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そして翌日…
「んなぁにぃ~~!?怜のヤツ休みだとぉ~~!?加えて蒼はどうした!?」
笹部が部活に怜と蒼の姿がないことに声を荒げた。
「あ…蒼なら連絡もらってます。
でもそれにしても怜が休むなんて珍しいな…」
「わぁあああ!ひょっとして、昨日あげたイチゴミルクアイス腐ってたのかも!」
急にあたふたと声を上げる。とっさに思いついたのは帰り際に己が食べていたイチゴミルクアイス。
「な〜んでそんなのあげたの!?」
「いや、アイスは腐らんだろう。腐るとしたら…」
「鯖?」
江と笹部の視線はジッとある人物を見る。だが、遙はその考えを即座に否定する。
「俺はあげてない」
「兎に角!地方大会まで時間がない!今日も気張っていくぞぉ!!」
笹部の掛け声により練習が開始された。
一方…とある場所では
「で、話ってなんだ?」
「あなたに聞きたい事が2つあります」
怜と凛が対峙していた。そしてその場には蒼もちゃっかり来ていた。
「はぁ?なんだよ…ってか蒼まで」
急に呼び出された凛はこの状況を呑み込めずにいた。
蒼のみがいるのならまだわかる。
だが、質問を投げかけたのは自分の知らない相手…怜だったからだ。
「レイちゃんがどうしても!!って言うからさ。まぁ聞いてあげてよ」
蒼の言葉に小さくため息を凛はつくと、怜に視線を戻した。
「では、一つ目の質問です。あなたは何故…急にリレーに出るなんて言い出したんです?」
メガネをクイッと押し上げるとレンズの奥から凛を見定めるように怜は視線を光らせた。
「ただ気が変わっただけだ。そんな事聞きにわざわざ来たのかよ」
「そんな答えじゃ納得しかねます。あなたはずっと遙先輩との勝負にこだわっていた。何故なら先輩に勝たなければ前に進めないと思っていたから」
怜の言葉に凛は少し動揺を見せる。それでも怜は気にすることなく淡々と話を続ける。
「そして今回あなたは見事勝負に勝った。あなたの目的は、それで達成することができたじゃないですか」
「俺の目的はハルに勝つことじゃねぇ!国内の大会で勝つことでもねぇ。もっと上…世界だ」
「世界ですか。まぁいいでしょう。
では2つ目の質問です。あなたは遙先輩をどう思ってるんです」
「はぁ?」
凛はその言葉に思わず眼を見開いた。
「小学校時代、あなたと遙先輩は良きライバルだった。笹部コーチの部屋で、あなた達の昔の写真をみました。昔のあなたは何時も笑っていた…遙先輩と真琴先輩、蒼先輩、渚くん…5人はいつも仲良く、そして楽しそうだった。
それなのに何故、留学して変わってしまったんですか。帰国しても遙先輩や…他の誰にも連絡をとらないような関係に、どうしてなってしまったんですか!
留学先で何があったんです。
昔はあんなに仲が良かったのに何故!
みんなでリレーを泳いだのに何故!
あなたは…先輩達とリレーを泳ぐことに喜びを感じていたハズだ!
何より…リレーの素晴らしさを一番知ってるのは、凜さん!あなたじゃないんですか!」
高ぶる感情を抑えながらも怜は凛に語りかけた。
だが、黙っていた凛は遂に声を荒げた。
「うるっせぇ!!!!大人しく聞いてりゃあ!好き勝手つまんねぇ理屈ばっかぬかしやがって!!!なんでお前にそんな事話さなきゃなんねぇんだよぉ!!!!」
その言葉に言い返すように怜が喋りだす。
「僕はねぇ、被害者なんですよ。元々は陸上部だったのに、水泳部に入る事になって…
だけどそこで、遙先輩の泳ぎに魅せられて…僕もあんな風に泳ぎたいと思った。
最初は辛かった練習も、だんだん楽しくなってきて…そのうち水泳が…彼らと泳ぐ事が…楽しくなってきて…県大会ではついに、彼らとリレーを泳いだ。
そこで初めて理解できたんだ。それまでは理論としてしか知らなかった、リレーの楽しさを!」
思い出しただけで高鳴る鼓動を感じながら怜はギュッと胸の前で拳を握った。
「あの時の感覚は今でも忘れられない!僕たちはやっと一つになれた…チームになれたと思った!
なのにみんな、あなたの事ばかり口にする!!
