仲間のために
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男子自由形…予選3組
アナウンスが凛の出る試合を知らせる。
「次、凜ちゃんだよ!」
「あぁ」
「お兄ちゃぁ~ん!がんばれぇ~~!!」
そしてレースが始まる。
だが、凛はスタート出遅れる。凛ならターンで取り戻せると固唾を呑んで見守るのだが、調子が良くないのかいつもの切れキレの泳ぎを凛が出来ていなかった。
どんどん遅れをとっていく凛を見て、普段の彼らを知っている遙達は戸惑った。
「凜…?」
ようやくゴールした凛は苦しそうに息をつく。だが、プールサイドに上がろうとするがよじ登れない状況が続く。
「どうしたんだ…?」
「お兄ちゃん…」
その様子に居ても立っても居られず遙と蒼は慌てて飛び出した。それを追うように真琴達も立ち上がった。
ゆっくりと力なく歩く凛。
俯き目に光がない凛を似鳥が慌てて追いかけた。
「先輩!松岡先輩!!待ってください!!」
そして追いつくと似鳥は凛の腕を掴んだ。
「大丈夫です!今日はたまたま調子が悪かっただけですよ!先輩の実力は本物です!コンディションさえ整っていれば…」
励まそうとする似鳥の言葉。
だが、今の凛にとってその言葉は彼を一層苛立させた。
「うっせえ!!!!」
凛は苛立ちをぶつける様に近くの自販機に思い切り拳をぶつけた。
その音は凛を探していた遙達の耳に留まる。
「先輩落ち着いてください!そんな事したら次から試合に出られなく…」
「関係ねぇ!!もうどうなったってかまわねぇ!!!所詮俺はこの程度なんだよ!だからリレーも外された!!もういい!やめだ!水泳なんてやめてやるよ!!!!」
苛立ちを似鳥にぶつけ、更に近くにあったごみ箱を思い切り蹴り飛ばすとそのまま凛は去っていく。
「松岡先輩!!」
似鳥の呼ぶ声はもう凛の耳に届くことはなかった。
似鳥は戸惑うように周囲を見渡す。そして後ろを振り向くとそこには岩鳶水泳部の面々がいることに気づく。
彼らを一瞥すると似鳥は顔を逸らすように俯きそのまま踵を返すように凛が行った方向に走り去るのだった。
一方で、驚愕の事実を知った彼らは戸惑いを隠せなかった。
「凜ちゃん…メンバーから外されたって…どうゆうこと?」
「決勝に残れば…凜と勝負できると思ってたのに…」
渚と真琴が戸惑いの声を漏らす中…
遙は先ほど凛が言った言葉が、脳裏にリピートされる。
水泳なんてやめてやるよ!!!!
俺はもう…水泳やめる…
中1の時凛が言った言葉が遙の中でダブって聴こえてくる。
「俺はもう…凜と泳げない…」
絶望を感じた遙は力なくズルズルと壁にずり落ち俯いてしまった。
「ハル…しっかり」
「ハル…」
「どうしよう、もうすぐメドレーリレーの予選始まっちゃうよ!」
渚も困惑した声をあげる。
「とにかく、今は俺達の試合に集中しよう!」
「でもハルちゃんが…」
真琴の言葉はご尤もだが渚は遙の様子を気にかける。
そんな中…ある人物が行動に出る。
「みなさんに話しておきたいことがあります」
ずっと見ていた怜が意を決して口を開いたのだ。
「昨日の夜…凜さんに呼び出されて、話をしました」
その言葉に、真琴たちは驚く。
「彼は言っていました。中学の時、水泳をやめるっていったのは遙先輩に負けたからじゃないって…
留学先で壁にぶつかって、自信を無くして、それでもう水泳はやめようと思っていたって。
だけど日本に帰ってきて、遙先輩と再会して、また勝負して…それでふっきれたって。
県大会で蒼先輩に連れられ、僕達の泳ぎを見て…昔を思い出して、またリレーをやろうと思ったって。
だから鮫柄で、最高のリレーを泳いで見せるって」
「凜ちゃんそんな風に…」
「私も昨日じゃないけど聞いた。
でも凛の本心は別にあると思う」
「蒼先輩の言う通りです。
それは本心じゃない。彼は結局、勝負なんてどうだって良かったんだ。もう一度リレーを泳ぎたかったんだ。
遙先輩達と…
最高の仲間達と…」
「何故わかる」
顔を上げ起き上がった遙が問いかけを怜に投げかける。
「それは…僕も彼と、同じ気持ちだからです」
そう言うと怜は小さく微笑んだ。
「あなた達と、最高の仲間達と、共にリレーを泳ぎたい」
その表情にその言葉に皆眼を丸くした。
「遙が今一番泳ぎたいのは誰??」
「勝負なんてどうでもだっていい!
