Splash festa
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
『来たれ!!新入部員!初心者歓迎!』
部室に掲げられているのは江が書いたもの。
準備万端で新入生部員が来るのを待つが一向に誰も来る気配が無かった。
「今日も誰も来ない…」
「やはり夏の大会で素晴らしいリレーを披露して水泳部の名を全国に轟かせるしか…」
「夏まで待てない!!」
怜の言葉に渚がブンブンと首を振る。
「こうなったら校舎を全裸で走り回るしかないよ!レイちゃん!!」
「水着何処いったんですか〜!!」
渚の言葉に怜は頭を抱える。
そんな彼に渚が詰め寄る。
「レイちゃんは全裸になるのと部員ゼロ…どっちが大切なの!?」
「どっちも嫌ですよ!まず全裸から離れてください!」
「じゃあ…水泳部のCMソングを作ろ!」
「誰が作るんです?」
「レイちゃん??」
「誰が歌うんです?」
「レイちゃん??」
「ぬあぁぁぁぁ〜〜〜!!」
そんな二人の様子をため息交じりに見ていた江はそういえば…とこの場にいない3人のことを思うのだった。
「そういえば…遙先輩達は!?」
遙達は3年生ということもあり、進路希望調査票の用紙が渡され各々担任と面談を行っていたのだ。
遙がその用紙に書いたのは『free』
流石にそれを見た天方は苦笑する。
「これはどういう意味なのかしら?」
「別に…そのままの意味です」
「そのままってそんな…」
天方は戸惑いの声を上げる。
「七瀬くん…水泳は続けたいと思ってるんでしょ?
貴方ほどの実力があればスポーツ推薦という道もあるし…
もう少し真剣に考えてみたら?」
だが、何も反応を示さない遙を見て天方は大きくため息をついた。
「…こんな名言があります。
やってみなはれ。やらななんもわかりはしまへんで!」
対してその部屋の外では、一足先に面談を終えた真琴と蒼が今か今かと待っていた。
「遅いね…ハル」
「そうだね…」
部屋の扉を見て、腕時計を見て…
「そういえばハルなんて書いたんだろう??」
真琴の疑問に蒼はクスクス笑った。
「そんなの決まってるじゃん!!freeだよ」
「え…えぇ!!確かにハルならやりかねないけど…」
「でしょ!!」
「ねぇ...蒼」
「ん??どうしたの?真琴?」
蒼が見上げると真っ直ぐ真琴が真剣な表情をしていた。
なんだろう?と真琴が口を開くのを蒼は固唾を呑んで待った。
だが...
「終わった」
ガランと扉が開き遙が出てきた事で話はお預けに。
「じゃあ練習行こっか」
いつもの表情に戻った真琴が声をかける。それに遙と蒼が頷く。
部室で今か今かと待っているであろう後輩達の元へ彼らは足早に急ぐのだった。
寒いこの時期…
プール開きをしたもののそこで練習する訳にもいかず一行は岩鳶SC RETURNSで少しの間だけ場所を借りていたのだ。
「やっぱり屋内は良いわね!日差しの心配もいらないし」
「使わせてもらうのは気温が低い季節だけですよ!先生」
ニコニコする天方に江は呆れた様子を浮かべる。
「とにかく…今年は地方大会勝ち抜いて全国大会に行くんです!!」
「江ちゃんの言う通りだね」
泳いでいた蒼はやる気満々の江を見て笑みを浮かべた。
「全国までいけばここも有名になって会員がバンバン増えるよきっと」
同じく泳ぎを止めて渚が江たちを見上げる。
「そうだ!!そしたらマコちゃん達も此処に就職したほうがいいんじゃない?」
「バカやろう!!お前らの就職のために作ったんじゃない!!」
当然のことながら渚の閃きを笹部は却下。
その二人の様子に真琴と蒼は苦笑いをした。
その奥のレーンでは黙々と遙が泳いでいた。そして、一足先にプールからあがった怜は息を整えていた。そんな怜は壁にあるポスターを見つける。
「このポスターは??」
「あぁ!!見ての通りオープン記念イベントのポスターだ」
怜の問に笹部が脇に抱えていたポスターを広げる。
「お前らも貼るの手伝ってくれ!!」
広げたポスターにプールから上がった皆が顔を近づける。
「SPRASHU Fes…??」
真琴がポスターの文面を読み上げる。
「綴が間違ってる…」
怜が相変わらずの笹部の綴ミスを指摘する。
「笹部コーチ!!そのイベントは何するの??」
「うんうん」
蒼の投げかけに江も興味津々に頷く。
「ふふ〜ん…色々と面白い事を計画中だ」
「どんなどんな??」
「例えばだな…
泳げない子でも参加できるビート板レース
息継ぎなしで距離を競う潜水レース
そして
のし泳ぎ!!」
「のし泳ぎ??」
「なにそれ??」
笹部の言葉に怜と蒼が首を傾げる中、渚がそれ知ってる!!と声を上げる。
「ときは戦国時代…
武将が鎧をまとったまま川を渡るのに使ったっていう古式泳法!!」
「意味がわからない!!」
「だが…メインの企画が思いつかなくてな
なんかアイディアないか?」
笹部がうーんと唸る。
「面白そうだね!僕たちも考えようよ!」
渚の一声に皆大きく頷く。
一方の笹部はというと、天方に向き合っていた。
「天方先生もぜひご協力を…よろしければ水着で歌っちゃったりとか」
「…さ~さ~べ~さん~」
笹部の一言が引き金となり天方は身体全体から怒りの炎をメラメラと燃やしニコニコと笑い詰め寄る。
「あ…アチッ!!なんでもないっす!!」
笹部にその炎の熱さが伝わったのか彼は悲鳴をあげるのだった。
そんなことは一向に知らない蒼達は町の各地に散らばり掲示板などにポスターを貼っていった。