遙の葛藤、皆の想い
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「「ハルー!!」」
「遙先輩!!」
「ハルちゃん!!来たよ!!」
真琴・渚・怜・蒼で先に揃うと遙の家へ。庭に回り込むと寝そべる遙に声をかけた。
「皆揃ったし花火見に行こうよ」
遙を連れ出すように、皆がやってきたのは盆休みに行われる花火大会。
花火を見に海岸までやってきた一行の目に映るのは人々の手により海に続々と流される灯籠。流れる灯籠から放たれる光は暗い海で輝き、幻想的であった。
「うわぁ…美しい」
怜はその光景に舌鼓を打つ。
皆もその景色に心奪われる中、渚が意を決し口を開いた。
「ねぇ…ハルちゃん。
全国大会を泳ぐ前にちゃんと話したいことがあるんだ
そうでないと僕たちホントのチームになれない気がするから」
驚く遙に、今度は怜が歩み寄り心の内を話し出す。
「遙先輩…
僕も渚くんも遙先輩の泳ぎに憧れてきました。
何者にもとらわれない自由な泳ぎを見て僕もあんなふうに泳ぎたいと思った。
だけど、フリーを泳がなくなってしまった遙先輩の泳ぎは遙先輩らしくありません。
遙先輩には世界中のもっと沢山の人達の前で泳いでほしい。
そして僕たちと同じように沢山の人がその泳ぎを見て感動し遙先輩のように泳ぎたいと思えば
そんな素晴らしいことなんかないんじゃないかって…」
「…俺にはわからない」
だが、渚と怜の言葉に遙は頷けず、俯いたままこの場から離れるように踵を返して階段を登っていく。
その後ろ姿を悲しげに怜と渚は見つめる。
そんな二人の想いに、真琴はある決意を固める。
遙の姿が見えなくなった後、真琴は3人に一声かけると彼を応用にその場から立ち去るのだった。
「ここだと思った」
真琴は階段を登りきると、鉄柵に手をかけて海を黄昏れるように見つめる遙の隣に立つ。
「ハル…俺もこのままじゃいけないと思う」
暫く二人共、目を合わすことなく海を見ていた。しかし、タイミングを図っていた真琴は遙の横顔を何度か見ると決心を決めたのか口火を切った。
「俺は今までハルがよければそれでいいって思ってた。
凛がなんと言おうと俺はハルの気持ちを大事にしたいと思ってたから。
でもハルは地方大会で凛に言ったよね」
夢ってなんだ??
将来ってなんだ??
それはお前のだろ!!俺はお前とは違う!!俺にはそんなものはない
「もしハルが本気で今のままでいいと望むなら俺は何もいわない
だけど、夢が見つからないだけならば俺はハルにそれを見つけてほしい」
そう言って真琴は遙に静かに向き直った。
対して、手すりに凭れ掛かっていた遙は小さく息をつくとゆっくりと真琴に身体を向けた。
「見つけてほしい??
見つけようと思って見つけられるものなのか??」
「…それは」
「もういい…この話はこれで終わりだ」
言い淀む真琴の脇を通り遙はこの話を切り上げようとする。
だが、それを拒むように真琴は遙の手首を掴んだ。
「待って!!」
「離せ!!」
「俺の話を聞いて!!」
「いくら聞いても同じだ
見つけようとして見つかるものじゃない!!
俺は今のままでいい」
遙の言葉にギュッと唇を噛みしめると、真琴は感情を高ぶらせて声を張り上げた。
「嘘だ!!
ホントはハルだって見つけたいと思ってる!!
ハルはそれを見つけて外の世界へ飛び出すべきだ!!
ハルはその力を持ってる!!」
遙はまさか真琴からも同じようなセリフを投げかけられるとは思わず、ショックで目を見開く。
「お前までそんな事を言うのか!!
どこで泳ごうが、誰のために泳ごうが…俺の自由だろ!!
俺はこのままでいいって言ってるんだ!!」
「言い訳ないだろ!!
いいわけないから皆言ってるんだ!!
渚も怜も凛も……俺も
蒼だって言わないだけできっとそう思ってる!!
皆ハルのことが好きだから…大事に思ってるから…
なんでわからないんだよ!!