一緒に泳ぎたい人がいるんでしょ!」
遙を見て蒼は柔らかく微笑み、怜は必死に訴えかけた。
二人の言葉でようやく遙は自分の気持ちに気づく。
遙は揺らぐ眼をゆっくりと閉じる。当然のように浮かび上がるのは一人の人物だった。
「凜と…泳ぎたい」
怜も一度目を閉じ、どこか寂し気に笑う。
「このままでは凜さんは本当に水泳をやめてしまいます。
救ってあげられるのは遙先輩達だけです!」
「でも、俺たちにどうしろって」
戸惑う真琴の言葉に、怜を声を大きく張り上げた。
「まだわからないんですか!!
理論的に考えて、答えは一つしかありません!!!」
怜の言葉に、蒼はウンウンとうなずく。そして遙は目を見開いた。
「怜!本当にいいんだな?」
「もちろんです!!」
「蒼も…」
「聞くまででもないよ…。凛を救おう…皆でさ」
蒼はまっすぐな瞳で皆を見渡す。
そして蒼の言葉に皆大きく頷くのだった。
アナウンスが凛の出る試合を知らせる。
「次、凜ちゃんだよ!」
「あぁ」
「お兄ちゃぁ~ん!がんばれぇ~~!!」
そしてレースが始まる。
だが、凛はスタート出遅れる。凛ならターンで取り戻せると固唾を呑んで見守るのだが、調子が良くないのかいつもの切れキレの泳ぎを凛が出来ていなかった。
どんどん遅れをとっていく凛を見て、普段の彼らを知っている遙達は戸惑った。
「凜…?」
ようやくゴールした凛は苦しそうに息をつく。だが、プールサイドに上がろうとするがよじ登れない状況が続く。
「どうしたんだ…?」
「お兄ちゃん…」
その様子に居ても立っても居られず遙と蒼は慌てて飛び出した。それを追うように真琴達も立ち上がった。
ゆっくりと力なく歩く凛。
俯き目に光がない凛を似鳥が慌てて追いかけた。
「先輩!松岡先輩!!待ってください!!」
そして追いつくと似鳥は凛の腕を掴んだ。
「大丈夫です!今日はたまたま調子が悪かっただけですよ!先輩の実力は本物です!コンディションさえ整っていれば…」
励まそうとする似鳥の言葉。
だが、今の凛にとってその言葉は彼を一層苛立させた。
「うっせえ!!!!」
凛は苛立ちをぶつける様に近くの自販機に思い切り拳をぶつけた。
その音は凛を探していた遙達の耳に留まる。
「先輩落ち着いてください!そんな事したら次から試合に出られなく…」
「関係ねぇ!!もうどうなったってかまわねぇ!!!所詮俺はこの程度なんだよ!だからリレーも外された!!もういい!やめだ!水泳なんてやめてやるよ!!!!」
苛立ちを似鳥にぶつけ、更に近くにあったごみ箱を思い切り蹴り飛ばすとそのまま凛は去っていく。
「松岡先輩!!」
似鳥の呼ぶ声はもう凛の耳に届くことはなかった。
似鳥は戸惑うように周囲を見渡す。そして後ろを振り向くとそこには岩鳶水泳部の面々がいることに気づく。
彼らを一瞥すると似鳥は顔を逸らすように俯きそのまま踵を返すように凛が行った方向に走り去るのだった。
一方で、驚愕の事実を知った彼らは戸惑いを隠せなかった。
「凜ちゃん…メンバーから外されたって…どうゆうこと?」
「決勝に残れば…凜と勝負できると思ってたのに…」
渚と真琴が戸惑いの声を漏らす中…
遙は先ほど凛が言った言葉が、脳裏にリピートされる。
水泳なんてやめてやるよ!!!!