凜ちゃん、凜ちゃん、凜ちゃん!!」
「俺には関係ねぇ!!」
「ないわけないだろ!!!!!」
声を荒げる凛に怜は感情を抑えきれなり、凛に向かって走り出す。そして壁に凛を押し付けると胸ぐらを掴んで彼の身体を思い切り揺らす。
「ちょっと!!レイちゃん!!」
流石にやりすぎだと蒼が静止しようとする。
「蒼先輩は黙っててください!!」
普段の怜が出さない怒声に蒼はそっと手を離し後ろに下がる。
それを横目で見た怜は凛に視線を戻した。
「そもそも遙先輩が水泳から離れていたのは、あんたのせいじゃないか!!」
「はぁ!?なんの事だ!!」
「中学の時!遙先輩はあんたに勝って!それで罪悪感を感じて!!」
怜の言葉に言い返す凛だが、その次に怜から出てきた言葉に凛は眼を見張る。少し後方にいる蒼を見るとホントのようで彼女は悲しげに俯いていた。
「なのになんなんだよあんた等!!僕には全く理解できない!!
この前の試合であんたは遙先輩に勝った!!
それでいいじゃないか!!!なんでまたリレーに出るとか言い出すんだ!!!
あんたは一体何がしたい!!
遙先輩をどうしたい!!
何をどうすれば満足なんだよぉ!!!!!」
「だったら…お前はなんなんだよ……当事者でもねぇお前が」
凛が怜の両手を振り払うと逆に今度は凛が怜の胸ぐらを掴んだ。
「何でわざわざ俺にそんな事を言いにくる!!!!お前こそ!!何をどうしてぇんだよ!!!!」
「僕は…」
揺れ動く凜の瞳を見据えた怜は強い瞳をしていた。
「彼らと最高のチームで試合にのぞみたい。そのチームの一員として彼らと共に泳ぎたい。ただそれだけです」
彼の決意に凛はハッとしてゆっくり怜を掴んでいた手を離した。
「もしあなたが僕たちの邪魔をするなら、僕はあなたを許しません」
リュックを掴み怜はチラッと凛を睨んだあと後ろを振り返ることなく去っていく。それを横目に見ていた蒼はゆっくり視線を移した。
「ねぇ?凛」
「なんだ?」
遠巻きに黙ってみていた蒼がようやく口を開いた。
「やりたくなった?リレー?」
「…蒼にはお見通しか」
柔らかく微笑んだ蒼に凛は誤魔化せないと小さく息をつく。
「思い出しちまったよ。あの時のリレーで見えた景色をさ」
遠くを見るように凛は目を細めた。
「俺さ...留学して毎日トレーニングしたのに思うように泳げなくって...記録も出せなくて...
周りに取り残されてる気がして...
その時思っちまった。リレーしてたからだって。」
「そっか〜...」
凛に背中を向けて蒼は2・3歩歩いて立ち止まり空を見上げた。
「私もね駄目だったんだ」
「蒼...」
「全然ついていけなかった。
どんなに頑張っても記録が伸びなくて...精神的に参っちゃったよ。
でもね、そんな時に私はあの時のリレーを思い出したんだ」
凛の方に振り返り哀しげに小さく蒼は微笑む。対して、凛はその言葉に目を丸くした。
「リレーを!?」
「リレーをすれば何か見える気がして、とりあえずメンバーに選ばれるように頑張った。
でも...」
「でも...」
「見えなかったし、私が全て台無しにした。
もう、頭真っ白だよ...」
「蒼は泳ぐの止めようと思わなかったのか?」
己自身止めようとした凛は蒼はどうなのかと気になりこの問いを投げかけた。
「思わなかったよ。だって...水が好きだから」
その問いに蒼は笑って答えた。
「あはは...そういえばそう言ってたな」
力なく笑う凛は頭を抱えた。
「ねぇ...凛。
ホントは遙達とリレーしたいんじゃないの?」
いつの間にか蒼は凛に詰め寄り見上げていた。確信をつくような言葉に凛はギョッとするが、すぐ顔を歪める。
「...できねぇーだろ」
「凛...」
「だから代わりに鮫柄学園でリレーを泳ぐ事にした。
リレーに出れば何か取り戻せる気がするんだ」
ギュと拳を握る凛の手を蒼は嬉しそうに包み込んだ。
「大丈夫。凛ならきっと出来る」
「あぁ...だから蒼。見ててくれよな」
「もちろんだよ!凛」
凛の真っ直ぐな言葉に蒼は嬉しそうにはにかむのだった。