俺たちはハルに夢を…未来を…ちゃんと見つめてほしくて…」
互いに思っている想いをぶつけあう。
普段感情をそこまで表に出さない遙も、いつも遙の気持ちに寄り添っていた真琴も。こんなに二人が真っ向から意見を言い合うことなんて初めてであった。
そして、遂にしびれを切らいた遙はカッとなり真琴に詰め寄る。勢いよく遙は真琴の上体を押していく。その反動で真琴も後ろへ足が動いていく。ようやく遙は足を止めると睨みつけるように真琴を見上げて怒鳴り散らした。
「人の世話ばっか焼いて!!
おせっかいも大概にしろ!!
夢…
未来…
だったらお前はどうなんだよ!!
決めてもいないくせに勝手なことばっか言ってんなよ!!」
荒い息を整えながら遙は真琴の返事を待つ。
が、一向に真琴は口を開くことなくつぐんだまま。
「なんとか言えよ」
催促するように遙が口を開く。
それに答えようと真琴はゆっくりと掴んでいた遙の手首から手を離した。そのことにわずかに動揺しながら遙は返事を待つ。
そして遂に真琴が目を伏せながら口をゆっくりと開いた。
「決めたよ…俺…東京の大学に行く」
そして顔を上げた真琴は目をそらすことなく遙を見据える。
真っ直ぐな真琴の瞳…真剣な面付きに…何よりも真琴の言葉に遙は驚き言葉を失った。
一方、海岸沿いでは花火が打ち上がり始める。しかし、今の遙にはその花火の音なんて耳に入らなかった。
「言おうと思ってたんだけど、なかなか言い出せなくて…」
「勝手にしろ!!」
申し訳無さそうに真琴が目を伏せるが、遙は彼の言葉を拒絶するように感情に任せて叫ぶと踵を返してこの場から足早に去った。
目の前が真っ暗になった…
知らないうちに真琴が夢を見つけていた事実に遙は予想以上に動揺しショックを受けていた。
ムシャクシャな気分で一人俯きながら歩く遙。だが、彼の動きを止めるようにもう一人の幼馴染が己を呼ぶ声が聞こえてくる。
「どうせお前もアイツラと同じ事を言うんだろ??」
八つ当たりのように感情のまま言葉をぶつける遙は、、勢いよく顔を上げる。だが、遙の瞳に映ったのは悲しそうに首をゆっくりと横に振る蒼だった。
そんな彼女の様子に遙の頭に上っていた血が徐々に冷えていった。
落ち着きを取り戻していく遙に蒼は語りかけるように話しかける。
「だって…私もハルと同じでまだ見つからないからさ…
何も言えないよ
でもね…これだけは言える。
皆…ハルの事を心配しているってことは…
だからそのことだけは忘れないでほしい。
それだけを私はハルに伝えたかった」
呆然とする遙に蒼は小さく微笑むと彼の隣に立ち空に打ち上がる花火を見つめた。
「ねぇ…ハル」
「なんだ」
「一緒に泳ぐ理由探そうって…去年言ったの覚えてる??」
「あぁもちろんだ」
思い出すように目を伏せると遙も蒼に見習って花火を見上げた。
「その後、ハルは仲間と一緒に泳ぐ…リレーを泳ぐことを見出した。
もちろん、それも大事な理由の一つだと思う。
でも、これからはもう一歩先を考えないといけない。
ハルも私も…」
花火から目を離すと蒼は真剣な眼差しで遙を見据えた。
「……見つかるものなのか?それは??」
視線を向けることなく蒼に尋ねる遙。その言葉に蒼は他人事のよう笑って答えた。
「そんなの私にもわかんないよ!!!