俺はもう…水泳やめる…
中1の時凛が言った言葉が遙の中でダブって聴こえてくる。
「俺はもう…凜と泳げない…」
絶望を感じた遙は力なくズルズルと壁にずり落ち俯いてしまった。
「ハル…しっかり」
「ハル…」
「どうしよう、もうすぐメドレーリレーの予選始まっちゃうよ!」
渚も困惑した声をあげる。
「とにかく、今は俺達の試合に集中しよう!」
「でもハルちゃんが…」
真琴の言葉はご尤もだが渚は遙の様子を気にかける。
そんな中…ある人物が行動に出る。
「みなさんに話しておきたいことがあります」
ずっと見ていた怜が意を決して口を開いたのだ。
「昨日の夜…凜さんに呼び出されて、話をしました」
その言葉に、真琴たちは驚く。
「彼は言っていました。中学の時、水泳をやめるっていったのは遙先輩に負けたからじゃないって…
留学先で壁にぶつかって、自信を無くして、それでもう水泳はやめようと思っていたって。
だけど日本に帰ってきて、遙先輩と再会して、また勝負して…それでふっきれたって。
県大会で蒼先輩に連れられ、僕達の泳ぎを見て…昔を思い出して、またリレーをやろうと思ったって。
だから鮫柄で、最高のリレーを泳いで見せるって」
「凜ちゃんそんな風に…」
「私も昨日じゃないけど聞いた。
でも凛の本心は別にあると思う」
「蒼先輩の言う通りです。
それは本心じゃない。彼は結局、勝負なんてどうだって良かったんだ。もう一度リレーを泳ぎたかったんだ。
遙先輩達と…
最高の仲間達と…」
「何故わかる」
顔を上げ起き上がった遙が問いかけを怜に投げかける。
「それは…僕も彼と、同じ気持ちだからです」
そう言うと怜は小さく微笑んだ。
「あなた達と、最高の仲間達と、共にリレーを泳ぎたい」
その表情にその言葉に皆眼を丸くした。
「遙が今一番泳ぎたいのは誰??」
「勝負なんてどうでもだっていい!
一緒に泳ぎたい人がいるんでしょ!」
遙を見て蒼は柔らかく微笑み、怜は必死に訴えかけた。
二人の言葉でようやく遙は自分の気持ちに気づく。
遙は揺らぐ眼をゆっくりと閉じる。当然のように浮かび上がるのは一人の人物だった。
「凜と…泳ぎたい」
怜も一度目を閉じ、どこか寂し気に笑う。
「このままでは凜さんは本当に水泳をやめてしまいます。
救ってあげられるのは遙先輩達だけです!」
「でも、俺たちにどうしろって」
戸惑う真琴の言葉に、怜を声を大きく張り上げた。
「まだわからないんですか!!
理論的に考えて、答えは一つしかありません!!!」
怜の言葉に、蒼はウンウンとうなずく。そして遙は目を見開いた。
「怜!本当にいいんだな?」
「もちろんです!!」
「蒼も…」
「聞くまででもないよ…。凛を救おう…皆でさ」
蒼はまっすぐな瞳で皆を見渡す。
そして蒼の言葉に皆大きく頷くのだった。