親友との衝突
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「蒼!!!!!」
キョロキョロと辺りを見渡す蒼に真琴達が合流する。真琴の声に気づいた蒼も彼らに走り寄る。
「どうしたの??アオちゃん??」
「皆お願いがあるの!!雪菜を探してほしい!!」
蒼からの滅多にないお願いにわかっていたとばかりに顔を見合わせ頷く。そして、皆は各自散らばった。
去年、凛を探したように、今度は雪菜を……
蒼はもう一度彼女と泳いでみて思い知らされた。私には彼女が必要だと…かけがえのない存在なのだと。
関係が小ずれて離れて…そして再び一緒に泳ぐことでようやく蒼は知った。いつの間にか雪菜とはライバルでもない…友達以上の親友とも呼べる間柄に己自身の中で勝手に出来上がっていたのだ。
「雪菜!!!」
走りに走り回った蒼はようやく見つける。
会場の隅にある暗い場所に座り込み項垂れている雪菜を。
蒼は急いで駆け寄ると思い切り彼女を揺らして名前を呼ぶ。
「何??勝負は私の勝ちだよね??」
鬱陶し気に顔を上げる雪菜。だが、彼女の琥珀色の瞳にはギラギラと燃え上がる眼光は無かった。
そんな彼女の感情をさらけだそうと蒼は言葉を畳み掛ける。
「雪菜は泳いでみてどうだったの???
泳いで私に勝って満足??違うよね!?だったらもっと喜んでるよね!!」
途中から声を張り上げる蒼の瞳からは涙の雫がポタポタと流れ始める。その雫は雪菜の頬に落ちる。
泣きわめく蒼を雪菜は力のない瞳で呆然と見上げていた。
「ねぇ!!教えてよ!!どう思ったか!!私、雪菜みたいに賢くないから言ってくれなきゃわかんないよ!!」
雪菜の袖口をギュッと掴むと蒼は泣き崩れる。
そして祈るようにか細い声を出す。
「お願い…お願いだよ。
私は雪菜の本心が聞きたい。助けになりたいんだ!!」
「………蒼!?」
雪菜は驚きで目を見開く。
こんなふうに誰かに懇願する蒼を泣き崩れる彼女を見たこと無かったからだ。
「あの時のことは私がバカだったの!!今更だけどほんとにごめん!!
でも、もう一回だけチャンスをください!!
私は雪菜と…雪菜と…やり直したいの!!」
ガバっと立ち上がり、これでもかと頭を下げ続ける蒼。そんな彼女にようやく口を開く。
「違う……蒼のせいじゃない」
「……えぇ!?」
蚊のように細い雪菜の言葉に蒼は耳を疑った。
「やっと気づいた。
いや…ずっと前から奥底の思いには気づいていたのを私は蓋をして見て見ぬ振りをしただけなのかもしれない」
力なくゆっくりと首を振る雪菜の様子に蒼は首を傾げる。
「私がしたのは………………
ただの八つ当たりに過ぎないんだって」
雪菜は小さく悲しげに蒼に笑いかける。
「ねぇ??なんでコッチに帰ってきたと思う??」
「え…なんで???」
「あの時以降…私は自分らしい泳ぎが出来なくなった。
意味もなく漠然と練習してた。それと同時に蒼の幻影を見るようになって、勝手に蒼のせいにしてた。
でも違うの。
よく考えたら、私のせいなんだよね」
「……雪菜??」
「だって、怪我したのは私の過失。
約束を破ったのは私が試合直前に怪我したせい。
それで蒼は困惑して本来の泳ぎを出来なかった。
そんな情けない泳ぎを見て、勝手に私はガッカリした」
悲しげに一つ一つの言葉をゆっくりと呟く雪菜。その言葉を聞き蒼は首を思い切り横に振った。
「違う…雪菜のせいじゃない。
私がリレーのホントの意味を忘れていたから…
一緒に泳げなくても…泳ぐ人と共に想いは同じなのに…すっかり忘れてた。だから、雪菜を失望させる泳ぎをしちゃったんだ」
