「みんなーー！！」

ミアは皆がいる採掘場前の小広場に到着。お！っとミアの声に気づき振り返るがミアから伝わる焦燥感を感じ、彼らは顔を曇らせた。

「組織はひっかかったか？」

「引っかかった！だけど...ヴァンが！！」

ミアは息を整えながら彼らに先程あった出来事を伝えた。

「それは不味いわね」

「早く行かねば行けないな」

「行くぞ。ミア」

頼もしい彼らの言葉で、ミアは落ち着きを戻す。そして彼らは急いで浮雲亭に向かうのだった。

中に入るとそこは酒場そのものだった。だが、一箇所だけは見るからに怪しい雰囲気が漂っていた。

「ねぇ！あそこかな？」

「恐らくな。胡散臭い香りが漂ってるしな」

酒場のカウンターを抜けた奥にひっそりと佇む扉。その近くには辺りをチラチラと伺う店主がいた。

「ここを開けてもらえないか？」

バルフレアが店主に近づき、例の扉を指差した。だが、店主はピクリと眉を動かしただけで動じた様子は無かった。

「奥は特定の人物しか入れない。帰ってもらえないか？」

「その奥にいる人に私達用事があるんですよ」

「はぁ...折角、巷で話題になってるある人物についての情報を伝えに来たんだがな...」

頑固そうな店主は、バルフレアの言葉に反応した。そして溜息をはくと今回だけだぞと扉を開けるのだった。


＊
中に入った一行は直ぐに姿を現す事なく様子を伺っていた。が、そろそろヴァンが不味いと感じバルフレアが口を開いた。

「あんたらの組織と侯爵の関係をかい？」

いきなり第三者の声が聞こえ、ハバーロ達は一斉に声の方向を向く。

「街のガイドを隠れミノに諜報活動か？
酒場の奥がアジトとはまた古典的だねぇ」

「なんだ？テメェら！」

「待て！」

騒ぐ彼らをハバーロは黙らせた。なぜかというとハバーロの視界に映ったバルフレアの後ろから降りてくる人物にあった。

「あんたは…本当に生きていたのか」

未だに信じられないと目を丸くし、幽霊を見たかのような目でハバーロはバッシュを見た。

「いかにも裏がありそうだったたが、まさか本物のご登場とはな。
ハッ、この事を侯爵が知ったら...」

「さて、なんと言うかな。
直接会って聞いてみたい」

ハバーロはそれを聞くと、後ろに佇む人物にどうする？と目線を送った。彼はオンドール侯爵の側近だったのだ。暫し考え込んだ後、彼は口を開く。

「いたしかたあるまいな。
侯爵閣下がお会いになる。後ほど屋敷に参られよ」

こうして、一行はオンドール侯爵と対面する機会を得るのだった。