決戦前夜
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
走っていた遙の耳に聞きなれた声が聞こえてきて彼は思わず足を止めた。
「ハルちゃーーーん!!」
「渚?」
なんと反対側の歩道で大きく手を振る渚がいたのだ。
そして2人は近くの公園へ。そこにあったブランコに腰かけた。
「目が覚めたらレイちゃん居なくて、探してたんだ。ハルちゃんは?」
「俺は…」
「眠れなかったんでしょ?緊張して!」
「別に…」
そっぽむいた遙に図星だとわかった渚はニコリと笑った。そして空を見上げた。
「実は僕もちょっと緊張してるんだよね!」
その衝撃な言葉に遙が驚く。
「お前が?」
「明日、飛び込み失敗したらどうしよう、とか。
みんなの足ひっぱっちゃわないかな、とか。
いつもはあまり考えない事まで考えちゃったり…
だって、ハルちゃん達とまたリレーができるんだもん!それに、明日は凜ちゃんと勝負だし!だから、ハルちゃんも緊張してるんでしょ?」
その言葉に考え込むように少し間をあけた後、遙は口を開く。
「渚のおかげだな」
「へ?」
その言葉に渚はキョトンとする。
「最初に水泳部を作ろうって言い出したのは、渚だったろ」
「うん、そうだったね!」
「あの時はまさか、また自分がリレーを泳ぐことになるなんて思ってもなかった」
「ま!そういう意味ではハルちゃん、僕にはもっと感謝してもらわないとね!」
得意げに渚はエッヘンと腰に両手を当てる。
だが、遙の返答は渚の予想の斜め上をいく。
「そうだな…ありがとな、渚」
素直な遙の言葉。
渚は嬉しそうに頬を緩ますと、ブランコから降りて背中から遙に飛びつく。
「ハルちゃーーーん!!僕もうれしい!!!」
「渚っ!!」
夜中に響く渚の嬉しい声。よほど嬉しいのか何度も遙の名前を連呼する。対して密着された遙のほうは照れ臭そうに渚の行動をやめさせようと何度も彼の名を呼ぶのだった。
*
音を立てないようゆっくり慎重にドアを開ける。やはり鍵は掛かっておらずすんなりと入ることが出来た。薄暗い部屋の中、手前のベッドで真琴は横になって寝ているのを蒼は発見。よし!と意を決してバレないように蒼はベッドへ近づく。目の前に着いた蒼はそのままベッドへ乗り上げそのまま馬乗り状態に。
こんな状態になってるとは知らずに寝ている彼にまだ気づかないのかと思いつつ、笑いを堪えるのに必死だった蒼は気づかなかった。
わぁ!!
急に引っ張られ体勢を崩した蒼はスプリング音と共に背中に柔らかいベッドの感触を感じる。そして、さっきまで真琴の寝顔を見ていたのにいつの間にか天井が見えている状態に。なにが起こったかわからず蒼は困惑してしまった。
「何やってるの?蒼...」
頭上から聞こえてくるのは真琴の声。
なんと彼はいつの間にか蒼の上に跨がっているのだ。でも...こんな真琴の浮かべている表情を知らない蒼は縮こまる。
いつもの優しいグリーンの瞳が今はギラギラと熱が籠もった鋭い瞳だったからだ。
「聞いてるの?なんでここに居るか聞いてるんだけど」
「真琴を驚かせようと思って...」
「ふーん....
蒼ってさホントに危機管理なってないよね
夜に男子部屋に忍び込むことの意味わかってるの?」
彼の言葉一つ一つがすごく冷たく、蒼は背筋が寒くなった。
真琴は目の前の震える蒼の頬にゆっくり手を当てる。瞬間蒼の顔は赤く染まり潤んだ瞳に。
そんな彼女を目の当たりにして寸前で止めようとする真琴の理性は崩壊寸前。
それでも、大事に思っているからこそ真琴はかろうじて残っている理性を振り絞りゆっくりと彼女から離れた。
そして未だに子犬のように震える蒼をそっと抱き寄せた。
「ゴメン...怖い思いさせちゃったね」
その声に安心したのか蒼は癇癪を起こしたかのように泣きじゃくった。
「うわぁーん!!普段の真琴に戻った!」
「...それどういうこと?」
「だ...だって!!真琴が真琴じゃなかったんだもん」
未だに泣き止まない蒼にゴメンごめんと真琴は慰める。
「でも...蒼も悪いんだならね」
「な...なんで??」
全く検討がついてないのか不思議そうに蒼は首を傾げる。その態度に真琴は何度目かわからない溜息をつく。
「男の子は狼なんだよ」
「...そうなの!?」
一瞬驚いた表情を浮かべるが、ウーンと唸り始める。
「...狼??」
「ホントに蒼は何も知らないんだね」
純粋すぎる蒼に真琴はガクリと肩を落とす。対する蒼は、アハハと小さく笑った。
「留学時代に何もされなかったの?」
「いやぁ...凄く過保護な人がいて」
蒼はエヘヘ...と笑った。
何も言ってないのに蒼の行動が分かるのか、事ある度にその人は首を突っ込んできたのだ。
どうしてか蒼ともう一人の友達にとてつもなく過保護な彼。
蒼は少し度がすぎるのではないか?と不満がつのり訴えたのだが...