ギュッと拳を悔しそうに蒼は握る。
アメリカに行って、タイム…勝ち負け…
これらに追われた蒼はホントの泳ぎを忘れていた。
リレーは一人じゃない…個人競技じゃない…チームだと
「でもね…コッチに帰ってきて
あの時に見た景色を再び見て思い出したんだ。
一人じゃない…仲間と一緒に泳ぐんだって…
真琴が…ハルが…凛が…ナギちゃんが…レイちゃんが…
証明してくれたんだ」
小さく微笑む蒼の言葉に雪菜はハッとしそういうことか…と呟いた。
「やっとわかった…蒼がこんなに生き生きと泳いでいるのは仲間がいたからなんだね。
逆に、私は仲間を切り捨てた。強くなるためにいらないことだと思って…」
己と蒼の考えの違いが、泳ぎに影響していたのかと納得したように自嘲気味に笑った。
「蒼…
私、大好きだったし惹かれてた。蒼の泳ぎに。」
「私だって!!雪菜の泳ぎが大好き!!」
「知らなかった…ありがと…」
驚き目を見開く雪菜だが、すぐに表情を戻し蒼に向き直った。
「だから、あの泳ぎがだらしなく見えて勝手に失望してしまった。蒼に八つ当たりしちゃった。
ほんとにごめん!!!!
でもようやく気づいたの…
私は蒼と泳ぎたかったんだって!!!」
静かに涙を流し、雪菜は頭を下げ謝り本音を吐き出す。
「もう一回…私も蒼とやり直すチャンスを下さい」
恥ずかしそうに照れながら頬を染める雪菜。
その言葉を待っていましたとばかりに蒼は彼女の胸に飛び込んだ。
「…ッ!!も…もちろんだよ!!」
互いに包容し泣きあう両者の姿を遠巻きながら微笑ましげに見ている影が3つあった。
キョロキョロと辺りを見渡す蒼に真琴達が合流する。真琴の声に気づいた蒼も彼らに走り寄る。
「どうしたの??アオちゃん??」
「皆お願いがあるの!!雪菜を探してほしい!!」
蒼からの滅多にないお願いにわかっていたとばかりに顔を見合わせ頷く。そして、皆は各自散らばった。
去年、凛を探したように、今度は雪菜を……
蒼はもう一度彼女と泳いでみて思い知らされた。私には彼女が必要だと…かけがえのない存在なのだと。
関係が小ずれて離れて…そして再び一緒に泳ぐことでようやく蒼は知った。いつの間にか雪菜とはライバルでもない…友達以上の親友とも呼べる間柄に己自身の中で勝手に出来上がっていたのだ。
「雪菜!!!」
走りに走り回った蒼はようやく見つける。
会場の隅にある暗い場所に座り込み項垂れている雪菜を。
蒼は急いで駆け寄ると思い切り彼女を揺らして名前を呼ぶ。
「何??勝負は私の勝ちだよね??」
鬱陶し気に顔を上げる雪菜。だが、彼女の琥珀色の瞳にはギラギラと燃え上がる眼光は無かった。
そんな彼女の感情をさらけだそうと蒼は言葉を畳み掛ける。
「雪菜は泳いでみてどうだったの???
泳いで私に勝って満足??違うよね!?だったらもっと喜んでるよね!!」
途中から声を張り上げる蒼の瞳からは涙の雫がポタポタと流れ始める。その雫は雪菜の頬に落ちる。
泣きわめく蒼を雪菜は力のない瞳で呆然と見上げていた。
「ねぇ!!教えてよ!!どう思ったか!!私、雪菜みたいに賢くないから言ってくれなきゃわかんないよ!!」
雪菜の袖口をギュッと掴むと蒼は泣き崩れる。
そして祈るようにか細い声を出す。
「お願い…お願いだよ。
私は雪菜の本心が聞きたい。助けになりたいんだ!!」
「………蒼!?」
雪菜は驚きで目を見開く。
こんなふうに誰かに懇願する蒼を泣き崩れる彼女を見たこと無かったからだ。
「あの時のことは私がバカだったの!!今更だけどほんとにごめん!!
