「新入部員だぁ？んなもん、実績つくればいくらでも入ってくんだろ」

笹部のもとを訪ね事情を説明したのだが、案の定一般的な正論が返ってくる。その言葉に怜と渚が肩をすくめる。

「そんな簡単にいいますけどね…」

「ごろちゃんそんな簡単に…」

「で？笹部コーチ、俺達に用って…」

真琴が声を上げる。
実は笹部に呼び出される形で元岩鳶SCがあった場所に来ていたのだ。

「ふっふん〜…
だからその実績作りの為に、協力してやろうってんだよ！」

「どういうこと？？」

意味深な言葉に蒼は首を傾げる。
だが、笹部がその問いに答えることは無かった。

「いいから付いてこい！！」



そして笹部に連れられる形でプールへと移動する。
そこで見えた光景に遙、真琴、渚は感嘆の声を漏らす。
去年訪れたときは埃っぽく水が無かった場所に水がしっかり張られていたのだ。
窓から入る夕日の光に照らされたプールは水面がキラキラと輝く。

昔と変わらない光景に真琴は声をあげる。

「岩鳶スイミングクラブが戻ってきた…」

「おうよ！！その名も！！
岩鳶SC RETURNS！！」

意気揚々と笹部が名前を公表するとそのまま話を続ける。

「オープン前にとりあえずプールだけは使えるようにしといた！」

「ごろちゃん！！ありがと！！」

渚が嬉しさのあまり笹部に抱きつく。

「「「「ありがとうございます！！」」」」

真琴たちも笹部にお礼を述べる。

「これでみっちり練習して、まずは来週の市民大会でビシッと実績出してみろ！って…おい！！」

笹部がげんなりと表情を一転させる。その視線の先では、服をこの場で脱ぎ捨て水着姿になる遙の姿があった。

そして勢いよく遙はプールにまっしぐら。
江は遙の筋肉にうっとり。
一方の真琴は止めようと慌てて声を上げるが今の遙には無意味。

「人の話を聞け！！遙は！！」

笹部は泳ぎ始める遙を笹部は怒鳴り散らす。

「気持ちよさそう！！」

蒼は眼を輝かせ水面を眺める。

「僕も僕も！！」

笹部に乗っかっていた渚が声を上げる。
が、笹部はそんな渚に白目を向けるのだった。

「ここで脱ぐなよ！！」

「えぇ〜〜」