駄目だよ...
蒼は何も知らないからこれくらいが丁度いいよ
柔らかく微笑んだ彼は蒼の頭を優しく撫でるだけ…
一切聞く耳を持ってくれなかったのだ。
「はぁ〜〜」
「アハハ...それは大変だったね」
「で?結局どういう意味なの!?」
そう言って真琴に蒼は詰め寄る。
「え...え〜っとね」
何か話題を逸らす方法はないかと蒼から目線を逸らすはぐらかそうとする。
「蒼…明日試合だし…そろそろ」
「気になって寝れない!」
ピシャリと蒼は真琴の言葉を遮る。その目はジーッと真琴を見ていて決意が固い。
その様子に真琴は大きく息をつく。
意を決した真琴はゆっくりと蒼の身体を押し倒した。
え…
この状況に理解が追い付かず困惑する蒼に真琴はゆっくりと顔を近づける。そして彼女の首元に吐息をふぅーと吐く。された本人は感じた途端に心拍数が跳ね上がった。
ドキリとした蒼は恐る恐る真琴を見る。
さきほどと違い優し気に微笑む真琴。だが、優しい眼差しの奥は熱を帯びていて…
己自身も体温が上昇するのを感じた。
触れてほしい…
蒼はジッと迫ってくる真琴の手を求める。が、彼の手は蒼の頭へ。そしてサラッと髪に指を通すだけだった。
「そんな目で見ないでよ…止められなくなっちゃう」
蒼の期待するような目に、真琴は困った表情をする。
「…欲しい」
「へ!?!?」
「…嫌じゃなかった。真琴にもっと触れてほしいって思っちゃった」
赤く頬を染めた蒼は真琴の手を取り自身の頬に持っていった。
真琴は手に感じる蒼の体温にドクリと心臓が跳ね上がる。
「アハハ…ウソでも嬉しいよ」
小さく微笑む真琴は自惚れだと自負しながらも流れに任せ、彼女の額に唇を落とすのだった。
「ハルちゃーーーん!!」
「渚?」
なんと反対側の歩道で大きく手を振る渚がいたのだ。
そして2人は近くの公園へ。そこにあったブランコに腰かけた。
「目が覚めたらレイちゃん居なくて、探してたんだ。ハルちゃんは?」
「俺は…」
「眠れなかったんでしょ?緊張して!」
「別に…」
そっぽむいた遙に図星だとわかった渚はニコリと笑った。そして空を見上げた。
「実は僕もちょっと緊張してるんだよね!」
その衝撃な言葉に遙が驚く。
「お前が?」
「明日、飛び込み失敗したらどうしよう、とか。
みんなの足ひっぱっちゃわないかな、とか。
いつもはあまり考えない事まで考えちゃったり…
だって、ハルちゃん達とまたリレーができるんだもん!それに、明日は凜ちゃんと勝負だし!だから、ハルちゃんも緊張してるんでしょ?」
その言葉に考え込むように少し間をあけた後、遙は口を開く。
「渚のおかげだな」
「へ?」
その言葉に渚はキョトンとする。
「最初に水泳部を作ろうって言い出したのは、渚だったろ」
「うん、そうだったね!」
「あの時はまさか、また自分がリレーを泳ぐことになるなんて思ってもなかった」
「ま!そういう意味ではハルちゃん、僕にはもっと感謝してもらわないとね!」
得意げに渚はエッヘンと腰に両手を当てる。
だが、遙の返答は渚の予想の斜め上をいく。
「そうだな…ありがとな、渚」
素直な遙の言葉。
渚は嬉しそうに頬を緩ますと、ブランコから降りて背中から遙に飛びつく。
「ハルちゃーーーん!!僕もうれしい!!!」
「渚っ!!」
夜中に響く渚の嬉しい声。よほど嬉しいのか何度も遙の名前を連呼する。対して密着された遙のほうは照れ臭そうに渚の行動をやめさせようと何度も彼の名を呼ぶのだった。
*
音を立てないようゆっくり慎重にドアを開ける。やはり鍵は掛かっておらずすんなりと入ることが出来た。薄暗い部屋の中、手前のベッドで真琴は横になって寝ているのを蒼は発見。よし!と意を決してバレないように蒼はベッドへ近づく。目の前に着いた蒼はそのままベッドへ乗り上げそのまま馬乗り状態に。
こんな状態になってるとは知らずに寝ている彼にまだ気づかないのかと思いつつ、笑いを堪えるのに必死だった蒼は気づかなかった。
わぁ!!