でも、もう一回だけチャンスをください!!
私は雪菜と…雪菜と…やり直したいの!!」
ガバっと立ち上がり、これでもかと頭を下げ続ける蒼。そんな彼女にようやく口を開く。
「違う……蒼のせいじゃない」
「……えぇ!?」
蚊のように細い雪菜の言葉に蒼は耳を疑った。
「やっと気づいた。
いや…ずっと前から奥底の思いには気づいていたのを私は蓋をして見て見ぬ振りをしただけなのかもしれない」
力なくゆっくりと首を振る雪菜の様子に蒼は首を傾げる。
「私がしたのは………………
ただの八つ当たりに過ぎないんだって」
雪菜は小さく悲しげに蒼に笑いかける。
「ねぇ??なんでコッチに帰ってきたと思う??」
「え…なんで???」
「あの時以降…私は自分らしい泳ぎが出来なくなった。
意味もなく漠然と練習してた。それと同時に蒼の幻影を見るようになって、勝手に蒼のせいにしてた。
でも違うの。
よく考えたら、私のせいなんだよね」
「……雪菜??」
「だって、怪我したのは私の過失。
約束を破ったのは私が試合直前に怪我したせい。
それで蒼は困惑して本来の泳ぎを出来なかった。
そんな情けない泳ぎを見て、勝手に私はガッカリした」
悲しげに一つ一つの言葉をゆっくりと呟く雪菜。その言葉を聞き蒼は首を思い切り横に振った。
「違う…雪菜のせいじゃない。
私がリレーのホントの意味を忘れていたから…
一緒に泳げなくても…泳ぐ人と共に想いは同じなのに…すっかり忘れてた。だから、雪菜を失望させる泳ぎをしちゃったんだ」
ギュッと拳を悔しそうに蒼は握る。
アメリカに行って、タイム…勝ち負け…
これらに追われた蒼はホントの泳ぎを忘れていた。
リレーは一人じゃない…個人競技じゃない…チームだと
「でもね…コッチに帰ってきて
あの時に見た景色を再び見て思い出したんだ。
一人じゃない…仲間と一緒に泳ぐんだって…
真琴が…ハルが…凛が…ナギちゃんが…レイちゃんが…
証明してくれたんだ」
小さく微笑む蒼の言葉に雪菜はハッとしそういうことか…と呟いた。
「やっとわかった…蒼がこんなに生き生きと泳いでいるのは仲間がいたからなんだね。
逆に、私は仲間を切り捨てた。強くなるためにいらないことだと思って…」
己と蒼の考えの違いが、泳ぎに影響していたのかと納得したように自嘲気味に笑った。
「蒼…
私、大好きだったし惹かれてた。蒼の泳ぎに。」
「私だって!!雪菜の泳ぎが大好き!!」
「知らなかった…ありがと…」
驚き目を見開く雪菜だが、すぐに表情を戻し蒼に向き直った。
「だから、あの泳ぎがだらしなく見えて勝手に失望してしまった。蒼に八つ当たりしちゃった。
ほんとにごめん!!!!
でもようやく気づいたの…
私は蒼と泳ぎたかったんだって!!!」
静かに涙を流し、雪菜は頭を下げ謝り本音を吐き出す。
「もう一回…私も蒼とやり直すチャンスを下さい」
恥ずかしそうに照れながら頬を染める雪菜。
その言葉を待っていましたとばかりに蒼は彼女の胸に飛び込んだ。
「…ッ!!も…もちろんだよ!!」
互いに包容し泣きあう両者の姿を遠巻きながら微笑ましげに見ている影が3つあった。