「んなぁにぃ~~!?怜のヤツ休みだとぉ~~!?加えて蒼はどうした!?」
笹部が部活に怜と蒼の姿がないことに声を荒げた。
「あ…蒼なら連絡もらってます。
でもそれにしても怜が休むなんて珍しいな…」
「わぁあああ!ひょっとして、昨日あげたイチゴミルクアイス腐ってたのかも!」
急にあたふたと声を上げる。とっさに思いついたのは帰り際に己が食べていたイチゴミルクアイス。
「な〜んでそんなのあげたの!?」
「いや、アイスは腐らんだろう。腐るとしたら…」
「鯖?」
江と笹部の視線はジッとある人物を見る。だが、遙はその考えを即座に否定する。
「俺はあげてない」
「兎に角!地方大会まで時間がない!今日も気張っていくぞぉ!!」
笹部の掛け声により練習が開始された。
一方…とある場所では
「で、話ってなんだ?」
「あなたに聞きたい事が2つあります」
怜と凛が対峙していた。そしてその場には蒼もちゃっかり来ていた。
「はぁ?なんだよ…ってか蒼まで」
急に呼び出された凛はこの状況を呑み込めずにいた。
蒼のみがいるのならまだわかる。
だが、質問を投げかけたのは自分の知らない相手…怜だったからだ。
「レイちゃんがどうしても!!って言うからさ。まぁ聞いてあげてよ」
蒼の言葉に小さくため息を凛はつくと、怜に視線を戻した。
「では、一つ目の質問です。あなたは何故…急にリレーに出るなんて言い出したんです?」
メガネをクイッと押し上げるとレンズの奥から凛を見定めるように怜は視線を光らせた。
「ただ気が変わっただけだ。そんな事聞きにわざわざ来たのかよ」
「そんな答えじゃ納得しかねます。あなたはずっと遙先輩との勝負にこだわっていた。何故なら先輩に勝たなければ前に進めないと思っていたから」
怜の言葉に凛は少し動揺を見せる。それでも怜は気にすることなく淡々と話を続ける。
「そして今回あなたは見事勝負に勝った。あなたの目的は、それで達成することができたじゃないですか」
「俺の目的はハルに勝つことじゃねぇ!国内の大会で勝つことでもねぇ。もっと上…世界だ」
「世界ですか。まぁいいでしょう。
では2つ目の質問です。あなたは遙先輩をどう思ってるんです」
「はぁ?」
凛はその言葉に思わず眼を見開いた。
「小学校時代、あなたと遙先輩は良きライバルだった。笹部コーチの部屋で、あなた達の昔の写真をみました。昔のあなたは何時も笑っていた…遙先輩と真琴先輩、蒼先輩、渚くん…5人はいつも仲良く、そして楽しそうだった。
それなのに何故、留学して変わってしまったんですか。帰国しても遙先輩や…他の誰にも連絡をとらないような関係に、どうしてなってしまったんですか!
留学先で何があったんです。
昔はあんなに仲が良かったのに何故!
みんなでリレーを泳いだのに何故!
あなたは…先輩達とリレーを泳ぐことに喜びを感じていたハズだ!
何より…リレーの素晴らしさを一番知ってるのは、凜さん!あなたじゃないんですか!」
高ぶる感情を抑えながらも怜は凛に語りかけた。
だが、黙っていた凛は遂に声を荒げた。
「うるっせぇ!!!!大人しく聞いてりゃあ!好き勝手つまんねぇ理屈ばっかぬかしやがって!!!なんでお前にそんな事話さなきゃなんねぇんだよぉ!!!!」
その言葉に言い返すように怜が喋りだす。
「僕はねぇ、被害者なんですよ。元々は陸上部だったのに、水泳部に入る事になって…
だけどそこで、遙先輩の泳ぎに魅せられて…僕もあんな風に泳ぎたいと思った。
最初は辛かった練習も、だんだん楽しくなってきて…そのうち水泳が…彼らと泳ぐ事が…楽しくなってきて…県大会ではついに、彼らとリレーを泳いだ。
そこで初めて理解できたんだ。それまでは理論としてしか知らなかった、リレーの楽しさを!」
思い出しただけで高鳴る鼓動を感じながら怜はギュッと胸の前で拳を握った。
「あの時の感覚は今でも忘れられない!僕たちはやっと一つになれた…チームになれたと思った!
なのにみんな、あなたの事ばかり口にする!!
