァン。そして隣にはミアがいた。何も言わず無表情なミア。そんなミアにアーシェは見覚えがあり思わず下を向いた。そんな彼女の近くにミアは近寄ると手を差し伸べた。
「...殿下。戻りましょ」
ホントに怒っているのだろう。アーシェが危ない行動や身勝手な行動をすると、ミアは何時もこんな表情を浮かべるのだ。そして、無意識なのか普段公務の時にしか使わない言葉を使う。
何時もならアーシェは彼女の手に手を伸ばしただろう。だが、今回だけはアーシェは引き下がるわけにはいかなかったのだ。
ピシャリと彼女の手をアーシェは払い除けた。
「私は戻らないわ!
もう一つの王家の証の暁の断片を取りに行く。」
「アーシェ!!今行かなくても!!
せめてウォースラが戻ってきてから...」
「それまで待てと!!嫌よ!!
私はやらなきゃいけないのよ!死んでいった者達のためにも!なのに、隠れていろなんてっ!」
「気持ちはわかるけど....」
「わかったふうな事言わないで!!
ミアなんかに私の気持ちなんてわからいわ!!」
怒鳴りつけるようなアーシェの声。その言葉が決定打になった。ミアの顔は強張り、視界が暗転する。ここまでアーシェに拒絶されたことがなかったから。ミアの頭は真っ白になってしまう。ミアの顔が真っ青になったのを見て、アーシェは言いすぎたと思うのだが、今更前言撤回する訳にはいかなかった。俯くミアをただアーシェは睨めつける。
「何言ってんだよ!!ミアはお前のことを思って」
ジッと様子を見ていたヴァンがこれ以上見てられないと声を上げた。
「ありがた迷惑だわ。
何時もみんな、私を子ども扱いする。
私はもう子どもじゃない!!」
「それはお前が相応の行動をしないからだろ!大体なぁ...王女様の癖に人のフネを勝手に」
「お前...お前...その呼び方やめて!!」
デッドヒートする二人の口論。たまらず、アーシェは荒々しく立ち上がりヴァンを睨む。対して、負けるかとヴァンも目の前の彼女を睨めつける。
「それぐらいになさい、殿下」
第三者の声が聞こえ、たまらず二人はきょとんとする。ショックで固まっていたミアもハッとし顔を上げる。なんたってその声はここにいるはずの無いオンドール侯爵の声だったからだ。だが、オンドール侯爵の姿は見えず。代わりに現れたのは壁にもたれ、ニヤリと笑うバルフレアだった。
「…なんてな、驚いたろ?
仕事柄こういうのがあると何かと便利でね」
持っていた機械をちらつかせるとバルフレアは再びその機械を口元へ持っていった。
「「お前はやめて」」
今度は、バルフレアの声とアーシェの声が二重になって聞こえてきた。カラクリはその機械にあったのだ。緑色のランプがついたその機械の電源を消し元の場所に戻したバルフレアは、真剣な面をし三人に近寄った。
「侯爵に引き渡す」
「待ってください!」
「その方がアンタのためだ」
一言言い放つと、焦るアーシェに背を向ける。
このままだと駄目だ。どうすれば...
焦るアーシェの頭の中にある案が思いつき、彼女は背を向ける彼にある言葉を言い放った。
「では…誘拐して下さい!」
アーシェの思わぬ言葉。たまらずバルフレアは立ち止まり、ヴァンとミアは口をあんぐりと開けて固まってしまう。
その間にもアーシェはバルフレアに詰め寄った。
「あなた空賊なんでしょう!?盗んでください!私を、ここから!」
気だるそうにバルフレアは振り向いた。
「俺に何の得がある?」
疑問を抱くバルフレアに、アーシェは先程浮かんだ案を突きつけた。
「覇王の財宝…【暁の断片】があるのはレイスウォール王の墓所なんです」
アーシェの言葉にたまらずバルフレアはヒューも口笛を吹いた。
「あのレイスウォールか?」
「そして君にかかる賞金も跳ね上がる。何しろ王族の誘拐となれば重罪だ」
その言葉と共に入ってきたのは、バッシュ。彼の言葉を聞いたバルフレアはたまらず肩をすくめた。
「煽った家来も同罪だろうな」
バッシュはそのままバルフレアの前を通り過ぎ、アーシェの前に歩み出た。
「ウォースラに代わり同行します」
アーシェは小さく頷く。そこへ、また声が響いた。
「ヴァンたちはどうするの?」
通路から現れたのはフランとパンネロ。
「行くよ。行くって!こんなとこに置いてくなよ」
座席に座るヴァン。その後ろに、パンネロも座り込んだ。
「じゃあ私も!…一人はもう嫌」
「…わかった」
「決まりね。侯爵に気付かれる前に発ちましょう。…誘拐犯らしく、ね」
そう言ったフランの手にはもう皆の荷物が抱えられていた。この事態を予測していたかのように。