急に引っ張られ体勢を崩した蒼はスプリング音と共に背中に柔らかいベッドの感触を感じる。そして、さっきまで真琴の寝顔を見ていたのにいつの間にか天井が見えている状態に。なにが起こったかわからず蒼は困惑してしまった。
「何やってるの?蒼...」
頭上から聞こえてくるのは真琴の声。
なんと彼はいつの間にか蒼の上に跨がっているのだ。でも...こんな真琴の浮かべている表情を知らない蒼は縮こまる。
いつもの優しいグリーンの瞳が今はギラギラと熱が籠もった鋭い瞳だったからだ。
「聞いてるの?なんでここに居るか聞いてるんだけど」
「真琴を驚かせようと思って...」
「ふーん....
蒼ってさホントに危機管理なってないよね
夜に男子部屋に忍び込むことの意味わかってるの?」
彼の言葉一つ一つがすごく冷たく、蒼は背筋が寒くなった。
真琴は目の前の震える蒼の頬にゆっくり手を当てる。瞬間蒼の顔は赤く染まり潤んだ瞳に。
そんな彼女を目の当たりにして寸前で止めようとする真琴の理性は崩壊寸前。
それでも、大事に思っているからこそ真琴はかろうじて残っている理性を振り絞りゆっくりと彼女から離れた。
そして未だに子犬のように震える蒼をそっと抱き寄せた。
「ゴメン...怖い思いさせちゃったね」
その声に安心したのか蒼は癇癪を起こしたかのように泣きじゃくった。
「うわぁーん!!普段の真琴に戻った!」
「...それどういうこと?」
「だ...だって!!真琴が真琴じゃなかったんだもん」
未だに泣き止まない蒼にゴメンごめんと真琴は慰める。
「でも...蒼も悪いんだならね」
「な...なんで??」
全く検討がついてないのか不思議そうに蒼は首を傾げる。その態度に真琴は何度目かわからない溜息をつく。
「男の子は狼なんだよ」
「...そうなの!?」
一瞬驚いた表情を浮かべるが、ウーンと唸り始める。
「...狼??」
「ホントに蒼は何も知らないんだね」
純粋すぎる蒼に真琴はガクリと肩を落とす。対する蒼は、アハハと小さく笑った。
「留学時代に何もされなかったの?」
「いやぁ...凄く過保護な人がいて」
蒼はエヘヘ...と笑った。
何も言ってないのに蒼の行動が分かるのか、事ある度にその人は首を突っ込んできたのだ。
どうしてか蒼ともう一人の友達にとてつもなく過保護な彼。
蒼は少し度がすぎるのではないか?と不満がつのり訴えたのだが...
駄目だよ...
蒼は何も知らないからこれくらいが丁度いいよ
柔らかく微笑んだ彼は蒼の頭を優しく撫でるだけ…
一切聞く耳を持ってくれなかったのだ。
「はぁ〜〜」
「アハハ...それは大変だったね」
「で?結局どういう意味なの!?」
そう言って真琴に蒼は詰め寄る。
「え...え〜っとね」
何か話題を逸らす方法はないかと蒼から目線を逸らすはぐらかそうとする。
「蒼…明日試合だし…そろそろ」
「気になって寝れない!」
ピシャリと蒼は真琴の言葉を遮る。その目はジーッと真琴を見ていて決意が固い。
その様子に真琴は大きく息をつく。
意を決した真琴はゆっくりと蒼の身体を押し倒した。
え…
この状況に理解が追い付かず困惑する蒼に真琴はゆっくりと顔を近づける。そして彼女の首元に吐息をふぅーと吐く。された本人は感じた途端に心拍数が跳ね上がった。
ドキリとした蒼は恐る恐る真琴を見る。
さきほどと違い優し気に微笑む真琴。だが、優しい眼差しの奥は熱を帯びていて…
己自身も体温が上昇するのを感じた。
触れてほしい…
蒼はジッと迫ってくる真琴の手を求める。が、彼の手は蒼の頭へ。そしてサラッと髪に指を通すだけだった。
「そんな目で見ないでよ…止められなくなっちゃう」
蒼の期待するような目に、真琴は困った表情をする。
「…欲しい」
「へ!?!?」
「…嫌じゃなかった。真琴にもっと触れてほしいって思っちゃった」
赤く頬を染めた蒼は真琴の手を取り自身の頬に持っていった。
真琴は手に感じる蒼の体温にドクリと心臓が跳ね上がる。
「アハハ…ウソでも嬉しいよ」
小さく微笑む真琴は自惚れだと自負しながらも流れに任せ、彼女の額に唇を落とすのだった。