「オレがダルマスカの将軍、バッシュ・フォン・ローゼンバーグだ！」

「バッシュは生きているぞ！」

「オンドール候の発表は嘘っぱちだ！」

「オレがバッシュだ！！！」

人が多く集まってる所で言いふらしまくるヴァン。得意げに恥じることなく堂々と演じるのはヴァンの十八番なのだろう。自分だったら無理だとミアは影で見守りながら内心思うのだった。

暫くすると、ヴァンは周りを囲まれた。

「おい、小僧ォ。
ちょっと、オレ達と来てもらおうか...なァ？」

屈強そうな連中に囲まれヴァンは浮き雲通りにある酒場『浮き雲亭』に連れていかれる。それを確認したミアは慌ててバルフレア達のいる小広場に戻るのだった。




＊
「連れてきたぞ、ハバーロ。こいつが”将軍”だとよ」

酒場の中にある扉を更に抜けた奥にヴァンは連行された。扉を開けると階段があり下には拠点としては十分のスペースが広がっていた。ヴァンはリーダーらしきヒュムの男の前に乱暴に突き出された。ハバーロと呼ばれた男はヴァンを見た途端盛大に溜息をついた。

「似ても似つかんな...」

「チッ、やっぱり別人か！
この小僧、タチの悪い悪戯しやがって！！！！」

連れてきたバンガ族がギャアギャアと騒ぎ出す。そんな彼をハバーロは制止させた。

「ただのイタズラならいいが、そこらのガキがローゼンバーグ将軍の名乗るとは思えん。最近、帝国がかぎ回っているから油断は出来ん」

囲まれるヴァンは窮地に陥る。が、諮問される直前になってヴァンにとって希望と言えるような独特なテノール声が響くのだった。