二人の想い
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「わぁ〜!!凄い!!」
深夜バスで東京へついた蒼は目を輝かせた。その隣では呆れながらも微笑ましげに見る彼女の友人がいた。
「田舎人、丸出しやめて」
「だ...だって!!」
「アメリカはこれ以上だったじゃない」
「そ...そうだけど、それとは別!!」
「はいはい...何時までも突っ立ってないで行くよ」
適当に蒼をあしらった雪菜はそそくさと歩きだす。その姿を見て蒼は慌てて追いかけるのだった。
「まずどこ行くの?」
「ウーン...まずは...」
蒼を引き連れて、雪菜は様々な大学を片っ端から回りはじめる。
だが、水泳部だけでなく蒼の為に色々調べてきたのかそこにある学科の講義をちゃっかり覗かせてもらったりしながら巡った。
こうやって二人きりで居るのがなんか新鮮で蒼も楽しみながら大学巡りを堪能した。
「よし!!次はココだね」
「えっと...燈鷹大学??」
「そうそう!!私の候補の一つ!!」
そう言いルンルン気分で正門を雪菜がくぐる。その後を蒼は付いていく形で門をくぐる。
「お?蒼君じゃないか!」
校内を歩いている二人に気づいて歩み寄ってきた人物に蒼はたまらず目を見開いた。
「御子柴さん!?」
「地方大会ぶりだな!」
「そうですね!」
「いやぁ、あの時はいい泳ぎを見せてもらったよ!藤堂さんも目を光らせてたよ」
豪快に笑う御子柴。
事情が全くわからない雪菜は二人を交互に見ると蒼を肘で突いた。
やっとこちらを向いた蒼に雪菜は耳打ちをする。
「誰??」
「鮫柄学園の去年の部長さん」
「ここの学生だってことは知ってた?」
「全然!!」
雪菜の言葉に、蒼は首を小さく振る。
「そういえば、どうしてここに?
ってキミは...確か...」
御子柴がようやく、蒼がいる違和感に気づく。と、同時に蒼の隣りにいる雪菜をどっかで見たことあると首を傾げた。
「はじめまして!
平井雪菜といいます。
今日は大学巡りの一貫でココにお邪魔してます」
雪菜は、連連と挨拶し自己紹介してここに来た旨を話し軽く一礼する。
「...平井雪菜??あぁ!!!」
御子柴は思い出したのかポン!っと掌に拳を落とす。
「地方大会のバッタで優勝した子か!!」
「はい!そうです!!」
「凄く君の泳ぎも良かったよ!」
「あ...ありがとうございます!!」
「折角だ!俺が案内しよう!」
という訳で、ココでは御子柴に色々と二人は説明を受けながら案内してもらうのだった。
「最後はここ!!」
「霜狼学院大学??」
「ここはスポーツ強豪校で、私の最有力候補!!」
ここでは次期部長だと言う星川に水泳部を案内してもらう。
キラキラと目を輝かせ興味津津な雪菜とは裏腹に蒼はどれもピンと来るものがきていなかった。
複雑な表情をする蒼を雪菜は隣で盗み目していたのであった。
約2日かけて巡り終えた二人は近くのカフェに入っていた。
「ねぇ?最後に行きたいとこあるんだけど?」
丁度食べ終わった所で雪菜が話を切り出す。
「まだ行くの??」
「違う違う!!大学じゃなくて」
「じゃあどこ行くの?」
「それは着いてからのお楽しみ」
じゃじゃん!!と自信満々に雪菜が蒼を連れてきた場所は...
「なにここ??」
「ナショナルチームの練習場所!」
「え??入っていいの!?」
「許可は取ってるから行こ!!」
そして二人は、中へ。
中へ入った蒼が見た光景は、真ん中のプールで泳ぐ選手達。そんな彼らをサポートするように様々な人達が忙しなく動いている姿だった。
競泳は向いてないと漠然と思っていた蒼に、新しい光が差す。
それは選手でなくても競泳に関わることが出来るという新しい発見だった。
選手を精神的にも身体的にも支える。
一緒に頑張った結果が、良い成績に繋がれば勝利を分かち合う事ができる。
キラキラと目を輝かせる蒼を、見て雪菜の表情も思わず緩む。
ここに連れてきて良かったと雪菜は心から思うのだった。
「雪菜!!決めたよ!!
私...サポートしたい!!雪菜みたいに夢に向かって頑張る選手達を」
向いてるのか向いてないのかそんなの関係なく、蒼は直感的にコレだと感じたのだ。
「そっか...」
「出来るのならば、雪菜のサポートを」
決意を決めた菫色の瞳。
新たに決意を固めた琥珀色の瞳。
真っ直ぐに夢に向かって進もうとする二人の瞳が交差する。
「じゃあ、次からは私達相棒だね」
雪菜の言葉に蒼は頷く。
そして二人は拳を合わせるのだった。