でも。ハルならきっと見つけられる。
私はそう信じてる」
弾けるような満面の笑みを浮かべ遙を見るのは彼を信じて疑わない蒼の瞳。その言葉に遙の心は揺れた。
そんな情緒不安定な遙を訪ねに翌日の早朝、ある人物が押しかける。
家のインターホンがしつこく鳴る中、鬱陶しげに遙は玄関の扉を開ける。
するとそこにいたのは凛。遙は驚きで目を見開く。
凛からの突然の誘い…それは遙にとって、大きな転機になるのだった。
「遙先輩!!」
「ハルちゃん!!来たよ!!」
真琴・渚・怜・蒼で先に揃うと遙の家へ。庭に回り込むと寝そべる遙に声をかけた。
「皆揃ったし花火見に行こうよ」
遙を連れ出すように、皆がやってきたのは盆休みに行われる花火大会。
花火を見に海岸までやってきた一行の目に映るのは人々の手により海に続々と流される灯籠。流れる灯籠から放たれる光は暗い海で輝き、幻想的であった。
「うわぁ…美しい」
怜はその光景に舌鼓を打つ。
皆もその景色に心奪われる中、渚が意を決し口を開いた。
「ねぇ…ハルちゃん。
全国大会を泳ぐ前にちゃんと話したいことがあるんだ
そうでないと僕たちホントのチームになれない気がするから」
驚く遙に、今度は怜が歩み寄り心の内を話し出す。
「遙先輩…
僕も渚くんも遙先輩の泳ぎに憧れてきました。
何者にもとらわれない自由な泳ぎを見て僕もあんなふうに泳ぎたいと思った。
だけど、フリーを泳がなくなってしまった遙先輩の泳ぎは遙先輩らしくありません。
遙先輩には世界中のもっと沢山の人達の前で泳いでほしい。
そして僕たちと同じように沢山の人がその泳ぎを見て感動し遙先輩のように泳ぎたいと思えば
そんな素晴らしいことなんかないんじゃないかって…」
「…俺にはわからない」
だが、渚と怜の言葉に遙は頷けず、俯いたままこの場から離れるように踵を返して階段を登っていく。
その後ろ姿を悲しげに怜と渚は見つめる。
そんな二人の想いに、真琴はある決意を固める。
遙の姿が見えなくなった後、真琴は3人に一声かけると彼を応用にその場から立ち去るのだった。
「ここだと思った」
真琴は階段を登りきると、鉄柵に手をかけて海を黄昏れるように見つめる遙の隣に立つ。
「ハル…俺もこのままじゃいけないと思う」
暫く二人共、目を合わすことなく海を見ていた。しかし、タイミングを図っていた真琴は遙の横顔を何度か見ると決心を決めたのか口火を切った。
「俺は今までハルがよければそれでいいって思ってた。
凛がなんと言おうと俺はハルの気持ちを大事にしたいと思ってたから。
でもハルは地方大会で凛に言ったよね」
夢ってなんだ??
将来ってなんだ??
それはお前のだろ!!俺はお前とは違う!!俺にはそんなものはない
「もしハルが本気で今のままでいいと望むなら俺は何もいわない
だけど、夢が見つからないだけならば俺はハルにそれを見つけてほしい」
そう言って真琴は遙に静かに向き直った。
対して、手すりに凭れ掛かっていた遙は小さく息をつくとゆっくりと真琴に身体を向けた。
「見つけてほしい??
見つけようと思って見つけられるものなのか??」
「…それは」
「もういい…この話はこれで終わりだ」
言い淀む真琴の脇を通り遙はこの話を切り上げようとする。
だが、それを拒むように真琴は遙の手首を掴んだ。
「待って!!」
「離せ!!」
「俺の話を聞いて!!」
「いくら聞いても同じだ
見つけようとして見つかるものじゃない!!
俺は今のままでいい」
遙の言葉にギュッと唇を噛みしめると、真琴は感情を高ぶらせて声を張り上げた。
「嘘だ!!
ホントはハルだって見つけたいと思ってる!!
ハルはそれを見つけて外の世界へ飛び出すべきだ!!
ハルはその力を持ってる!!」
遙はまさか真琴からも同じようなセリフを投げかけられるとは思わず、ショックで目を見開く。
「お前までそんな事を言うのか!!
どこで泳ごうが、誰のために泳ごうが…俺の自由だろ!!
俺はこのままでいいって言ってるんだ!!」
「言い訳ないだろ!!
いいわけないから皆言ってるんだ!!
渚も怜も凛も……俺も
蒼だって言わないだけできっとそう思ってる!!
皆ハルのことが好きだから…大事に思ってるから…
なんでわからないんだよ!!
