夏祭り
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『見失ってしまいました』
画面に表示された文面に渚は驚き思わず声をあげる。
「ええっ!?じゃあ凛ちゃんまだ近くに、」
「さっきから何やってるんだ?」
その声にギクリと渚は体を強張らせる。恐る恐る振り向くと渚の背後にはいつの間にか遙がいた。
もう隠し通せないと悟った渚は大人しく事情を話す。
それを黙って聞いていた遙がゆっくりと口を開いた。
「凜が来てたのか?」
「うん…」
「そうか。もういいから、怜に戻って来いって言ってやれ」
遙の言葉に渚はゆっくりと大きく頷いた。
「それじゃあ僕、レイちゃん迎えに行ってくるね!」
カタカタと下駄を鳴らし、渚は駆け出す。
それを見届けた遙達は場所を移動した。
そこは祭り会場を見渡せる高台。
「はい」
「サンキュ」
「アオちゃんも…」
「ありがと」
真琴が買ってきた缶を二人に渡した。
それを受け取った遙達は缶を開けて飲む。吊られるように真琴も飲んだ。
その場にいた誰もが言葉を発する素振りを見せることなく時間が経過していく。そんな静寂を打ち破るように真琴が口をゆっくりと開いた。
「俺さ、この前のリレー…ぶっつけ本番で必死だった。
次に繋げなきゃって、我武者羅に泳いで。
でも、泳いでるうちに思い出したんだ。あの時の景色!
ハルと、みんなとリレー泳げたことが、俺は嬉しかったよ」
あの時の光景を思い出してか、真琴が小さく微笑む。だが、そんな彼の瞳から逃れるように遙は俯いた。そして両手に握る缶に視線を落とした。そんな遙を心配そうに蒼は見つめた。
「俺は…わからなくなった。」
「え?」
「泳ぐのに理由なんかなくていい。水を感じられればそれでいい。今まではそう思ってた…
けど、あいつに負けた時目の前が真っ暗になった。
俺はもう、凜と泳げない。
すべてがどうでもよくなった。大会も何もかも。でも、そんな時にお前たちの試合を、見たんだ。
俺はずっとこいつらと頑張ってきたんだ…そう思った。ただの人数合わせにしかならないかもしれない。でも…お前たちがリレーに出たいならそれでもいい…出てみようって。
その時に思い出したんだ。一つのコースを繋いで泳ぐ事、ゴールした場所にみんなが居る事。」
ギュッとシャツを握りしめ遙は真琴達に向き直った。
「そのことが……嬉しかった!!俺も!!!」
いつになく感情を込めた遙のその言葉に蒼と真琴は表情をパッと明るくした。
「「ハル!!」」
「ハルちゃん!今の言葉ほんと!?」
その声に振り向くといつから居たのか渚と怜がいた。
「答えはもう出ています、遙先輩!」
促すように怜が口を開く。すると遙はゆっくりと彼らの顔を見て名前を呼んだ。
「渚、怜、真琴、蒼…
俺もリレーに出たい。お前達と泳ぎたい!蒼にちゃんと見ていてもらいたい!もう一度!!」
その言葉に蒼達は顔を見合わせあうと大きく頷いた。
遙がリレーに出たいと言ってくれた。そのことがただ彼らは嬉しかったのだ。
目標はあくまで高く。
全国大会に向け練習するため、もう帰ろうかというムードになる中、遙はそれを静止した。どうしても寄りたいところがあったからだ。
それは、金魚すくい。
いとも簡単に4匹取った遙は真琴にそれを差し出す。
「ホントに俺がもらっていいの??」
「あぁ」
「良かったね!真琴」
嬉しそうに持つ袋の中で泳ぐ金魚を見る真琴。吊られるように蒼も笑みを浮かべる。
「マコちゃんしか世話しそうにないからね」
「ちゃんと飼うよ」
「せっかくですし名前をつけませんか」
怜の提案に暫し悩んだ後、渚が元気よく言う。
「渚、怜、遙、真琴でいいんじゃないかな」
「ナギちゃん…ちゃんと考えてないでしょ?」
「それはちょっと」
蒼と怜が不服気味な表情を浮かべる。
そんな中、遙らしい考えが出てくる。
「サバ、カツオ、マグロ、アジ」
「えぇ~??」
真琴も思わず声を漏らす。が、すぐに彼らの声は晴れ渡る空に響くくらいの笑い声に変わっていたのだった。
不安なことは解決できた…