凜ちゃん、凜ちゃん、凜ちゃん!!」
「俺には関係ねぇ!!」
「ないわけないだろ!!!!!」
声を荒げる凛に怜は感情を抑えきれなり、凛に向かって走り出す。そして壁に凛を押し付けると胸ぐらを掴んで彼の身体を思い切り揺らす。
「ちょっと!!レイちゃん!!」
流石にやりすぎだと蒼が静止しようとする。
「蒼先輩は黙っててください!!」
普段の怜が出さない怒声に蒼はそっと手を離し後ろに下がる。
それを横目で見た怜は凛に視線を戻した。
「そもそも遙先輩が水泳から離れていたのは、あんたのせいじゃないか!!」
「はぁ!?なんの事だ!!」
「中学の時!遙先輩はあんたに勝って!それで罪悪感を感じて!!」
怜の言葉に言い返す凛だが、その次に怜から出てきた言葉に凛は眼を見張る。少し後方にいる蒼を見るとホントのようで彼女は悲しげに俯いていた。
「なのになんなんだよあんた等!!僕には全く理解できない!!
この前の試合であんたは遙先輩に勝った!!
それでいいじゃないか!!!なんでまたリレーに出るとか言い出すんだ!!!
あんたは一体何がしたい!!
遙先輩をどうしたい!!
何をどうすれば満足なんだよぉ!!!!!」
「だったら…お前はなんなんだよ……当事者でもねぇお前が」
凛が怜の両手を振り払うと逆に今度は凛が怜の胸ぐらを掴んだ。
「何でわざわざ俺にそんな事を言いにくる!!!!お前こそ!!何をどうしてぇんだよ!!!!」
「僕は…」
揺れ動く凜の瞳を見据えた怜は強い瞳をしていた。
「彼らと最高のチームで試合にのぞみたい。そのチームの一員として彼らと共に泳ぎたい。ただそれだけです」
彼の決意に凛はハッとしてゆっくり怜を掴んでいた手を離した。
「もしあなたが僕たちの邪魔をするなら、僕はあなたを許しません」
リュックを掴み怜はチラッと凛を睨んだあと後ろを振り返ることなく去っていく。それを横目に見ていた蒼はゆっくり視線を移した。
「ねぇ?凛」
「なんだ?」
遠巻きに黙ってみていた蒼がようやく口を開いた。
「やりたくなった?リレー?」
「…蒼にはお見通しか」
柔らかく微笑んだ蒼に凛は誤魔化せないと小さく息をつく。
「思い出しちまったよ。あの時のリレーで見えた景色をさ」
遠くを見るように凛は目を細めた。
「俺さ...留学して毎日トレーニングしたのに思うように泳げなくって...記録も出せなくて...
周りに取り残されてる気がして...
その時思っちまった。リレーしてたからだって。」
「そっか〜...」
凛に背中を向けて蒼は2・3歩歩いて立ち止まり空を見上げた。
「私もね駄目だったんだ」
「蒼...」
「全然ついていけなかった。
どんなに頑張っても記録が伸びなくて...精神的に参っちゃったよ。
でもね、そんな時に私はあの時のリレーを思い出したんだ」
凛の方に振り返り哀しげに小さく蒼は微笑む。対して、凛はその言葉に目を丸くした。
「リレーを!?」
「リレーをすれば何か見える気がして、とりあえずメンバーに選ばれるように頑張った。
でも...」
「でも...」
「見えなかったし、私が全て台無しにした。
もう、頭真っ白だよ...」
「蒼は泳ぐの止めようと思わなかったのか?」
己自身止めようとした凛は蒼はどうなのかと気になりこの問いを投げかけた。
「思わなかったよ。だって...水が好きだから」
その問いに蒼は笑って答えた。
「あはは...そういえばそう言ってたな」
力なく笑う凛は頭を抱えた。
「ねぇ...凛。
ホントは遙達とリレーしたいんじゃないの?」
いつの間にか蒼は凛に詰め寄り見上げていた。確信をつくような言葉に凛はギョッとするが、すぐ顔を歪める。
「...できねぇーだろ」
「凛...」
「だから代わりに鮫柄学園でリレーを泳ぐ事にした。
リレーに出れば何か取り戻せる気がするんだ」
ギュと拳を握る凛の手を蒼は嬉しそうに包み込んだ。
「大丈夫。凛ならきっと出来る」
「あぁ...だから蒼。見ててくれよな」
「もちろんだよ!凛」
凛の真っ直ぐな言葉に蒼は嬉しそうにはにかむのだった。