俺たちはハルに夢を…未来を…ちゃんと見つめてほしくて…」
互いに思っている想いをぶつけあう。
普段感情をそこまで表に出さない遙も、いつも遙の気持ちに寄り添っていた真琴も。こんなに二人が真っ向から意見を言い合うことなんて初めてであった。
そして、遂にしびれを切らいた遙はカッとなり真琴に詰め寄る。勢いよく遙は真琴の上体を押していく。その反動で真琴も後ろへ足が動いていく。ようやく遙は足を止めると睨みつけるように真琴を見上げて怒鳴り散らした。
「人の世話ばっか焼いて!!
おせっかいも大概にしろ!!
夢…
未来…
だったらお前はどうなんだよ!!
決めてもいないくせに勝手なことばっか言ってんなよ!!」
荒い息を整えながら遙は真琴の返事を待つ。
が、一向に真琴は口を開くことなくつぐんだまま。
「なんとか言えよ」
催促するように遙が口を開く。
それに答えようと真琴はゆっくりと掴んでいた遙の手首から手を離した。そのことにわずかに動揺しながら遙は返事を待つ。
そして遂に真琴が目を伏せながら口をゆっくりと開いた。
「決めたよ…俺…東京の大学に行く」
そして顔を上げた真琴は目をそらすことなく遙を見据える。
真っ直ぐな真琴の瞳…真剣な面付きに…何よりも真琴の言葉に遙は驚き言葉を失った。
一方、海岸沿いでは花火が打ち上がり始める。しかし、今の遙にはその花火の音なんて耳に入らなかった。
「言おうと思ってたんだけど、なかなか言い出せなくて…」
「勝手にしろ!!」
申し訳無さそうに真琴が目を伏せるが、遙は彼の言葉を拒絶するように感情に任せて叫ぶと踵を返してこの場から足早に去った。
目の前が真っ暗になった…
知らないうちに真琴が夢を見つけていた事実に遙は予想以上に動揺しショックを受けていた。
ムシャクシャな気分で一人俯きながら歩く遙。だが、彼の動きを止めるようにもう一人の幼馴染が己を呼ぶ声が聞こえてくる。
「どうせお前もアイツラと同じ事を言うんだろ??」
八つ当たりのように感情のまま言葉をぶつける遙は、、勢いよく顔を上げる。だが、遙の瞳に映ったのは悲しそうに首をゆっくりと横に振る蒼だった。
そんな彼女の様子に遙の頭に上っていた血が徐々に冷えていった。
落ち着きを取り戻していく遙に蒼は語りかけるように話しかける。
「だって…私もハルと同じでまだ見つからないからさ…
何も言えないよ
でもね…これだけは言える。
皆…ハルの事を心配しているってことは…
だからそのことだけは忘れないでほしい。
それだけを私はハルに伝えたかった」
呆然とする遙に蒼は小さく微笑むと彼の隣に立ち空に打ち上がる花火を見つめた。
「ねぇ…ハル」
「なんだ」
「一緒に泳ぐ理由探そうって…去年言ったの覚えてる??」
「あぁもちろんだ」
思い出すように目を伏せると遙も蒼に見習って花火を見上げた。
「その後、ハルは仲間と一緒に泳ぐ…リレーを泳ぐことを見出した。
もちろん、それも大事な理由の一つだと思う。
でも、これからはもう一歩先を考えないといけない。
ハルも私も…」
花火から目を離すと蒼は真剣な眼差しで遙を見据えた。
「……見つかるものなのか?それは??」
視線を向けることなく蒼に尋ねる遙。その言葉に蒼は他人事のよう笑って答えた。
「そんなの私にもわかんないよ!!!
でも。ハルならきっと見つけられる。
私はそう信じてる」
弾けるような満面の笑みを浮かべ遙を見るのは彼を信じて疑わない蒼の瞳。その言葉に遙の心は揺れた。
そんな情緒不安定な遙を訪ねに翌日の早朝、ある人物が押しかける。
家のインターホンがしつこく鳴る中、鬱陶しげに遙は玄関の扉を開ける。
するとそこにいたのは凛。遙は驚きで目を見開く。
凛からの突然の誘い…それは遙にとって、大きな転機になるのだった。