と思いきや、翌日新たに戸惑うような事案が発覚するなんて当時の彼らは全く知らなかった。
画面に表示された文面に渚は驚き思わず声をあげる。
「ええっ!?じゃあ凛ちゃんまだ近くに、」
「さっきから何やってるんだ?」
その声にギクリと渚は体を強張らせる。恐る恐る振り向くと渚の背後にはいつの間にか遙がいた。
もう隠し通せないと悟った渚は大人しく事情を話す。
それを黙って聞いていた遙がゆっくりと口を開いた。
「凜が来てたのか?」
「うん…」
「そうか。もういいから、怜に戻って来いって言ってやれ」
遙の言葉に渚はゆっくりと大きく頷いた。
「それじゃあ僕、レイちゃん迎えに行ってくるね!」
カタカタと下駄を鳴らし、渚は駆け出す。
それを見届けた遙達は場所を移動した。
そこは祭り会場を見渡せる高台。
「はい」
「サンキュ」
「アオちゃんも…」
「ありがと」
真琴が買ってきた缶を二人に渡した。
それを受け取った遙達は缶を開けて飲む。吊られるように真琴も飲んだ。
その場にいた誰もが言葉を発する素振りを見せることなく時間が経過していく。そんな静寂を打ち破るように真琴が口をゆっくりと開いた。
「俺さ、この前のリレー…ぶっつけ本番で必死だった。
次に繋げなきゃって、我武者羅に泳いで。
でも、泳いでるうちに思い出したんだ。あの時の景色!
ハルと、みんなとリレー泳げたことが、俺は嬉しかったよ」
あの時の光景を思い出してか、真琴が小さく微笑む。だが、そんな彼の瞳から逃れるように遙は俯いた。そして両手に握る缶に視線を落とした。そんな遙を心配そうに蒼は見つめた。
「俺は…わからなくなった。」
「え?」
「泳ぐのに理由なんかなくていい。水を感じられればそれでいい。今まではそう思ってた…
けど、あいつに負けた時目の前が真っ暗になった。
俺はもう、凜と泳げない。
すべてがどうでもよくなった。大会も何もかも。でも、そんな時にお前たちの試合を、見たんだ。
俺はずっとこいつらと頑張ってきたんだ…そう思った。ただの人数合わせにしかならないかもしれない。でも…お前たちがリレーに出たいならそれでもいい…出てみようって。
その時に思い出したんだ。一つのコースを繋いで泳ぐ事、ゴールした場所にみんなが居る事。」
ギュッとシャツを握りしめ遙は真琴達に向き直った。
「そのことが……嬉しかった!!俺も!!!」
いつになく感情を込めた遙のその言葉に蒼と真琴は表情をパッと明るくした。
「「ハル!!」」
「ハルちゃん!今の言葉ほんと!?」
その声に振り向くといつから居たのか渚と怜がいた。
「答えはもう出ています、遙先輩!」
促すように怜が口を開く。すると遙はゆっくりと彼らの顔を見て名前を呼んだ。
「渚、怜、真琴、蒼…
俺もリレーに出たい。お前達と泳ぎたい!蒼にちゃんと見ていてもらいたい!もう一度!!」
その言葉に蒼達は顔を見合わせあうと大きく頷いた。
遙がリレーに出たいと言ってくれた。そのことがただ彼らは嬉しかったのだ。
目標はあくまで高く。
全国大会に向け練習するため、もう帰ろうかというムードになる中、遙はそれを静止した。どうしても寄りたいところがあったからだ。
それは、金魚すくい。
いとも簡単に4匹取った遙は真琴にそれを差し出す。
「ホントに俺がもらっていいの??」
「あぁ」
「良かったね!真琴」
嬉しそうに持つ袋の中で泳ぐ金魚を見る真琴。吊られるように蒼も笑みを浮かべる。
「マコちゃんしか世話しそうにないからね」
「ちゃんと飼うよ」
「せっかくですし名前をつけませんか」
怜の提案に暫し悩んだ後、渚が元気よく言う。
「渚、怜、遙、真琴でいいんじゃないかな」
「ナギちゃん…ちゃんと考えてないでしょ?」
「それはちょっと」
蒼と怜が不服気味な表情を浮かべる。
そんな中、遙らしい考えが出てくる。
「サバ、カツオ、マグロ、アジ」
「えぇ~??」
真琴も思わず声を漏らす。が、すぐに彼らの声は晴れ渡る空に響くくらいの笑い声に変わっていたのだった。
不安なことは解決できた…
と思いきや、翌日新たに戸惑うような事案が発覚するなんて当時の彼らは全く知らなかった。